セキュアベース・リーダーシップ

〈思いやり〉と〈挑戦〉で限界を超えさせる
未読
日本語
セキュアベース・リーダーシップ
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セキュアベース・リーダーシップ
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おすすめポイント

世界有数のビジネススクール「IMD」の教授陣による、「最高のリーダー」になるための教科書が登場した。本書の主旨は、リーダーが安全基地(セキュアベース)となり、フォロワーと心でつながるからこそ、フォロワーは限界に挑戦できるというものである。セキュアベース・リーダーが提供するのは「安全」だ。安全があるからフォロワーはリスクをとれる。そしてそれがリーダーとフォロワー双方にとって、持続的な高業績を上げることにつながる。

著者たちは世界中の企業幹部を対象としたインタビューやアンケートを通して、セキュアベース・リーダーの9つの特性を特定した。それを踏まえたうえで、本書ではどのようにして安全や安心を提供するか、どのようにして挑ませるのか、どのように挑戦やリスクを提供するか、こうした考え方をすぐに行動に移すにはどうすべきかといったことが語られる。また9つの特性を伸ばすための具体的な方法が提示されているのもポイントだ。

本書を読むことで、リーダーとして職場でどのように行動すべきか、どのように時間を使うべきかが明らかになるだろう。自身の目指すリーダー像も明確になるはずだ。企業を牽引する中堅社員の方や管理職の方に、ぜひお読みいただきたい一冊である。

ライター画像
木下隆志

著者

ジョージ・コーリーザー (George Kohlrieser)
スイスにある世界有数のビジネススクール、IMDの教授(リーダーシップと組織行動)。心理学者として、また人質解放の交渉人としての経験を持ち、得られた教訓を生かして、世界の100か国以上のリーダーやグローバル企業を対象に仕事を行ってきた。研究・教育・コンサルティング活動のテーマは、リーダーシップ、チームワーク、変革管理、対話・交渉、コーチング、ワークライフバランス、個人そして職業人としての成長、など。オハイオ州立大学にて博士号取得。彼が2002年に創設し、現在もディレクターを務めるIMDの6日間のHigh Performance Leadership(HPL)プログラムは、2018年9月までに80回を重ね、世界数十カ国の5000人を超えるリーダーが学んできた。本書のほかにHostage at the Table: How Leaders Can Overcome Conflict, Influence Others,and Raise Performanceを著している。

スーザン・ゴールズワージー (Susan Goldsworthy)
IMD客員教授(リーダーシップと組織変革)。オリンピック決勝出場経験を持つ元水泳選手。人々とともに、知識を行動に転換させるプロセスに取り組むことに情熱を持つ。経営幹部の自己変革を支援する、IMDのCLEAR(Cultivating Leadership Energy through Awareness and Reflection)プログラムの共同ディレクター。本書の他の共著書に、Choosing Change: How Leaders & Organizations Drive Results One Person at a Timeがある。現在、組織行動論で博士号取得の過程にある。エグゼクティブコーチとしても経験が豊富。

ダンカン・クーム (Duncan Coombe)
IMD非常勤教授(組織行動とリーダーシップ)。企業幹部を対象に、リーダーシップ、組織開発、文化と変化のマネジメントなどのテーマについて講義、アドバイスを行う。仕事の中心となるテーマは人間の幸福で、個人、チーム、組織、社会など、あらゆるレベルでこのテーマを追求している。ケースウェスタン・リザーブ大学のウェザーヘッド経営大学院で、組織行動論を研究し、博士課程を修了。IMDではMBA (経営修士号)を取得。プロクター・アンド・ギャンブルとインベステック・アセット・マネジメントでさまざまな事業開発のポジションを経験した。

本書の要点

  • 要点
    1
    セキュアベース・リーダーは、フォロワーを深く思いやり、高いレベルの挑戦を促す。だからこそリーダーもフォロワーも最業績を達成することができる。
  • 要点
    2
    セキュアベース・リーダーの特性は次の9つである。(1)冷静でいること、(2)人として受け入れること、(3)可能性を見通すこと、(4)傾聴し質問すること、(5)力強いメッセージを発信すること、(6)プラス面にフォーカスすること、(7)リスクをとるように促すこと、(8)内発的動機で動かすこと、(9)いつでも話せることを示すこと。
  • 要点
    3
    セキュアベース・リーダーシップは、「絆」の形成、「悲しみ」と向き合うこと、「心の目」の形成、「勝利を目指す」アプローチから構成される。

