麺屋武蔵 ビジネス五輪書

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出版社
学研プラス

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出版日
2017年03月14日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

「麺屋武蔵」は1996年に東京・青山に出店して以来、現在では東京に14店舗、海外ではシンガポール、香港、台湾、マレーシア、マカオ、上海などに出店している有名ラーメン店だ。都内で暮らしているなら、一度は訪れたことがあるという人も多いだろう。間接照明を使ったインテリアや、BGMのジャズなど、これまでのラーメン業界の常識を覆すような数々の試みを実施してきた。

本書は、そんな人気ラーメン店を率いる二代目社長が、仕事への姿勢から、サービスの質の上げ方、リーダーシップ、マネジメントまで、あらゆる仕事に通じる49の極意を余すことなく語った1冊だ。本書の5つの章には、競争の激しいラーメン業界で確固たる地位を築き、20年にもわたり多くのファンに愛され続けてきた秘訣が散りばめられている。

ただおいしいラーメンを提供するだけがラーメン店の仕事ではない。麺屋武蔵は味だけでなく、店の雰囲気やサービスも含めた総合力で勝負し、お客様の満足を得てきた。著者の考えにふれると、絶えず工夫や変化を続け、「いい仕事」を長年にわたって実現してきたからこそ、今日の成功があるということを思い知らされる。高い志を持ち、成長を続けながら理想を追い求めていけば、かならず「いい仕事」ができる。その極意はどんな業種で働くビジネスパーソンにとっても大いに参考になり、仕事人としての心の拠り所になってくれるに違いない。

ライター画像
山下あすみ

著者

矢都木 二郎(やとぎ じろう)
株式会社麺屋武蔵 代表取締役社長。1976年、埼玉県生まれ。
創業者・山田雄のイズムを継承し、常に「革新的で上質」なラーメン店作りを目指す。ラーメン界の新しい取り組みとして、コラボレーション商品を多数提案。ロッテ、カルビー、旭酒造といった企業から、自治体や生産者まで、幅広くコラボレートして、多くの革新的なラーメンを生み出す。「チョコレートからフルーツまで、ラーメンにできない食材はない」と語り、ラーメン店の無限の可能性に挑戦し続けている。ラーメンの創作活動の傍ら、経営者として、業界の職種的地位向上に尽力。さらに職場環境、待遇の積極的改善、「料理ボランティアの会」を通じてのボランティア活動などを積極的に行っている。

本書の要点

  • 要点
    1
    麺屋武蔵は、決して妥協せず、「カッコいい」にひたすらこだわり、有名店となった今も変化への挑戦を続ける、ラーメン業界のトップランナーである。
  • 要点
    2
    麺屋武蔵は「ゲンキ・キレイ・イイアジ」という行動指針を掲げている。サービスの質、清潔さを追求すればおいしさという結果に結びつく。「感動は細部に宿る」と意識して、お客様に最高のひと時を提供することをめざしている。
  • 要点
    3
    競合店を気にせず「いい仕事」をしていれば、お客様からの評価は必ずついてくる。

要約

地の巻 ビジネスの極意

世界一「カッコいい」ラーメン店になる

麺屋武蔵がオープンした1996年は、ちょうどインターネットの大ブームの時期と重なる。それまで口コミかテレビ、雑誌くらいでしか得られなかったおいしいラーメン店の情報がインターネットを通して得られるようになり、麺屋武蔵は「行列の店」として注目を集め始めた。

麺屋武蔵という店名は、無敵の剣豪、宮本武蔵からきている。初代店主の山田雄(たけし)は、師を持たずに独自のやり方で道を切り拓いた宮本武蔵のスタイルに惹かれた。「世の中に出ていない目新しいもの」を発掘し、オリジナルを提示したいという思いを店名に込めたという。

山田氏は、スタッフの行動指針として、ことあるごとに「それ、カッコいいからいい」「それ、カッコ悪いからダメ」という言葉を投げかけた。「カッコいい」は単に姿形がいい、オシャレだということではなく、「新しいこと」「手間ひまがかかって難しいこと」「よく考え込まれていること」という意味だ。その判断軸は「自分で自分を見てどうか」であった。仕事に対し後ろめたいことがあれば「カッコいい」とは言えない。決して妥協せず、「カッコいい」にひたすらこだわり続けてきたことで、麺屋武蔵の今がある。

「トップ」を走れ
Pinkypills/iStock/Thinkstock

ラーメン店は新規参入がしやすいため、競争は激化の一途をたどっている。その中で生き抜いていくには「トップになるんだ!」という強い覚悟が欠かせない。「2位じゃダメなんですか」と必ず聞かれるが、ダメである。トップでなければ覚えてもらえないからだ。

また、トップはレースの主導権を握ることができる。例えばスマートフォンのトップであるiPhoneは価格を主導できるため、圧倒的優位なポジションにいる。

著者は、麺屋武蔵がラーメン業界のなかでトップという気概を持って働いている。個人の仕事でも同様に、皿洗い、声の大きさ、笑顔など、何らかの分野でトップを極めれば、誰かに認められる。トップを走ることが勝ち残る極意なのである。

変化に挑戦すべし

ラーメン業界の変化のスピードは年々速くなっている。状況に応じて変化していかないと生き残ることはできない。

麺屋武蔵では、著者の入社当初、普通のラーメンが人気で「つけ麺」はほとんど売れていなかった。しかし、つけ麺は満腹に食べられて、うまみの刺激も強いという魅力を持つ。今後必ずはやるはずだと信じ、つけ麺を中心メニューにした店舗を新たに出したところ、これが大成功した。今では全店舗のつけ麺の注文数はラーメンを抜いている。ラーメンに固執していたら今のような成功は収めていなかったと言えるし、これからもつけ麺に固執するつもりはないという。世の中の流れやお客様のニーズをいち早く察知し、行動し、変化に挑戦し続ける。変化こそが麺屋武蔵の真髄である。

【必読ポイント!】 水の巻 サービスの極意

「ゲンキ・キレイ・イイアジ」
HISAO OSONO/amanaimagesRF/Thinkstock

麺屋武蔵には、「ゲンキ・キレイ・イイアジ」という行動指針がある。元気な接客・清潔・メニューの品質の高さ(おいしさ)を意味しており、麺屋武蔵ではこの順番を大切にしている。一般的には「味」が一番とされているが、麺屋武蔵では「ゲンキ」つまり、サービスが第一と考える。「キレイ」が2番で、「イイアジ」は最後である。なぜなら、「ゲンキ」と「キレイ」をちゃんとやれば「イイアジ」は結果としてついてくるからだ。

また、お客様の側から見ても、味の好みは十人十色だが、サービスや清潔さに関しては、人によって大きなブレがない。決して味を軽視しているわけではなく、お客様の満足度を上げるために意識すべき順番を指しているのだ。この「イイアジ」を「いい本」などと他のものに置き換えれば、他の業種でもあてはまるサービスの極意となるだろう。

食べる前に、勝つ

人の味覚は比較的鈍感で、「○○店の○○シェフが作った」と言われると誰もがおいしく感じるという。つまり、食べる前が大切ということだ。

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要約公開日 2017.04.04
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