科学と非科学
その正体を探る

未 読
科学と非科学
ジャンル
著者
中屋敷均
出版社
定価
800円 (税抜)
出版日
2019年02月20日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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科学と非科学
科学と非科学
その正体を探る
著者
中屋敷均
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定価
800円 (税抜)
出版日
2019年02月20日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
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レビュー

現代社会を生きる私たちは、人類が長い時間と膨大な労力をかけて探究してきた科学的知識の恩恵を享受している。だがその基盤となる知識については、確かな理解を得ているわけではない。科学は難しく、厳しくて、特別だ。だからこそ科学は「正しい」と感じられるし、科学的に保証されたものは正しく特別なものに映る。しかし科学はなぜ正しく特別なのか。それを考えないまま無批判に科学を受け入れるのは非科学的な態度ということが、本書を読むとよく理解できるはずだ。

科学的な正しさを確かめることや、非科学的なものとの間に線を引くことは、決して簡単ではない。いまのところ科学的に不可能とされていることや非科学的とされているものが、あるとき科学的に可能となったり証明されたりすることもある。わからないことをわからないままにして諦めるのではなく、説明しようと試みる人間の意志が、人間の知識と社会を進歩させてきたのだ。「難しいから」と理解を放棄し、科学者の言うことや科学を装う言説を無批判に受け入れてしまっては、それこそ非科学的態度である。

確かに科学は難しい。しかし著者のリラックスした語り口を通して、科学的な姿勢とは何か、非科学との境界線はどこにあるのか、科学を進歩させるものは何かといったといった論点を、肩の力を抜いて考えてみてはどうだろうか。

大賀 祐樹

著者

中屋敷 均 (なかやしき ひとし)
1964年、福岡県生まれ。1987年京都大学農学部農林生物学科卒業。博士(農学)。現在、神戸大学大学院農学研究科教授(細胞機能構造学)。専門分野は、植物や糸状菌を材料にした染色体外因子(ウイルスやトランスポゾン)の研究。著書に『生命のからくり』(講談社現代新書)、『ウイルスは生きている』(同/2016年講談社科学出版賞受賞)がある。趣味は、将棋、山歩き、テニス等。

本書の要点

  • 要点
    1
    科学の「光」と非科学の「闇」のあいだには、さまざまな「薄闇」が存在している。
  • 要点
    2
    現代において科学はあたかも「神託」のごとく、合意形成のための説明として機能している。しかし科学的な正しさとわかりやすい説明を両立させるのは難しい。
  • 要点
    3
    科学と非科学の違いは、批判を受け入れるオープンな態度をとれるかどうかにかかっている。
  • 要点
    4
    科学の進歩は生物の進化のように、ランダムな変異によって生じる。一見無駄とも思える科学者の“いびつな情熱”こそが、それを生み出す。

要約

科学的な真実と社会との関わり

科学の「光」と非科学の「闇」の間にある「薄闇」

遠い昔から、人は「闇」に向かう恐怖を消し、「闇」を照らす光を求めてきた。宗教や哲学は「説明されること」による光を人々に提供したが、哲学から派生した科学は、とりわけ大きな光を人類にもたらしている。

だが科学はこのまま世界から「闇」を消し去っていくのだろうか。科学という体系は、本当にその絶大な信頼に足るほど、強靭な土台の上に建てられているのだろうか。「科学的」なものと「非科学的」なものは、簡単に区別できて、一方を容赦なく「断罪」できるものなのか。「科学的な正しさ」があれば、現実の問題はなんでも解決できるのだろうか。

本書はこういった観点から、科学の「光」と非科学の「闇」の間にある、様々な「薄闇」に焦点を当てていく。

天才科学者の直観
ipopba/gettyimages

バーバラ・マクリントックは若くして名声を確立した女性科学者だった。1951年、彼女は「動く遺伝子」説を発表する。刺激的で斬新なこの学説により、後に彼女はノーベル生理学・医学賞を受賞することとなった。だが当初は学会から事実上無視され、受け入れられなかった。

一般的にこの逸話は、彼女のアイデアが何十年も時代を先取りしていたため、他の科学者がついていけなかった、という文脈で理解される。だが当時の彼女の説明が、他の誰をも納得させるだけの明白さを持ち合わせていなかった、というのが実際のところであろう。細胞を顕微鏡で観察するという古典的な研究方法から、どうして彼女が遺伝子の作用や動きまで正確に理解できたのか、他の人にはなかなかわからなかった。というのもバーバラには徹底的な合理主義者としての顔の他に、直観を重視する神秘主義者のような顔も併せ持っていたのだ。彼女は観察で得られた情報を論理的に統合し、そこに直観のような洞察を加えていた。

「新しい概念は一人の人物の夢という秘密の工房のなかで生まれるが、科学理論の体系の一部となるためには、社会に認められなければならない。科学的な知識というものは、複雑かつ微妙な、個人の創造性と社会による是認との相互作用から生まれる」。バーバラの伝記に記された言葉は、科学的な真実とはなにかという問題や、科学と社会の関わりについて考えるうえで、じつに大きな示唆を与えてくれる。

科学の不確実性を前提として

「神託」としての役割を求められる科学
Cameris/gettyimages

古代ギリシャのデルフォイの神託は、1000年以上にわたり人々の信仰を集め続け、戦争の行方を左右させるなど、大きな影響力を持っていた。科学的な分析によるとこの信託は、地下から湧き出すエチレンガスの影響でトランス状態になった巫女が、口にしたうわごととされている。しかしそれが社会合意を形成するための装置として機能していたのも確かである。

「神託」を持たない現代の民主主義国家において、合意を形成するための装置のひとつとなっているのが科学だ。だが新しい医薬品が安全かどうか、遺伝子組み換え食品を認めるのか、再生医療をどこまで人間に適用すべきかといった問題に対して、科学は本当に適切な社会合意をもたらすような「神託」を常に与え得るだろうか。

社会が科学に求めているもっとも重要なことのひとつは、

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サイエンス リベラルアーツ
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中屋敷均
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2019年02月20日
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