要約

セキュアベース・リーダーシップ

安全基地とは

安全基地(セキュアベース)とは、「守られているという感覚と安心感を与え、思いやりを示すと同時に、ものごとに挑み、冒険し、リスクをとり、挑戦を求める意欲とエネルギーの源となる人物、場所、あるいは目標や目的」を指す。

強力なセキュアベースは人である場合が多い。だが不安を克服させ、挑戦への意欲とエネルギーをもたらすものならば、なんでもセキュアベースとなる。たとえば場所や目標もセキュアベースになりえるし、国や宗教、神、イベント、グループ、あるいはペットもセキュアベースとなるかもしれない。

安心感があるからリスクがとれる
Jirsak/gettyimages

セキュアベース・リーダーシップとは、「フォロワーを思いやり、守られているという感覚と安心感を与えると同時に、ものごとに挑み、冒険し、リスクをとり、挑戦を求める意欲とエネルギーを持たせる。そうすることで、信頼を獲得し、影響力を築く方法」である。

フォロワーと絆をつくると同時に、フォロワーや組織を目標に向かわせる。絆を通じて安全を提供し、可能性に目を向けさせることで、リスクをとることを促すのだ。

セキュアベース・リーダーシップの最初の一歩は、「絆の形成」によって信頼感を生み出すことである。ここでいう信頼感とは、「リーダーがフォロワーの最善を考えて行動する」こと、そして「フォロワーにとって適切な挑戦のレベルをリーダーが把握している」ことで形成される。

セキュアベース・リーダーの特定

9つの特性

著者らは世界中の企業幹部にインタビューやアンケートをおこない、セキュアベース・リーダーの9つの特性を次のように特定した。(1)冷静でいること、(2)人として受け入れること、(3)可能性を見通すこと、(4)傾聴し、質問すること、(5)力強いメッセージを発信すること、(6)プラス面にフォーカスすること、(7)リスクをとるように促すこと、(8)内発的動機で動かすこと、そして(9)いつでも話せることを示すことである。これらの9つの特性は個人においても組織においても効果を発揮する。

たとえば多くの高業績のリーダーが、(1)冷静でいることの重要性を口にしている。プレッシャーにさらされているときでも、落ち着いていて頼りにできる存在が、セキュアベース・リーダーだ。この特性を伸ばすには、「気分を変える」、「なにをどのように言うのかに注意する」、「マインドフルネスの練習をする」といった行動があげられる。

【必読ポイント!】セキュアベース・リーダーシップの構成要素

「絆」の形成
LittleBee80/gettyimages

セキュアベース・リーダーシップは、「絆」の形成、「悲しみ」と向き合うこと、「心の目」の形成、「勝利を目指す」アプローチからなる。

なかでも絆は重要だ。仕事において無視されがちなのは、「思いやり、挑ませる」うちの「思いやる」部分だからである。リーダーが厳しい規律を設け、目標に集中したとしても、人と人とのあいだに絆がなければ、おそらく成功はしない。

いままで一緒に仕事をしたリーダーのなかで、もっとも勇気を与えてくれたリーダーは、温かく、親しみやすく、熱意があり、厳しいが勇気をくれる人だったのではないだろうか。非常に優れたリーダーは、他者と単につながるだけでなく、感情面で強い絆を結ぶことができるのだ。

リーダーとして目指すべきは、フォロワーと友だちになることではなく、絆をつくること、思いやること、そして鼓舞することである。業績に与えるインパクトを考えても、絆の形成による信頼感の獲得は、最優先で取り組むべきだ。セキュアベースとなることで、リーダーはフォロワーの驚くべき可能性を引き出す。そしてそれによって生産性ややる気を高め、結果を出すのである。

前述した9つの特性のうち、とりわけ絆の形成に役立つのは、(2)人として受け入れること、(3)可能性を見通すことである。

「悲しみ」と向き合うこと
rclassenlayouts/gettyimages

絆を形成するうえで、「悲しみ」と向き合うことは必須だ。それは変化と成長のためのプロセスでもある。

ところが多くの人は喪失や悲しみをタブー視し、重要なことにもかかわらずうまく対処できていない。重大な喪失は、たとえそれが個人的なものだとしても、リーダーとしてのパフォーマンスにかならず影響するものだ。セキュアベース・リーダーとして仕事をするには、自分の喪失を認識し、それをきちんと悲しむ必要がある。逆にいえば、喪失という重荷を下ろさなければ、絆をつくるのに必要なエネルギーは手に入らないし、他者を励ますこともできない。

