気づかれずに主導権をにぎる技術

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気づかれずに主導権をにぎる技術
出版社
サンクチュアリ出版

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出版日
2017年03月01日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「へびのように賢く、はとのように素直であれ」とは、イエスがキリスト教を広めるために弟子に伝えたとされる言葉で、多くのギャングが座右の銘としている言葉なのだという。キリスト教が受け入れられなかった時代、イエスの弟子たちは迫害から逃れるために、へびのように賢く慎重である必要があった。ただ一方で、あまりにも用心深くなりすぎると教えを広められないため、「はと」のような素直さも持ち合わせる必要があるということらしい。こうした「したたかな戦略」を日常生活に取り入れれば、社内政治も交渉事も恋愛も思うがまま。まさにこうしたことを体現する戦略を一挙に公開したのが本書だ。

著者が伝授する「主導権をにぎる技術」は、アウトローたちとの命がけの交流や、心理学にもとづいたメンタリズムの学びから生まれたものである。カジノのディーラー時代、アウトローたちとの過酷な心理戦を乗り越えるのに一役買った技術ばかりで、その効果はお墨付きだ。ただしこうした技術は、「薬も過ぎれば毒になる」ということわざのように、さじ加減を一歩間違えると逆効果になってしまう。くれぐれも使用の際は注意が必要だ。

例えば、マイナスがある商品をうまく売り込む「ポジティブフレーム」、苦手な同僚を懐柔できる「ベンジャミン・フランクリン効果」など、目新しいテクニックが目次を埋め尽くしている。上司、部下、同僚、家族との関係を劇的に改善させ、相手より優位に立ちたいのなら、本書を今すぐ手にとってみていただきたい。

ライター画像
和田有紀子

著者

ロミオ・ロドリゲスJr.
1972年、香港生まれ。メンタリスト。ビジネス心理術の専門家。
幼いころよりイギリス、カナダ、日本とさまざまな国々で暮らし、4か国語を操る。長い海外生活の中で、やむなくアウトローとの交流を持ち、幾多のトラブルに巻き込まれる中で、心理術を学ぶようになる。
その後、相手の心を読み、暗示をかけ、操作をするエンターテイメント「メンタルマジック」を確立し、日本で多くのテレビ出演を果たす。
2009年、香港に渡ってからは、経営、マネージメント、ビジネスのゲーム性の面白さに心奪われ、得意とする心理術との共通点に気づき、独自のビジネス心理術を作り上げる。
2010年には、香港大学の専修科でメンタリズムの講師として抜擢、本講義は受講生が教室に殺到する人気授業となり、話題を集め、香港大富豪、芸能人や著名人など多くのVIPクライアントを抱えるようになる。
現在は独自のビジネス心理術をもとにしたセミナーを開催し、サービスや接客業のビジネス現場で、いかにお客様の心を読んで主導権をにぎるかを指導。特に企業向けの「マインドアーツ~心の技術」セミナーは、営業、販売系のビジネスマンを中心に1000名以上が受講。好評を博している。
また、2015年、「一般社団法人日本マインドリーディング協会(JMRA)」を立ち上げるなど、さらなる心理術の開発・発展に尽力中。

本書の要点

  • 要点
    1
    ビジネスで主導権をにぎるには、「返報性の法則」を利用したり、自分から価格を先に提示したりするのが有効だ。
  • 要点
    2
    交渉で優位に立つには「希少性の原理」や、物事のポジティブな側面に着目した話し方「ポジティブフレーム」などを活用するとよい。
  • 要点
    3
    社内政治を思い通りに操るには、「ワーディング」を使って根回しをうまく行うのが効果的だ。

要約

どんな場面でも主導権をにぎるすごいワザ

「架空の貸し」で相手より絶対優位に立つ方法

人間には、相手から何かを与えられると「お返しをしなければいけない」という感情を抱く性質がある。例えばデパートの食品売り場の試食がそうだ。この性質を心理学では「返報性の法則」という。

返報性の法則をビジネスで応用するとどうか。例えば他部署の協力をあおぎたい場合は、次のように言うとよい。「ほら、以前クレームが来たあの案件、うちの部署でもフォローが大変だったんだから。今回の件、そちらからも人員を割いてよ」。

本当に貸しがあるなら、その恩義を感じさせるのが一番だが、そうでなければ、貸しはでまかせでもいい。人の記憶は往々にしてあいまいなため、この裏ワザは人を動かすうえで大いに効果を発揮する。

ポイントは、自信満々に話して相手を納得させることである。「あなたがこれだけ自信を持って言っているのだから、きっと本当だろう」と相手に思わせることができれば、こっちのものだ。

値段交渉では先に「数字」を言ったほうが勝つ
nito100/iStock/Thinkstock

著者の生まれた香港の裏社会では、「値段交渉はこちらが口火を切れ」という考え方が一般的だ。銃やドラッグの密売といった非合法なビジネスは、相場価格があってないようなものである。そのため、口火を切った人の価格が基準になるのだという。

しかし純粋に先に価格を提示すると、後から言う人がそれよりも低い価格を提示したら負けるのではないか、と思われるかもしれない。だが裏社会では、低い価格を提示すると周りからお金がない組織だと思われる恐れがあるため、易々とは低い価格を提示しないのだという。

このように先に価格を提示することを、心理学では「アンカリング」と呼ぶ。アンカリングとは、先行して提示された数値(アンカー)を基準に今後の意思決定がなされていくことを意味する。

例えばビジネスでこちらから製品を売り込む場合は、真っ先に高い価格を提示する。その後に相手が買えそうなぎりぎりの価格まで徐々に引き下げれば、安く買い叩かれずに済む。

あらゆる交渉でイエスを勝ち取る

アポのとり方で取引先に「できる人」と思わせる
Kwangmoozaa/iStock/Thinkstock

「希少性の原理」を使って相手を操る方法を紹介する。著者が以前あるギャングから聞いた話によると、ギャングはときにドラッグの取引量についてウソをつくことがあるそうだ。例えば10キロのドラッグを所有しており、10キロ丸々売ってしまえばよいところを、「今7キロしかない」とあえてウソつくのだという。

その後、また別の機会に残りの3キロを450万円でどうだと持ちかける。すると相手は多少割高に感じながらも、希少なドラッグの入手を優先し、言い値で買ってくれる。読者も「限定10個」、「本日かぎり」といった広告で、ついつい不要なものを買った経験があるのではないだろうか。

希少性の原理は時間にも適用可能だ。

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要約公開日 2017.05.18
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