シンキング・マシン

人工知能の脅威ーコンピュータに「心」が宿るとき。
未読
日本語
シンキング・マシン
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人工知能の脅威ーコンピュータに「心」が宿るとき。
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シンキング・マシン
出版社
エムディエヌコーポレーション

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定価
1,980円(税込)
出版日
2017年04月01日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.0
革新性
4.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

世界的AIブームとなってから数年が経ったが、未だにその勢いに陰りは見えない。それどころか、人と自然な会話ができるAIアシスタントが登場するなど、発展の一途をたどっている。本書は、AI研究の長い歴史と最新のAI技術を紹介し、研究者たちが夢想する未来のAIイメージを語っていく。AIの歴史と未来を総括するのにうってつけの一冊だ。

AIや人工知能という言葉を使うことは、当のニューラルネットワーク研究者にとって、最近まではタブーだった。過去何度も訪れたAIブームが、市場からの過剰な期待に応えられなかったことから、研究資金を引きあげられた経緯があるからだ。しかし、今回のAIブームでは続々と成果が出ており、世界中で莫大な予算と人材が投入されている。一昔前ならSFの中でしか考えられなかったような事態が現実と化している。

AIの研究が進むと、人間の持つ能力も再定義されていく。認識とは「分類すること、対象となるものを既に自分が取得した概念に当てはめること」であり、「生成と認識は対になっている」という考えから、「認識過程を遡れば画像生成できる」のだ。人間にしか持ち得ないと思われていた創造力さえ、その秘密が解明されてAIに応用される。こうして進化的アルゴリズムは、人間が思いつけなかったアイデアまで創出する。

AIが社会の隅々まで浸透する社会は、バラ色ではないが暗黒世界でもなさそうだ。ただし、AI研究の動向を注視していないと危険な面があることは確かだろう。テクノロジーの最前線を知るなら迷わず本書を読んでいただきたい。

ライター画像
谷田部卓

著者

ルーク・ドーメルLuke Dormehl
イギリス人テクノロジーライター、パブリックスピーカー。著書に『The Apple Revolution(アップル革命)」『The Formula: How Algorithms Solve All Our Problems… And Create More(ザ・フォーミュラ:問題を解き明かし、創造するアルゴリズム)』がある。『WIRED』『ガーディアン』『ファスト・カンパニー』『サンデー・タイムズ』などに寄稿するだけでなく、数々のTVドキュメンタリーも監督。

本書の要点

  • 要点
    1
    2012年に画像認識分野で多層ニューラルネットワークが画期的性能を示すと、世界的ブームとなり現在のAI高速進化につながった。
  • 要点
    2
    AI技術を応用したスマートデバイスやAIアシスタントは、日常生活に浸透しており、やがてAIが人々の仕事を奪っていくと同時に新たな職種を生むと予測されている。
  • 要点
    3
    AIは新しい絵を描いたり小説を書いたりするなど、創造性を発揮している。自然選択を模倣する「進化的アルゴリズム」を用いて、前例がない独創的な設計が実現している。

要約

コンピュータとAIの歴史

コンピュータの草創期
monsitj/iStock/Thinkstock

世界初のプログラム可能なコンピュータは、1945年に生まれたENIAC(エニアック)だ。真空管でできた重さ30トンの「巨大な頭脳」は、1分間で2万回もの乗算を実行できた。どんなに頭脳明晰な人でもかなわないスピードだった。このコンピュータの草創期に、後のAIの基礎を築いた3人の男たちがいる。

まずジョン・フォン・ノイマンは、マンハッタン計画に加わり、水素爆弾の爆破力を最大化するための開発をしていた天才研究者だった。彼の計算機科学での功績は、コンピュータのメモリにプログラムを格納するという考えを、初めて定着させたことにある。

つづいて2人目、イギリスの数学者アラン・チューリングは、第二次世界大戦中にドイツのエニグマ式暗号機を解く解読装置を発明したことで有名だ。チューリングは「万能チューリングマシン」という重要な概念を提唱した。この基本的な考え方は、1つの機能しか持たない機械を多数作るのではなく、1本のテープから順番に命令を読みだすことで、様々なタスクが実行できる万能マシンになる、というものだ。

3人目のクロード・シャノンは、情報理論の生みの親として知られている。彼はトランジスタのオンオフだけで、AND・OR・NOTの論理演算ができ、この単純なステータスを組み合わせて複雑な命令手順をつくれば、複雑な論理推論が実行できると提唱した。

1960年代、AIには潤沢な予算が付き、AIの黄金期だった。優秀なチェッカープログラムが作られ、微積分や幾何学の問題を解くプログラムも作成された。しかし、当時研究者たちがめざしていたのは、知能を記号で表せる「記号操作的AI」だった。このため、環境が限定されるマイクロワールドでは動作したが、現実世界では役に立たなかった。やがて予算が打ち切られてしまい、「AIの冬」の第1期に突入してしまう。

ニューラルネットワークの進展

1946年に、ウォーレン・マカロックとウォルター・ピッツという研究者2人が、脳の神経細胞を模したニューロン形式モデルを発表した。さらにローゼンブラット教授は、「パーセプトロン」という名称のニューラルネットワークに、学習能力があることを証明してみせた。しかし1969年に、記号操作的AIの重鎮マービン・ミンスキー教授に、単層ニューラルネットワークでは識別できないパターンがあると指摘されると、研究資金が途絶えてしまった。

その後ニューラルネットワークは、日陰者扱いされながらも、多層化されるなど、細々と研究が続けられていく。1986年、研究者デービッド・ラメルハートが「バックプロパゲーション(誤差逆伝播法)」を考案して、その高い性能を示すと、ニューラルネットワークはブームを迎える。

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