フォロワーが喪失を経験した際は、それが私的なものでも仕事に関係したものでも、セキュアベース・リーダーは力を貸すべきである。悲しみの解決は、モチベーションと熱意を高めて、より早く結果を出すうえで欠かせない。そしてイノベーションや企業の存続に必要な変化を起こすためにも重要である。

悲しみと向き合うプロセスをサポートするには、まず自分が本当にその人にとってのセキュアベースであり、その人と絆で結ばれているかどうかを確かめなければならない。そうでなければせっかく力を貸しても、おせっかいだと受け取られかねないからだ。精神面や実務面で、自分が相手との対話に適した状況であることを確認し、二人きりになれる場所と時間を確保するべきである。

フォロワーの悲しみに対処するうえで重要な特性は、(4)傾聴し、質問すること、(5)力強いメッセージを発信することだ。

「心の目」の形成

「心の目」とは、人がどのように世界を見ているかを意味する。あらゆる出来事や経験、課題やチャンスをどう解釈するかは、心の目にかかっている。人生で起きることをコントロールすることはできないが、それにどのように対応するかは選択できるからだ。

また心の目は懐中電灯のように、目を向ける方向を照らし出す。痛みや喪失など、人生のマイナス面に目を向けることもできるし、利益や進歩など、プラス面に目を向けることもできる。どこに懐中電灯を向けるかによって、仕事や人生でどれだけのことを達成できるかが変わってくる。

セキュアベース・リーダーの重要な役割は、人々の心の目を導くことだ。心の目を形成しているのは、これまでのセキュアベースである。希望や夢の背後には、これまで培ってきた経験があり、それらが性格や個性、信念や価値観を育ててきた。自分のこれまでの経験がどのように心の目を形成してきたかを理解すれば、もっと多くのことを達成できるようになる。さらに他の人たちにも影響を及ぼし、さらに大きな課題を追求するように促すことだってできるだろう。

だからこそセキュアベース・リーダーにとって重要なのは、自分の心の目を筋肉のように鍛えることだ。心の目の形成に役立つセキュアベース・リーダーの特性として、(6)プラス面にフォーカスすること、(7)リスクをとるよう促すことが挙げられる。

「勝利を目指す」アプローチ
Rawpixel/gettyimages

「勝利を目指す」アプローチとは、人々が絆をつくることを促進し、その人たちが目標を達成できるように集中させることである。

強いセキュアベースは誰もが求めている。誰もが絆をつくりたいと思い、挑戦をしたいと思っている。絆を通じた強い人間関係と、挑戦を通じた成長の両方を望むのは、人間にとって自然なことだ。

勝利を目指すときは、セキュアベース・リーダーシップのすべての要素を結合しなければならない。絆、悲しみと向き合うこと、そして心の目である。そしてそれらすべてを通して、思っていた以上の成果を成し遂げるのだ。セキュアベース・リーダーは可能性を引き出し、思いやり、挑ませる。このようなかたちのアプローチなら継続できるし、健全なかたちで高業績も達成できる。

「思いやること」と「挑ませること」は、リーダーシップにおける2つの軸だ。この2つを正しいバランスで組み合わせると、セキュアベース・リーダーシップとなる。「勝利を目指す」アプローチは、成功に必要なリスクをとることでもある。チームや組織のメンバーを目標にフォーカスさせながら、そのメンバーたちと絆を保っているとき、そのリーダーは勝利を目指している。つまり勝利を目指すとは、人間関係によく注意を払い、同時に高いレベルの挑戦をさせて、リーダーとフォロワーがともに最高の業績を上げられるようにすることにほかならない。

ゆえにリーダーは可能な限り、フォロワーの恐怖や防御の感情を取り除くように動くべきである。リーダーはフォロワーを守るためにそこにいて、同時に厳しいフィードバックと高い期待をもってフォロワーを試す。そうすればフォロワーは安全であるとともに、「試されている」とも感じる。そして自由に冒険し、クリエイティブになり、リスクをとってイノベーションを起こそうとする。

勝利を目指すアプローチにおいて、とくに重要な特性は(8)内発的動機で動かすこと、そして(9)いつでも話せることを示すことである。

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