日本社会のしくみ
雇用・教育・福祉の歴史社会学

未 読
日本社会のしくみ
ジャンル
著者
小熊英二
出版社
定価
1,300円 (税抜)
出版日
2019年07月20日
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日本社会のしくみ
日本社会のしくみ
雇用・教育・福祉の歴史社会学
著者
小熊英二
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定価
1,300円 (税抜)
出版日
2019年07月20日
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レビュー

年功序列・終身雇用制度のもとで働き、家のローンを払いながら満員電車に揺られて出勤する――日本の働き方の特徴を聞かれれば、このように答える人が多いのではないだろうか。ここで想定されているのは「大企業で働く正社員」だ。実はこのタイプの人は、全体の3割に満たないという。

一方、「欧米の働き方」というと、どのようなイメージを持つだろうか。成果主義、定時退社、長い休暇――実はこういったイメージも、欧米社会の中のある一定の層にしか当てはまらないそうだ。

本書では、他国との比較を交えながら、「日本」という国に積み重ねられてきた雇用慣行を明らかにし、そこから規定される教育、社会保障、政治、ライフスタイルといった「暗黙のルール」を解明する。そして、日本という国の実態と、それがどのように生まれたのかを、歴史や統計から紐解いていく。

「働き方改革」が叫ばれるようになって久しいが、こうした改革が成功しない理由も、本書で明らかにされる。さらに日本において女性の社会進出が大きく遅れている理由も、「日本型雇用」の歴史のなかにあるという。本書を読めば、日本社会が抱える問題とその背景が見えてくるだろう。

「社会のしくみ」は長い時間をかけ、人々の合意を得て積み重ねられてきた。それは「慣習」となって、気づけば体中にからまる蔦のように、知らず知らずのうちに私たちの生き方やアイデンティティをも規定している。世界を相手に働くなら、まずは自分のことを知らねばなるまい。グローバルに働くビジネスパーソンには必ず読んでもらいたい一冊だ。

池田 明季哉

著者

小熊 英二(おぐま えいじ)
1962年東京生まれ。東京大学農学部卒。出版社勤務を経て、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。現在、慶應義塾大学総合政策学部教授。学術博士。主な著書に『単一民族神話の起源』(サントリー学芸賞)、『〈民主〉と〈愛国〉』(大佛次郎論壇賞、毎日出版文化賞、日本社会学会奨励賞)、『1968』(角川財団学芸賞)、『社会を変えるには』(新書大賞)、『生きて帰ってきた男』(小林秀雄賞)、A Genealogy of ‘Japanese’ Self-Imagesなど。

本書の要点

  • 要点
    1
    日本社会の生き方は、大企業の正社員とその家族が所属する「大企業型」と、地元で農業や自営業などを営む「地元型」に分けられる。最近はそのどちらにも属さない「残余型」が増えている。
  • 要点
    2
    日本の社会保障は「企業」か「地域」のどちらかに足場があることを前提につくられている。
  • 要点
    3
    日本は労働運動の中で、職員の特権だった年功制と長期雇用を現場労働者にまで拡大し、社員全員に昇進の道を開いた。その代わりに他企業との断絶や経営者の裁量による異動を受け入れた。

要約

【必読ポイント!】日本社会の3つの生き方

「大企業型」と「地元型」
wutwhanfoto/gettyimages

現代日本社会での生き方は「大企業型」「地元型」「残余型」の3つの型に分けられる。「大企業型」とは、大学を出て大企業や官庁に就職し、「正社員・終身雇用」の人生を送る人たちとその家族の生き方だ。

「地元型」は、地元から離れない生き方である。地元の中学や高校を卒業し、農業、自営業、地方公務員、建設業、地場産業など、その地域に根差した仕事に就く。

「地元型」の収入は「大企業型」よりも少なくなりがちだが、実家に住むなら住宅ローンはないし、近所からの「おすそ分け」が多い分、支出も少ない。

さらに「地元型」は、商店会、自治会などの結びつきがあるため、政治力がある。行政が地域住民としてまず念頭に置くのは「地元型」の人たちであり、政治的な要求も届きやすい。

一方、「大企業型」は地域に足場を失いがちだ。地元を離れて暮らしていることが多いだけでなく、転勤があればひとつの地域に長く住むことはない。定年後の生き方に迷う問題や、近隣を頼れないことからくる育児の問題もある。ローンで家を買うなど支出も多い。日中在宅していないので、政治家もあまり呼びかけの対象にしない。

「地元型」と「大企業型」は、それぞれ生きる状況が大きく異なり、違った不満を持っている。だが、「日本」を論じるとき、念頭に置かれがちなのは「大企業型」だ。それは、論じる人の多くが大都市のメディア関係者だからだ。

その感覚でいえば、「日本人」は満員電車で通勤し、保育園不足に悩んでいることになる。しかし実際には、そうした人は「日本人」のごく一部にすぎない。

「残余型」

日本の社会保障制度は、「大企業型」と「地元型」を前提につくられている。

その一方で、現代の日本社会には「長期雇用はされていないが、地域に足場があるわけでもない」人々が増えつつある。本書では、そうした人々を「残余型」と呼ぶ。

都市部の非正規労働者がその象徴だ。所得は低く、地域につながりもなく、持ち家がなく、年金は少ない。「大企業型」と「地元型」のマイナス面を集めたようなタイプである。

「残余型」は、必ずしも所得が低いわけではなく、典型的な生き方もない。共通しているのは、政治的な声をあげるルートがない点だ。「大企業型」のように労働組合に所属しているわけでもなければ、「地元型」のように町内会や業界団体に入っているわけでもない。

現代日本社会は、「大企業型」「地元型」「残余型」の3つのタイプで構成されている。厳密な割合を出すことはできないが、「地元型」が36%、「大企業型」が26%、「残余型」が38%程度と推計される。

日本社会の「しくみ」と欧米社会の「しくみ」

日本は「社員の平等」欧米は「職務の平等」
poba/gettyimages

日本での格差は「大企業か中小企業か」、つまり「どの会社か」によって決まる。一方、ヨーロッパやアメリカなどでは「ホワイトカラーかブルーカラーか」、つまり「どの職務か」が強く意識される。

欧米などの企業は三層構造で説明される。上から「目標を立てて命令する仕事」である「上級職員」、「命じられた通りに事務をする仕事」である「下級職員」、そして「命じられた通りに体を動かす仕事」である「現場労働者」だ。

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