amazon 世界最先端の戦略がわかる

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出版社
ダイヤモンド社

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出版日
2018年08月08日
評点
総合
4.3
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
4.5
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おすすめポイント

私たちの生活に急速に浸透したアマゾン。日常の買い物でたっぷりとその恩恵を受けている人もいれば、もっぱら書籍の通販として利用している人もいるだろう。あるいは、AWSのお世話になっているかもしれない。しかし、アマゾンの利用度合いにかかわらず、本書で明らかにされるこの会社の全貌に、多くの方は息を飲むのではないか。

オンラインの書籍販売からスタートした同社ではあるが、「地球上で最も豊富な品揃え」をうたい、今や日用品やネットでは展開が難しいとされていた生鮮食品すら取り扱っている。しかもその安さで他社を圧倒しており、多くの品物が注文をした翌日には届く。いったいどのような仕組みでこれが持続できているのか。

この仕組みを特定するのはそんなに簡単ではない。というのは、アマゾンは徹底した秘密主義で、外部からはなかなか全貌がつかめないからだ。それでありながら、投資家から多くの支持を得ており、時価総額はトップのアップルに迫る勢いである。それを支えているのは、テクノロジーを用いて既存の産業が抱える課題を解決してきた実績への信頼と、未来に投資する姿勢への好感にほかならないであろう。

本書は、アマゾンの卓越したビジネスモデルのすごさと、未来に与える影響を網羅的に紹介する。もはや明日の経済社会はアマゾン抜きには語れない。ビジネスの最先端を語るうえで、本書が必読の一冊であることにまちがいない。

ライター画像
しいたに

著者

成毛 眞(なるけ まこと)
1955年北海道生まれ。元マイクロソフト代表取締役社長。
中央大学商学部卒業。自動車部品メーカー、株式会社アスキーなどを経て、1986年マイクロソフト株式会社入社。1991年、同社代表取締役社長に就任。2000年に退社後、投資コンサルティング会社「インスパイア」を設立。元スルガ銀行社外取締役。現在は、書評サイト「HONZ」代表も務める。『本棚にもルールがある』(ダイヤモンド社)、『インプットした情報を「お金」に変える 黄金のアウトプット術』(ポプラ新書)、『AI時代の子育て戦略』(SB新書)など著書多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    アマゾンは、生活に関わる商品の圧倒的な品揃えと、安さ、早さで、ネット通販において他を圧倒する存在となった。
  • 要点
    2
    最高の顧客サービスを実現するべく、新サービスとそれを実現するテクノロジーに、豊富なキャッシュフローを惜しげもなく投資しているのがアマゾンの特徴だ。そこから得られた強みを近隣の領域に広げることで、クラウドサービスなどで次々と世界の覇者となっている。
  • 要点
    3
    その動向は小売り、IT、金融など、あらゆる業界を変える可能性を秘めている。もはやアマゾンを抜きにして明日の産業を語ることはできない。

要約

【必読ポイント!】 圧倒的な品揃えを、安く、早く

アマゾンの戦略とは?
urfinguss/gettyimages

アマゾンが掲げる使命は、「地球上で最もお客様を大切にする企業」である。常に最安値で、迅速に顧客に商品を提供しようとしている。そしてアマゾンの創業者ジェフ・ベゾスは、自社の業態を「ロジスティックス企業」と定義している。

こうした使命を果たすために、同社は試行錯誤を繰り返し、有望なビジネスモデルのみを残してきた。そのビジネスモデルを水平展開することによって、他社も巻き込むビジネスのプラットフォームをつくり、自らがルールの支配者となる。このようにしてアマゾンは、数々の事業の覇者になってきたのである。

買い物をシンプルにする仕組み

それでは同社の事業のルーツであり、売上の半分を占める「小売り」事業について見ていこう。アマゾンのネット通販のポイントは、「大量の品揃え」「安価」「手続きのシンプルさ」である。

大量の品揃えはいうまでもない。それを支えるのは、自社の直販のほか、アマゾン以外の外部事業者が出品できる「マーケットプレイス」というサービスだ。いわゆる仮想商店街ととらえればよい。ただし他と違うのは、消費者が他の出品者の商品も、アマゾン直販の商品と同じフォーマットで購入できるという点である。

他の仮想商店街の多くでは、消費者は商品の代金を出品業者それぞれに直接支払う。これに対しアマゾンでは、支払いを一元管理している。そのため、消費者はクレジットカード番号を各出品業者に知らせることなく、安心して買い物ができるというわけだ。

大量の品揃えを可能にする仕組み

では、時には競合関係になりかねないアマゾンのマーケットプレイスに、なぜこれほど多くの外部の企業が出店するのだろうか。出店を促す仕組みが「フルフィルメント・バイ・アマゾン」、略してFBAと呼ばれるものだ。

このサービスを使えば、商品の保管から注文処理、出荷、決済、配送、返品対応まで、アマゾンがまとめて代行してくれる。店舗や自社のECサイトがなくても、アマゾンの倉庫に預けるだけで、あとはアマゾンが自社商品を売ってくれるという仕組みだ。中小・零細企業でも、国境をまたいで輸出ビジネスを簡単に開始できるのも、この仕組みのメリットだ。

しかし、良いところばかりではない。たとえば、ある出店企業がアマゾンの扱っていない商品を売り、それがヒットしたとしよう。支払いを管理しているアマゾンにはその情報は筒抜けである。そのため、アマゾンはその商品を売れ筋と判断し、直販に動く。しかもアマゾンはどこよりも低価格で商品を調達できる。かくして、中小企業はそれに合わせて値下げをせざるをえない。体力勝負ではアマゾンにかなうはずがないからだ。アマゾンはこうした徹底した値下げ攻勢で、結果的にライバルを潰してきたのである。

キャッシュを生み出す「打ち出の小槌」

アマゾンは「常に最安値で、迅速に顧客に商品を提供する」ために、巨額な投資を惜しまない。ではどうしてそのような巨額投資ができるのだろうか。その鍵を握るのが「キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)」である。

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要約公開日 2018.12.05
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