アメリカ経済政策入門
建国から現在まで

未 読
アメリカ経済政策入門
ジャンル
著者
スティーヴン・S・コーエン J・ブラッドフォード・デロング 上原裕美子(訳)
出版社
みすず書房 出版社ページへ
定価
2,800円 (税抜)
出版日
2017年03月10日
評点
総合
3.2
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.0
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建国から現在まで
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スティーヴン・S・コーエン J・ブラッドフォード・デロング 上原裕美子(訳)
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定価
2,800円 (税抜)
出版日
2017年03月10日
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総合
3.2
明瞭性
3.5
革新性
3.5
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レビュー

「自由の国」として知られるアメリカは、その言葉から推測するに「小さな政府」、つまり政府の介在が少ない国だと考える人は少なくない。しかし実際には、アメリカは「大きな政府」の存在によって、世界一の経済大国になったと著者は見ている。国民が自由に活動できるようになるためには、国外勢力から自国経済を守ること(=保護貿易主義)と、インフラや資金援助といった環境整備が必須だったからだ。

こうした政府主導の大がかりな経済政策が終焉を迎えたのは1993年、ビル・クリントンが一般教書演説で「大きな政府の時代は終わった」と宣言したときだった。実際、1980年代に始まった方向転換以後、アメリカは迷走を続けている。なぜなら、それまでアメリカを支えていた実利主義(プラグマティズム)に基づく政策を放棄し、抽象的なイデオロギーに基づく政策に転化してしまったからだ――これが本書の主張である。

今回の要約では、アメリカが「大きな政府」だった頃の、建国から1970年代までの記述に焦点を当てている。第二次世界大戦後の経済再設計の失敗について理解を深めたい方は、本書を直接ご参照いただければと思う。

なお、本書は目新しい事実を提示するものではなく、広く知られた事実を再提起することを趣旨としている。そのなかには、日本人にとっては理解の難しい部分も含まれているかもしれない。しかし、アメリカという国を理解するうえで、本書に書かれている知識は必要不可欠だといっていい。アメリカ経済に関心のある方、ひいては世界経済に関心のある方に、強く一読を薦めたい。

和田 有紀子

著者

スティーヴン・S・コーエン(Stephen S. Cohen)
カリフォルニア大学バークレー校国際経済研究所(Berkeley Roundtable on the International Economy)名誉教授、共同所長。ニューヨーク大学ワグナー公共サービス大学院客員研究員。著書The End of Influence: What Happens When Other Countries Have the Money (Basic Books, 2010, デロングとの共著)

J・ブラッドフォード・デロング(J. Bradford DeLong)
カリフォルニア大学バークレー校経済学教授。クリントン政権下で財務省副次官補を務めた。全米経済研究所リサーチ・アソシエート。ブログradford-delong.com: Grasping Reality with Both Hands (http://delong.typepad.com/)。米屈指の経済ブロガー。

本書の要点

  • 要点
    1
    政府が新しい経済空間を創り、そこに流れ込んだ起業家たちがイノベーションを起こすことで、アメリカ経済はつくり上げられてきた。
  • 要点
    2
    イデオロギーに流されず、実利を追い求めてきたアメリカの経済活動は、きわめてポジティブな結果を生み、アメリカを世界一の国へと押し上げた。
  • 要点
    3
    1980年代から始まった経済再設計では、「アメリカらしくない」選択をしてしまい、芳しい結果が得られなかった。

要約

【必読ポイント!】 アメリカを設計した男

ハミルトン・システム

アレグザンダー・ハミルトンは、大統領を経験していないにもかかわらず、アメリカ経済政策の先頭に立ち、大胆に、そして独創的にアメリカをつくり変えた人物である。

ハミルトン以前の経済は、イギリスが強いた流れに乗っていただけだった。しかし、ハミルトンは製造、技術、インフラ、商業、企業、金融・銀行、そして政府支援によるイノベーションに力点を置き、独自の計画経済を実行した。

ハミルトン・システムには4つの推進力があった。(1)高率関税、(2)インフラへの大きな支出、(3)州の負債の連邦政府による肩代わり、(4)ひとつの中央銀行、である。ハミルトンはアメリカ国内の工業化を進めるために、イギリスから入って来る輸入製品へ高率関税をかけた。それが国内技術を推進する投資への強いインセンティブとなり、積極的に補助金を与える理由にもなった。

また、関税は政府の大きな歳入源になり、インフラ開発計画を下支えした。ハミルトンが活躍した18世紀末は建国間もない頃で、北部沿岸州から西への領土拡大と、経済発展が強く求められていた。

さらに、関税収入のおかげで、政府は各州が独立革命の際に負った借金(州債)を気前よく肩代わりすることができた。州債を数分の一の廉価で買い取っていた金融家たちは、こうしてハミルトンの支持に回ることとなった。

そして、ハミルトンは中央銀行としての合衆国銀行を設立。これを金融システムの中心に据えることで、堅実な金融をつくり上げていった。

そして大量生産モデルへ

ハミルトン流の高率関税は全国民に歓迎されていたわけではない。特に、アメリカ南部沿岸の人々からは強い反発を受けていた。しかし、高率関税による国内産業の育成により、アメリカ式製造システムが生まれ、大量生産モデルが成立したこともまた事実である。

工業化を進展させるために、ハミルトンはいくつもの政策を実施し、その政策が利益集団を生んだ。そして、利益集団が自分たちの立場を安泰にするために努力したことで、アメリカは他の国の追随を許さない発展を遂げることとなった。

さらなる再設計

自由労働の牽引

第16代大統領エイブラハム・リンカーンと彼が率いた共和党は、非常に大きな功績を残したといえる。ハミルトンが設計したアメリカ経済の再設計に取り組んだからだ。

リンカーンは奴隷制度を廃止した。その目的は、

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グローバル 政治・経済
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