きみのお金は誰のため

ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」
未読
きみのお金は誰のため
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ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」
著者
未読
きみのお金は誰のため
著者
出版社
東洋経済新報社

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出版日
2023年10月18日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

お金。現代社会でそれを身近に感じない人はいない。誰もがその価値を知っているし、誰もがそれを追い求める。ほとんどの人はお金欲しさに労働し、給料としてお金をもらう。

しかし、立ち止まって考えてみる。お金とは一体何なのだろうか。汗水流して手に入れた一万円札。それ自体はただの紙切れのはずだ。なぜこんなものをもらって、人は喜ぶのだろうか。よくよく考えれば、私たちはお金について知らないことが多い。いや、自分がお金について無知なことすら気づかずに生きている。

本書は、我々がお金に対して抱いている誤解を解くところから始まる。お金にまつわる過大評価や幻想をいとも鮮やかに振り払うのだ。物語は主人公である優斗が、「ボス」からお金にかんする講義を受けることで進んでいく。経済や金融の前提知識は必要ない。中学生の優斗と同じ目線で、身近でわかりやすい例を通してお金への理解を深めることができる。

「お金自体に価値はない」。そう言われてもすぐには納得できず、異を唱える人が多いはずだ。詭弁だ。きれいごとだ。現実を見ろ。そんな言葉が脳裏を掠めるのも無理はない。しかし、本書を読み終わったらきっとこう思うはずだ。「たしかに、お金に価値はない」と。それほど本書は華麗に新たな視点をもたらしてくれる。お金は大事だ、お金がたくさん欲しいと思っている人にほど、本書をおすすめしたい。

著者

田内学(たうち まなぶ)
1978年生まれ。東京大学工学部卒業。同大学大学院情報理工学系研究科修士課程修了。
2003年ゴールドマン・サックス証券株式会社入社。以後16年間、日本国債、円金利デリバティブ、長期為替などのトレーディングに従事。日本銀行による金利指標改革にも携わる。
2019年に退職してからは、佐渡島庸平氏のもとで修行し、執筆活動を始める。著書に『お金のむこうに人がいる』(ダイヤモンド社)、高校の社会科教科書『公共』(共著、教育図書)、『10才から知っておきたい 新しいお金のはなし』(監修、ナツメ社)などがある。『ドラゴン桜2』(講談社)、『インベスターZ 番外編「人生を変える!令和の投資教育」』(コルク)でも監修協力。
お金の向こう研究所代表。社会的金融教育家として、学生・社会人向けにお金についての講演なども行う。
インスタグラム(@tauchimnb)やnote(https://note.com/mnbtauchi/)でも、お金や経済の情報を発信している。

本書の要点

  • 要点
    1
    ボスは優斗に3つの謎をつきつける。その1つがお金に価値がないというものだ。しかし優斗はなかなか信じられない。そんな優斗にボスはトランプを使って、ただの紙切れが価値を持つ瞬間を見せるのだった。
  • 要点
    2
    お金の価値を知ると同時に、優斗はお金が人と人をつなげていることを知る。お金の先には必ず誰かの働きがある。お金のおかげで人々は支え合っているのである。
  • 要点
    3
    一見お金があれば何もかも解決できてしまうような気がする。しかし、ボスはお金に物事を解決する力はないと説明する。お金そのものは無力だ。優斗はそのことを納得することになる。

要約

お金に価値はない

3つの謎
tommy/gettyimages

中学2年生の佐久間優斗の運命を変えたのは、彼自身のお金への執着だった。その日の個別進路指導面談は、5分ほどで終わると思っていた。ところが、将来の職業の話になって「年収の高い仕事がいい」と答えてしまったがために、担任から20分も説教をされるはめになった。お金より大事なものがあると言われても優斗は納得がいかない。結局のところ、先生だってお金のために働いているのではないか。本音を隠してキレイごとを言う大人が、優斗は苦手だった。

そうして帰りが遅くなったために、優斗は近所で有名な屋敷の前で七海という女性に呼び止められることになった。屋敷の入り口の場所を尋ねられた優斗は、七海とともに屋敷の中へ招き入れられ、「ボス」と呼ばれる謎の男と出会う。

投資銀行で働く七海は、投資で莫大な資産を築いたボスに話を聞きにきたという。せっかく来たのだからと優斗も一緒に話を聞くことになった。

ところがボスは、お金もうけの方法を教えるつもりはないと断言した。話すのはお金自体のこと。ボスが小さな指を立てながら伝えたのはお金にまつわる3つの真実だ。

一、お金自体に価値はない。

二、お金で解決できる問題はない。

三、みんなでお金を貯めても意味はない。

優斗も七海もそんなわけはないと口々に反論した。だが、ボスはこれらの3つの謎を解き明かせば、お金の正体が見えてくるという。お金の本当の価値を知るために、優斗と七海はボスの屋敷に通うことになる。

お金に価値が生まれる瞬間

お金自体には価値がない。その「真実」に強い疑問を持つ優斗。そんな彼を前にボスは「毎年大量のお金が燃やされている。だからお金には価値がない」と言い放った。

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要約公開日 2024.02.08
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