君たちはどう生きるか

未読
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君たちはどう生きるか
出版社
定価
990円(税込)
出版日
1982年11月16日
評点
総合
4.5
明瞭性
5.0
革新性
4.0
応用性
4.5
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おすすめポイント

本書の主人公は、コペル君というあだ名の15歳の少年である。成績優秀だが、いたずら好きで憎めないところのあるコペル君は、自分の見た情景や、学校の友人たちの行動をきっかけに、哲学的な考えを深めていく。本書は、そんなコペル君の日常の物語と、彼に向けて叔父さんが書いた「ノート」のパートで構成されている。

コペル君は、自分とは異なるタイプの様々な友人に出会って視野を広げるが、その中で、自分の弱さに打ちのめされる経験もする。多感な時期の少年が、友人や叔父との交流を通して精神的に成熟していくさまは少しほろ苦く、その何倍も頼もしい。読者は、コペル君の心の動きに、いつか感じたことのある感情を重ねて、引き込まれてしまうだろう。そして、叔父さんの包容力と知性によって、心の学びを新たにすることになるだろう。叔父さんは、コペルくんが落ち込んだときには、力強く、温かい言葉で激励する。そして、ときに生産関係の仕組みや万有引力の法則も織り交ぜながら、人間のあるべき姿を説く。そこには、人格者で知られる著者の人柄が存分にうかがえる。

1930年代に、若い読者へ向けて書かれた本書は、幅広い年代の読者を獲得しつづけながら今日まで読み継がれている。「君たちはどう生きるか」という問いに、あなたならどう答えるだろうか。そして下の世代に、どう答えてほしいだろうか。ぜひあなたなりの答えを見つけてほしい。

著者

吉野源三郎(よしの・げんざぶろう)
編集者、評論家、作家、翻訳家。1899年東京に生まれる。東京大学哲学科卒業。新潮社「日本少国民文庫」の編集主任を務め、同文庫の最終配本として『君たちはどう生きるか』が刊行された。岩波書店に入社後、雑誌「世界」の初代編集長を務める。また、「岩波少年文庫」の創設にも尽力した。1981年、82歳で死去。

本書の要点

  • 要点
    1
    世の真理を学ぶためには、自己中心的な考え方だけでなく、自分を世の中の構成員の一人としてとらえるような俯瞰的な視点を獲得しなくてはならない。
  • 要点
    2
    過去の偉人の言葉や行動をなぞるだけでは、「立派そうな人」にしかなれない。自分自身の経験を重視し、そこから何を感じたかを深く考えることが、真に立派な人になるための道である。
  • 要点
    3
    自分自身の過ちを認め、そのために苦しむことができるのは人間だけである。人間は自分で自分の行動を決定する力をもち、それゆえ過ちを犯すが、だからこそ過ちから立ち直ることができる。

要約

コペル君のあだ名の由来

分子のようなもの

コペル君がまだ中学1年生だった、10月のある日のこと。コペル君は叔父さんと一緒に銀座のデパートの屋上に立っていた。霧雨の中、7階建てのデパートから見下ろす東京の街は暗く、冬の海のようだった。

ふとコペル君は、この街の無数の屋根の下に、無数の人々が暮らしているという事実に気づく。ここから見えるだけで、どれだけの人がいるのだろうか? そう問いかけると叔父さんは、東京は昼と夜で大きく人口が違うから、まるで潮の満ち引きのように、何百万の人間が行き来しているのだと答えた。

それを聞いたコペル君は、まるで自分が、大きな渦の中を漂う水の分子であるかのような気持ちになった。そして、自分が街の人々を見ているように、だれかがどこかから自分を見ているかもしれない、と思い至る。見ている自分、見られている自分、自分を眺めている自分……。コペル君はめまいのようなものを覚え、帰りがけに、叔父さんにこう漏らした。「人間て、叔父さん、ほんとに分子だね」。その言葉を聞いた叔父さんは、その夜家に帰ると、ノートを開き、コペル君へのメッセージを記した。

ものの見方について
djvstock/iStock/Thinkstock

叔父さんは、コペル君が自分自身を、広い世の中の一存在として見るようになったことを、天動説から地動説への転回にたとえた。子どものうちはどんな人でも、天動説のように自分中心の考えをしているが、大人になるにつれて、世の中の構成員の一人として自分自身をとらえられるようになる。大人になっても手前勝手な考えから抜けきれない人も多いが、この世の真理を知るためには、自己中心的な考えを捨てなくてはならない。

叔父さんは、この日の経験が財産となることを願い、彼に「コペルニクス君」とあだ名をつけた。それが「コペル君」のあだ名の由来である。

コペルくんの友人たち

油揚事件
AkimD/iStock/Thinkstock

コペル君の友人に、北見君という少年がいた。北見君は「誰がなんてったって……」が口癖の頑固者で、ガッチンと呼ばれていたが、自分の間違いはきちんと認める素直さも持っていた。

コペル君と北見君が仲良くなったのは、「油揚事件」がきっかけである。コペル君たちのクラスメイトには、お弁当のおかずが油揚ばかりだというので、「アブラゲ」というあだ名で馬鹿にされている浦川君という少年がいた。ある日、山口という意地の悪いクラスメイトが、浦川君のあだ名をからかってさらし者にしたのに対し、北見君は猛抗議したのだ。山口に殴りかかった北見君は、その後先生に怒られても自分からは理由を話さず、毅然とした態度を保っていた。コペル君は北見君の態度を大変好ましく思い、北見君を自分の家に誘ったのだった。

立派な人間とは

コペル君の話を聞いた叔父さんは、コペル君が北見君の行動に賛同し、浦川君に同情していることをうれしく思い、ノートを書いた。叔父さんも、コペル君のお母さんも、亡くなったお父さんも皆、コペル君に立派な人間になってほしいと願っている。立派な人間になるためには、世の中や人間についての立派な考えをもたなくてはならないが、そうしたことは、いくら本を読んだところで、本当の意味で理解できるものではない。実際に体験することで初めて、過去の偉人の言葉が理解できるようになるのだ。

だからいちばん大切なのは、いつでも自分自身の経験から出発することだ。

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