耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術

フィードバック入門

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耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術
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フィードバック入門
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出版社
出版日
2017年03月03日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.5
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

日本のマネジャーが疲労しているのは、「部下育成」が原因である。

本書は、日々の仕事に追われ、部下育成が後回しになっているマネジャーに向けて、効果の高い部下育成法である「フィードバック」の技術と必要性を説いた一冊である。

本書におけるフィードバックとは、「耳の痛いことを部下にしっかりと伝え、彼らの成長を立て直すこと」だ。具体的には、事前に部下の問題行動の詳細を情報収集し、一対一の面談をおこなう。次に、部下との信頼関係を損なわないように、あくまで事実のみを伝えるようにする。そして、問題行動を部下に腹落とし(understood)してもらい、対話を通して現状と目的のギャップを意識化させる。最後に、原因探求と行動計画づくりをマネジャーと部下が一緒になっておこなう。

こうした一連のプロセスを、感情を挟まずにやりきることはなかなか簡単ではない。ただ教えるだけの「ティーチング」や、相手から引きだすことに注力した「コーチング」と異なり、フィードバックにはその両方の能力が求められる。だからこそ、誰しもがフィードバック「入門」を必要としている。

本書では、フィードバックをする際の実践的なポイントや、さまざまなタイプに合わせたフィードバックのコツについても述べられている。部下に変わってもらうためにはどうすればいいのか迷っているなら、迷わず本書を手に取るべきだ。

著者

中原 淳(なかはら じゅん)
東京大学 大学総合教育研究センター 准教授。
1975年、北海道旭川市生まれ。東京大学教育学部卒業、大阪大学大学院 人間科学研究科、メディア教育開発センター(現・放送大学)、米国・マサチューセッツ工科大学客員研究員等をへて、2006年より現職。「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織における人材育成・リーダーシップ開発について研究している。専門は経営学習論・人的資源開発論。
著書に『職場学習論』『経営学習論』(ともに東京大学出版会)、『駆け出しマネジャーの成長論』(中公新書ラクレ)、『会社の中はジレンマだらけ』(本間浩輔氏との共著、光文社新書)など多数。

Blog:NAKAHARA-LAB.NET
(http://www.nakahara-lab.net/)
Twitter ID : nakaharajun

本書の要点

  • 要点
    1
    効果的なフィードバックをするためには、できるだけ具体的に相手の問題行動を指摘することが必要である。
  • 要点
    2
    トラブルが起きてから時間を空けずにフィードバックをおこなったほうが効果は高い。
  • 要点
    3
    仕事における役割が変わったタイミングは、フィードバックを受け入れてもらいやすい。
  • 要点
    4
    耳の痛いことを言うのは、マネジャーの役割の一つである。嫌われることも「役割」なのだと考えて割り切ることが大切である。
  • 要点
    5
    フィードバックは組織全体で取り組まなければならない課題である。

要約

部下育成法としてのフィードバック

フィードバックとは

本書は、日々の仕事に追われ、部下育成が後回しになっているマネジャーに向けて、効果の高い部下育成法である「フィードバック」の技術を一から説明した本である。

フィードバックとは端的に言うと、「耳の痛いことを部下にしっかりと伝え、彼らの成長を立て直すこと」である。

本書の特徴は、部下育成やフィードバックの学問的な理論だけでなく、現場のマネジャーからヒアリングを通して抽出した実践的な知見が、バランスよくまとめられている点である。

マネジャーの疲労の原因は「部下育成」
nd3000/iStock/Thinkstock

日本のマネジャーが疲労している原因は「部下育成」にある。

とはいえ、若い部下が育たないのは、かならずしも上司のせいではない。部下が成長しないのは、職場環境の変化によるところも大きいからである。

高度経済成長期では、部下が育つ3つの条件、「長期雇用」「年功序列」「タイト(密接)な職場関係」が揃っていた。しかし、現代の職場でそれらの要素が衰退しているのは明らかだ。

さらに、今や雇用市場の流動化が進んだことで、年上が部下になるケースも日常的になりつつあり、外国人の社員を雇いいれる企業も増えてきた。こうした部下の多様化も重なり、部下育成はより困難となっているのである。

【必読ポイント!】 フィードバックの技術 基本編

フィードバック前に準備すべきこと

効果的なフィードバックをするためには、できるだけ具体的に相手の問題行動を指摘することが求められる。その際、重要なのは「SBI情報」を準備しておくことである。

SBIとは、シチュエーション、ビヘイビア、インパクトの頭文字をとったものだ。どのような状況で(シチュエーション)、どんな振る舞い(ビヘイビア)が、周囲やその仕事に対して、どんな影響をもたらしたのか(インパクト)、この3点を具体的に伝えることで、はじめて部下は上司の言いたいことを理解してくれるのである。

SBI情報を収集するうえでは朝の声かけなど、職場の回遊が効果的である。1回1回の時間は短くてもかまわない。むしろ頻繁におこなうことのほうが大切だ。

信頼感を確保して客観的に伝える
demaerre/iStock/Thinkstock

ここからは実際のフィードバックに焦点を当てる。

フィードバック面談のオープニングでは、まず部下の「心理的安全」や「信頼感」を確保することが求められる。情報が漏れず、他の社員の目に触れない場所を選ぼう。

また、セッションの「目的」を最初に伝えること、「一緒に改善策を考えよう」という姿勢を見せることも重要だ。相手に対してリスペクトをもって接し、信頼感の確保に努めるのである。

フィードバックが始まったら、収集した相手のSBI情報を提示していく。

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要約公開日 2017.06.01
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