生き物の死にざま

未 読
生き物の死にざま
ジャンル
著者
稲垣栄洋
出版社
定価
1,400円 (税抜)
出版日
2019年07月15日
評点
総合
4.0
明瞭性
5.0
革新性
4.0
応用性
3.0
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生き物の死にざま
生き物の死にざま
著者
稲垣栄洋
未 読
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出版社
定価
1,400円 (税抜)
出版日
2019年07月15日
評点
総合
4.0
明瞭性
5.0
革新性
4.0
応用性
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レビュー

永遠の命を生きるクラゲがいたとしたら、決して老いることのないネズミがいるとしたら、彼らにとっての「死」とは何であろうか。

この地球上には数え切れないほどの生き物が生息している。人間の尺度では思いもよらない生涯を歩み、そしてさまざまな形で「死」を迎える生き物が。本書では、そうした数々の「死にざま」を眺めることで、「命をつなぐ」瞬間を垣間見る。

彼らはみな人間とは異なる存在だけれど、エッセイの中でどこか擬人化されたそれぞれの生物たちは、あまりに人間味にあふれていて、不思議と感情移入してしまう。生物ごとに描かれた挿絵がまた、その「生」と「死」の物語をより明確にイメージさせる。自分の人生を生きていると思っている人間にとっては、種のために死ぬその姿が愚かしく映るかもしれない。しかし、どちらがどう「愚かしい」と、だれが決められるのであろうか。

ところどころに、現実へのアレゴリーが含まれ、社会を風刺する表現も登場する。生物の死にざま、生きざまから、環境を壊すヒトの行動の愚かしさを嘆かずにはいられない。

人間とは遠いところから生命の話が始まったと思っていたら、最終的には人間自らの「死にざま」について考えることになる。本書の書きざまは軽妙でわかりやすい。それがより一層、読後のヒトの考えを深めてくれる。

石田翼

著者

稲垣 栄洋(いながき ひでひろ)
1968年静岡県生まれ。静岡大学大学院農学研究科教授。農学博士。専門は雑草生態学。岡山大学大学院農学研究科修了後、農林水産省に入省、静岡県農林技術研究所上席研究員などを経て、現職。著書に、『スイカのタネはなぜ散らばっているのか』『身近な雑草のゆかいな生き方』『身近な野菜のなるほど観察記』『蝶々はなぜ菜の葉にとまるのか』(いずれも草思社)、『身近な野の草 日本のこころ』(筑摩書房)、『弱者の戦略』(新潮社)、『徳川家の家紋はなぜ三つ葉葵なのか』(東洋経済新報社)、『世界史を大きく動かした植物』(PHP研究所)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    地球上の動物には、自分の死と引き換えに、種の存続を実現させているものがたくさんいる。そうして途方もなく長い期間、命をつなぎ続けている。
  • 要点
    2
    川や海で産卵し、命をつなごうとするサケやウミガメなどは、人工物によってその機会を奪われている。
  • 要点
    3
    ヒトのために生まれ、ヒトのために死んでいく生き物も多い。イヌの多くは殺処分されているし、人間に食べられるために改良されたブロイラーというニワトリは、暗い鶏舎で育てられ、生後40~50日ほどで出荷されていく。

要約

命をかけたミッション

母なる川で循環していく命――サケ

サケは生まれ育った川に戻り、そこで産卵すると言われている。数々の苦難を乗り越え、産卵地にようやくたどり着いた頃には、満身創痍だ。その体で繁殖を行い、繁殖が終われば川に横たわって死ぬ。

死骸は分解されて有機物となり、プランクトンを発生させる。それが、生まれたばかりの子どもたちの餌になる。こうして命はつながっていく。

人間はサケの敵だ。堰やダムはサケの遡上を妨害するし、人間はサケやイクラを好んで食べる。ただし絶滅させてしまっては元も子もないから、人工的に孵化(ふか)させ、生まれた稚魚を川に放流している。

もはやサケは、自らの力で命を循環させることができなくなっているのだ。

命がけの侵入と脱出――アカイエカ
gyro/gettyimages

人間の血を吸う忌々しいアカイエカ。だが蚊の視点から見てみると、彼女らは実に困難なミッションに立ち向かっていることがわかる。

交尾後のメスは、卵のために栄養分を確保すべく、決死の覚悟で家の中に侵入する。侵入経路は限られており、網戸をかいくぐるか、人間がドアや窓を開閉したのと同時に入り込むしかない。蚊取り線香や虫よけ剤の罠をよけてこっそりと皮膚に降り立ち、2〜3分かけて血を吸う。

血を吸いきると、体重は2倍以上に増えている。重い体を引きずってなんとか逃げなければならないが、なかなか脱出口が見えない。そうこうしているうちに人の気配を感じ、「ピシャリ」と叩かれて死んでしまう。

一瞬にこめられた永遠――カゲロウ

成虫になって1日で死んでしまうカゲロウは「はかなく短い命」の象徴とされている。だが昆虫の世界を見渡すと、カゲロウの命はけっして短くはない。むしろ、相当の長生きと言っていいくらいだ。昆虫の多くは卵から成虫になって死ぬまで数カ月から1年以内だが、カゲロウの幼虫時代は2、3年に及ぶのだから。

カゲロウの成虫は子孫を残すことに特化している。数時間のうちに、天敵に食い尽くされることなく交尾をし、川に卵を産まなくてはならない。夕刻に一斉に羽化して大発生するのは、天敵である鳥から逃れるためだ。そして夜明け前には、地吹雪のように大量の死骸が風に舞うことになる。

交尾に明け暮れ、死す――アンテキヌス

小さなネズミのような姿をしている有袋(ゆうたい)類のアンテキヌスは、短い一生の間に交尾を繰り返す。軽薄で浮ついたプレイボーイを想像して、うらやましいと思う人もいるだろうか? だが、その実態はそんなに甘いものではない。

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