師匠 歌丸
背中を追い続けた三十二年

未 読
師匠 歌丸
ジャンル
著者
桂歌助
出版社
イースト・プレス 出版社ページへ
定価
1,620円
出版日
2018年07月24日
評点(5点満点)
総合
3.8
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
3.0
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レビュー

「笑点」の顔として長らく親しまれてきた落語家、桂歌丸さんが亡くなった。本書は、歌丸さんの弟子として、その背中を32年間にわたって追い続けてきた桂歌助氏による一冊だ。

歌丸さんと著者の物語は、著者が歌丸さんの家を訪れるところから始まる。「弟子入りさせてください」と伝えるためだ。ところが呼び鈴を鳴らすことができず、あきらめて帰ってしまうことが二度続いた。三度目の正直でおかみさんと話すことができ、数日後に東陽町の寄席で歌丸さんと会うことが決まる。

当日、弟子になりたいむねを伝えるも、やはりすぐにOKをもらえるわけではない。それでも、数日後に家に来るように言ってくれたという。しかし実際に家に行くと、歌丸さんは「そこに座りなさい」と言ったきり、「笑点」の録画をじっと見ている。話をするでもなく、感想を求められるでもない。入門を許可するとも、しないとも言わない。また数日後に来なさいと言われて帰る――ということが2カ月間続いてやっと、入門が認められた。

こうした2人のエピソードが、著者の入門からNHKドラマ「薄桜記」への出演まで時系列で語られる。つい著者に同情してしまうエピソードあり、ホロリとさせられるエピソードありで、あっという間に読み切ってしまうこと請け合いだ。エッセイ調で読みやすい一冊が、本書で語られる師弟愛や落語界の裏側からは、ビジネスに生きる学びも多く得られることだろう。

庄子 結

著者

桂 歌助(かつら うたすけ)
1962年9月19日、新潟県十日町市生まれ。神奈川県横浜市在住。5人兄弟の三男。高校時代は甲子園をめざし、練習にあけくれるも、あと三歩のところで涙をのむ。ポジションはセカンド。1987年東京理科大学卒業。大学在学中の1985年12月、師匠歌丸に入門し、歌児となる。1986年5月、前座になる。1990年6月、二ツ目に昇進、歌助に改名。1999年5月、真打昇進。古典落語を中心に活動。2000年、TBSテレビ「水戸黄門」に準レギュラー出演。2013年、NHK総合テレビの時代劇「薄桜記」に出演。舞台役者として、1995年、新宿コマ劇場「細川たかし公演」に出演。2012年より三越劇場「春秋男組」にレギュラー出演中。2018年、国際NGOマラリア・ノーモア・ジャパン「第五回ゼロマラリア賞」受賞。年間300席を目標に各所で高座をつとめている。

本書の要点

  • 要点
    1
    落語界では、師匠が弟子の食事や住まいの面倒をみてやることはない。しかし歌丸は、弟子の家賃を支払い、腹いっぱい食べさせ、着物をつくってくれた。落語という芸を後世に残したい、弟子に芸をしっかり磨いてもらいたいという思いがあったからだ。
  • 要点
    2
    二ツ目の初日、著者は両親と食事に行く約束をしていた。歌丸は何も言わなかったが、実はおかみさんに指示をし、赤飯を炊いておいてくれたと後になってわかった。寄席のあと何もなければ、夕食をともにしようと考えてくれていたのだ。

要約

【必読ポイント!】 入門

「弟子にしてください」
vetdoctor/iStock/ThinkstockThinkstock

著者が落語家を志したのは、東京理科大学の4年生だったときだ。弟子入りするため、歌丸の家へと向かった。しかし、手土産を持っていなかったり、挨拶の言葉が思い浮かばなかったりして、あきらめて帰ってしまうことが2度続いた。

3度目に向かったときは、歌丸が玄関から出てくるのを待つ作戦をとることにした。しかし、彼は不在の様子だ。家の中をのぞき込んでみると、歌丸の奥さんと目が合う。慌ててしまい、歌丸に言おうとしていた「入門したいんですけど」というセリフが口をついて出てしまった。おかみさんは、2日後に東陽町の寄席「若竹」に行くようにと言ってくれた。

当日、歌丸に入門したいむねを伝えた。しかし質問されるがまま、教師を目指すつもりだったことを話すと、「そのままの道を進んだほうがいいよ」と言われてしまう。続けて「落語家は食える仕事じゃない」「親は承知しているのか」などと言われ、すんなりとOKが出ない。「もう1回ウチに来なさい」という歌丸の言葉で、15分ほどの面接が終わった。

面接の日々

言われたとおり、数日後に歌丸の家に向かう。歌丸は、居間でテレビを見ていた。ぽつりぽつりと世間話を交わすが、いつまでたっても本題に入らない。

しばらくすると歌丸は自室に入り、自分が出演した「笑点」の録画をチェックしはじめた。話しかけても、夢中になっていて返事をしない。しばらくすると突然、「次は3日後に来なさい」と言われた。著者は言われたとおりに訪問するが、いつも「笑点」を見ている歌丸のそばに座っているだけ。弟子入りを許可するとも断るとも言われない。そんな日々が2カ月近く続いた。

ある日、歌丸の部屋に呼ばれた。何を言われるのだろうとドキドキしていると、歌丸が筆ペンを取り出し、白い紙に「歌児」と書いた。そして目を丸くしている著者に向けて「おまえの名前だよ」と言ったのだ。こうして著者の弟子入りが許された。

初稽古

最初に教わった噺は、「新聞記事」だった。歌丸と差し向かいで座布団に座り、一席通してしゃべってみせてもらった。そのあと、細かいしぐさを丁寧に教えてくれた。

「新聞記事」は、身振り手振りなどのしぐさをともなう仕方話だ。落語では、小道具として扇子と手ぬぐいだけを使ってよいことになっている。扇子を刀や木刀に見立てて演じていくというわけだ。

しかし、

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師匠 歌丸
未 読
師匠 歌丸
ジャンル
産業・業界 リベラルアーツ
著者
桂歌助
出版社
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定価
1,620円
出版日
2018年07月24日
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