ストレッチ

少ないリソースで思わぬ成果を出す方法
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おすすめポイント

人材、資金、ツールなど、あらゆるリソースが十分にある状況はめったにない。だから私たちはなにかが足りないことを嘆き、「もっと人手を」「もっと資金を」と思いがちである。

だが本書によれば、私たちはみな「すでにあるもの」だけでもっと成果を上げ、もっと強い組織を築き、もっと仕事を楽しみ、もっと大きな幸福を手にできるという。タイトルにある「ストレッチ」とは、それを実現するための考え方であり、技能であり、ワークスタイルのことだ。

本書の特徴は、豊富な実例を通して、ストレッチ実現までの道筋を示している点にある。大まかには以下のような構成だ。まずリソースをめぐる一般的な考え方から自由になるため、各方面で活躍するストレッチの実践家が紹介される。いつまでもなにかを追い求める「チェイシング」というアプローチとの対比を通して、ストレッチへ発想を切り替えることの重要性がわかるはずだ。

次にストレッチの才能を呼び起こす方法が紹介される。「この才能は誰もが持っているのに気づいていないだけだ」という著者の言葉には勇気づけられることだろう。また一見リソースに恵まれない人でも、成長する方法があることも示される。

さらに締めくくりとして、ストレッチ強化に向けた12のトレーニング方法が紹介される。「ストレッチを身につけることで得られる果実、それはあなたの手に届くところにある」と著者はいう。いますぐ試さない手はない。

ライター画像
小島和子

著者

スコット・ソネンシェイン(Scott Sonenshein)
ミシガン大学で経営学・組織論の博士号、ケンブリッジ大学で修士号、バージニア大学で学士号を取得。シリコンバレーのスタートアップ企業での勤務経験、AT&Tやマイクロソフトなどでの戦略コンサルタント経験等を経て、現在ライス大学教授(経営学担当)。フォーチュン500企業の幹部、起業家、専門家などもサポートする。その対象分野はテクノロジー、医療、小売、教育、銀行、製造、NPOなどじつに多岐にわたる。

本書の要点

  • 要点
    1
    手持ちのリソースを活用すれば、誰でも仕事や暮らしを充実させ、人生に満足できるようになる。それを実現するための考え方、技能、ワークスタイル――それが「ストレッチ」である。
  • 要点
    2
    リソースが多いほど大きな成果につながると思うのは「チェイサー」の悪いクセだ。重要なのはリソースの「活用」であって「獲得」ではない。
  • 要点
    3
    ストレッチのスキルの1つに「部外者の視点」を獲得するという手がある。いわゆる「専門家」よりアウトサイダーのほうが、優れた解決策を見いだせることも多い。

要約

【必読ポイント!】いまあるリソースの価値を知る

豊富なリソースが優れた結果を生むわけではない
Joe_Potato/gettyimages

誰でも手持ちのリソースを使えば、仕事や暮らしをもっと充実させることができる。目の前の「未開拓の価値」を活用する方法が身につけば、これまで想像もしなかった可能性が次から次に開かれるはずだ。

著者は幅広い業界の組織を10年以上にわたって調査し、なにが組織を繁栄させ、従業員を裕福にさせるのかを研究してきた。その結果わかったのは、リソースの使い方やリソースに対する考え方が、仕事上の成功や個人的な満足、組織のパフォーマンスに大きな影響を及ぼすということだ。

ところが私たちの多くは、リソース獲得の重要性を過大評価する一方で、手持ちのリソースを活用する自分の能力を過小評価する傾向がある。

人や組織がこうした考え方を改め、リソースを最大限に活用して大きな成果と達成感を得るためには、「ストレッチ」という考え方を知り、その極意を習得するのが近道だ。ストレッチとは、多くのリソースを望むのではなく、手持ちのリソースの可能性を受け入れ、それを行動の手がかりとする考え方と技能である。

ストレッチ習得の第一歩は、「豊富なリソース=優れた成果」という誤った発想を捨てることだ。とかく私たちは、リソースは多ければ多いほどいいと本能的に思いがちである。「ジリ貧の製品にてこ入れするには、マーケティング予算を追加せよ」「学校をよくするには先生を増やせ」といった具合だ。だが実際は、むやみにリソースを追い求めたところで、大した結果をもたらさないことも多い。手元にあるリソースのポテンシャルを見逃してしまうからだ。

制約を逆手に取って創造性を発揮する

ストレッチのメリットについて知るため、42年間も逃亡生活を続けた一家の話を紹介しよう。

シベリアの地質学者は1978年、半世紀近くも前に行方を絶ったルイコフ一家を偶然発見した。宗教迫害から逃れた一家は、人里離れた未開の地に身を落ち着け、社会から完全に孤立して、第二次世界大戦の勃発も終戦も知らぬまま過ごした。

逃亡生活の間に生まれた次男と次女は、発見されるまで家族以外の人間と会ったことさえなかった。現代文明と無縁の一家は、手持ちのリソースで生きていくしかなかった。だから彼らは、ジャガイモの皮や松の実の殻で家の床を、麻の種子から衣服をつくった。そして限られた生活環境に適応し、手に入る数少ないものを生活必需品に変える方法を見出していった。

これは極端な例だと思うかもしれない。しかし人は必要に迫られ、工夫してやりくりすれば、信じられないようなことを成し遂げるものだ。なんらかの制約や制限に直面したとき、「ストレッチャー」は制約があるからこそ創造的に行動し、結果的に問題解決にたどり着く。手持ちのリソースに可能性を見出し、上手に活用・改善するストレッチャーになれば、どんなときでもベネフィットを享受できるのだ。

リソースを追い求めてしまう4つの要因

SNSが加速させる「上」との比較
Giulio Fornasar/gettyimages

ストレッチとは対称的に、絶えずなにかを追い求めるアプローチを「チェイシング」と呼ぶ。チェイシングに依存しがちな人(=チェイサー)にとって、大事なのはリソースの「獲得」であり、彼らは手持ちのリソースの「活用」には目もくれない。

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要約公開日 2018.12.10
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