無限の始まり
ひとはなぜ限りない可能性をもつのか

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無限の始まり
ジャンル
著者
デイヴィッド・ドイッチュ 熊谷玲美(訳) 田沢恭子(訳) 松井信彦(訳)
出版社
インターシフト 出版社ページへ
定価
3,996円
出版日
2013年11月15日
評点
総合
4.0
明瞭性
3.0
革新性
5.0
応用性
4.0
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無限の始まり
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ひとはなぜ限りない可能性をもつのか
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デイヴィッド・ドイッチュ 熊谷玲美(訳) 田沢恭子(訳) 松井信彦(訳)
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2013年11月15日
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レビュー

「進歩には終わりがない、つまり無限である」――分厚い書籍だが、その主張は実にシンプルだ。

ドイッチュによると、進歩とは「良い説明」の探求から生じるという。「良い説明」とは証拠に支えられており、変更が難しい説明のことである。つまり「良い説明」を探求するということは、普遍的な自然法則を探すことと同義だ。これがドイッチュの主張の骨子であり、各章ではさまざまな例を挙げながら、その根拠を示していく。

ドイッチュは未来に対して非常に楽観的だ。しかしそれはけっして根拠のない楽観主義ではない。本書を読み込めば、あくまで綿密な議論に基づいたうえで結論を下していることがわかるだろう。

幅広い話題が取り上げられているので、とっつきづらく感じる向きもあるかもしれない。しかし本書に数式は登場しないし、単純な読み物としてとてもおもしろい。この要約を先に読み、主張の骨組みを理解してから読めば、存分に楽しめるだろう。

なお要約でも取りあげている17章は、とりわけビジネスパーソンに読んでいただきたい。社会を組織ととらえ、知識をイノベーションととらえれば、持続可能な組織の唯一のあり方が、ここに示されているといえるのではないか。

日本でもベストセラーとなった、ジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』に対する痛烈な批判も読み応えたっぷりだ。サイエンスものだからといって、敬遠していてはあまりにもったいない。

金松 豊

著者

デイヴィッド・ドイッチュ (David Deutsch)
オックスフォード大学の物理学教授、同校の量子計算研究センターに所属。英国王立協会の特別会員。量子計算・量子コンピューターのパイオニアにして、並行宇宙論の権威、多世界解釈の主唱者として知られる。かつてホーキングやペンローズも受賞したディラック賞を受賞。既刊書は、『世界の究極理論は存在するか:多元宇宙理論から見た生命、進化、時間』(朝日新聞社)。
本書『無限の始まり』は、ニューサイエンティスト誌による「年間ベスト科学本(Best 10、2011)、ニューヨーク・タイムズ紙による「年間最重要作(Best 100、2011)を獲得。全米ベストセラー(ニューヨーク・タイムズ紙による)となっている。

本書の要点

  • 要点
    1
    科学革命において探求されることになった「良い説明」とは、テスト済みの細部に支えられ、変更の難しい説明のことである。この「良い説明」の探求が、無限の進歩への扉を開く。
  • 要点
    2
    古代からの人間中心主義が否定され、多くの思想的実りがもたらされた。だが反人間中心主義も普遍的な真理ではない。説明的知識を生み出しうる人間は、宇宙的重要性をもった存在である。
  • 要点
    3
    持続可能な社会はありえない。人間が生み出すのは持続不可能な解決策だ。だから常に問題を解決しつづける必要がある。無限に持続可能なのは進歩だけだ。

要約

無限の進歩につながる「良い説明」とは

科学理論とはなにか
Trifonov_Evgeniy/IStock/Thinkstock

恒星が光る理由について、あるいはブラックホールの内部について、私たちはある程度深く理解している。だがどうやって理解しているのだろうか。実際にそれをみた人間などいないはずなのに。

私たちの最善の理論は、並外れたリーチと力をもっている。これとは対照的に、私たちがそうした理論を生み出すために用いる手段は、根拠が不確かかつ局所的だ。私たちは星が核エネルギーで光る事実を直接目にしたわけではない。それをただ理論によって知っているのである。

科学理論とは説明のことだ。ではそうした説明はどこからもたらされるのか。かつては自らの感覚という証拠から導かれるとされてきた。いわゆる「経験論」である。

しかし科学理論はなにかからおのずと導き出される類のものではない。科学理論とは推測、つまり大胆な推量だ。そしてそれは人間の心によって生み出されるのである。

あらゆる権威を否定すること

説明的理論の特徴は、推量や批判、テストを通して改良できることだ。これは科学にとってきわめて重要である。

真実の探求のためには、権威を否定する必要がある。ある知識を「たしからしい」と正当化するための信頼できる手段などないと認識することで、実際にそこになにがあり、どうふるまうのか、そしてその理由はなにか、より良く理解できるようになる。

「自分たちの最善かつもっとも基本的な説明にさえ、誤りがある」と考えることは、より良い方向へと変えようと努力する契機となる。限りない知識の成長の始まり、つまり無限の始まりにおいて、こうした姿勢は必要不可欠だ。

先史時代のごくはじめからつい最近にいたるまで、人類は現実世界の理解をゆっくりとしか深められなかった。そこに科学が登場し、著しい速度で知識を創造することに成功した。これは「科学革命」と呼ばれている。

「科学革命」はもともと、より幅広い知的革命である「啓蒙運動」の一部だった。「啓蒙運動」という用語はいくつもの概念を含んでいるが、共通しているのは、それが知識に関する権威への抵抗だったということである。しかも古い権威を否定して新しい権威を打ち立てるのではなく、権威に頼らずに知識を得ようとしたことが重要であった。啓蒙運動とは知識を探し求める方法についての革命だったといえる。

変更を恣意的にできてはならない
bowie15/iStock/Thinkstock

科学革命によって「科学理論は『テスト可能』でなければならない」とする、方法論上のルールが生まれた。いまそのルールは、科学的手法を定義づけるものとして広く受け入れられている。

だが理論=テスト可能というだけでは、進歩を起こすまでには至らない。大切なのは起こっていることを正確に説明することである。そうでなければ「科学は結果の予測ができるだけで、結果を引き起こす実在そのものを記述するものではない」という過去の誤った考え方に陥ってしまう。

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サイエンス リベラルアーツ
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デイヴィッド・ドイッチュ 熊谷玲美(訳) 田沢恭子(訳) 松井信彦(訳)
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