苦手な人を思い通りに動かす

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苦手な人を思い通りに動かす
出版社
出版日
2019年07月31日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

人間関係において、相手の思考や行動に共感でき、スムーズにコミュニケーションができる人というと、何人か顔が浮かぶだろう。その一方で、相手の思考が理解できず、そりが合わない人もいるだろう。たとえば、優秀だが融通の利かない「堅物タイプ」、いわれたことしかやらない「指示待ちタイプ」などだ。コミュニケーションの断絶や対立が顕著になると、ときに理解し合えない他者を弾圧することもあれば、争いに発展することもしばしばだ。

そもそも人間には様々な傾向を持つタイプがいる。自分とは異なる傾向について理解を深め、それに合わせて接することで、対人関係は円滑に進み、格段に楽になるはずだ。

本書は、「基本的には傾向は生まれながらにして違う」という前提のもと、4つの傾向と、その傾向を持つ人とうまく付き合うためのポイントを解説した一冊だ。各タイプの特徴が具体的に解説されているため、「こういう場面では、こんな風にあの人は考えていたのか!」と合点がいく。さらには、彼らにどう歩み寄り、動いてもらうかに関するアドバイスは、職場や家庭などですぐ実践できるものが多い。

周囲の人のタイプを推測しながら、著者のアドバイスを適用していくと、不毛な対立が減り、人間関係のストレスから解放されるのではないだろうか。人間の本質を理解する有用なフレームワークを手に入れられる一冊だ。

ライター画像
松田義人

著者

グレッチェン・ルービン
作家。人間の本質をテーマにした作品で世間に大きな影響を与えている。『Happiness Project(人生は「幸せ計画」でうまくいく!)』や『Better Than Before(人生を変える習慣のつくり方)』をはじめとする著作はベストセラーとなって350万部を売り上げ、30か国語以上に翻訳された。賞を獲得した人気ポッドキャスト、「ハピアー・ウィズ・グレッチェン・ルービン」の司会も務める。アメリカの大物司会者オプラ・ウィンフリーのインタビューを受け、ノーベル経済学賞受賞者のダニエル・カーネマンと会食し、ダライ・ラマと腕も組んで歩いたことがある。法律家としてキャリアをスタートさせたが、アメリカ初の女性連邦最高裁判事となったサンドラ・デイ・オコーナーの書記官を務めていたときに、本当になりたいのは作家だと気づいた。ニューヨーク・シティに家族と暮らす。

本書の要点

  • 要点
    1
    人は、外部からの期待や内なる期待に対し、どんな態度をとるかで、4つの傾向のいずれかに分類することができる。4つの傾向とは、アップホルダー(約束を守る人)、クエスチョナー(疑問を持つ人)、オブライジャー(義務を果たす人)、レブル(抵抗する人)を指す。
  • 要点
    2
    人の傾向は基本的には変わらないものである。4つの傾向というフレームワークは自己理解・他者理解に役立つ。他者の傾向を把握すれば、相手を上手く説得したりやる気を引き出したりすることが可能となる。

要約

【必読ポイント!】 4つの傾向を知る

4つの傾向とは何か?
fizkes/gettyimages

外部からの期待や内なる期待に対し、どんな態度をとるか。これにより、人は、次の4つの傾向のいずれかに分類することができる。

・アップホルダー(約束を守る人):外からの期待と内なる期待の両方に進んで応えようとする人。

・クエスチョナー(疑問を持つ人):あらゆる期待に疑問を抱き、自分が正当だと思う期待にだけ応えようとする人。実質、内なる期待にしか応えようとしない。

・オブライジャー(義務を果たす人):外からの期待には進んで応えようとするが、内なる期待にはなかなか応えられない人。

・レブル(抵抗する人):あらゆる期待に反発し、外からの期待、内なる期待のどちらに対する態度も変わらない人。

人生を一変させるような壮絶な体験が起こらない限り、人の傾向は基本的には変わらない。壮絶な体験というのは、瀕死の状態をさまよう、深刻な病を患うといったことを指す。

また、時代の変化や置かれている環境によって、自分の傾向がプラスに働くこともあれば、マイナスになることもある。たとえば、クエスチョナーが北朝鮮に住み、疑問をそのまま口にすれば、投獄される恐れがあるだろう。だが、シリコンバレーでは、その傾向が昇進の後押しになるかもしれない。

自己と他者への理解を深めるフレームワーク

傾向が同じでも、個々の性格は千差万別である。4つの傾向というフレームワークは、人を形づくるさまざまな側面のうち、傾向という側面にだけフォーカスする。この4つの傾向は、人が特定の行動をとる、またはとらない理由にスポットライトを当てたフレームワークと捉えるとよい。

自分の傾向の強みと弱みを知れば、それを活かして人生を構築しやすくなる。それは成功の可能性を高めるはずだ。同様に、他者の傾向を把握すれば、相手に寛大になれるだろう。さらには、相手を上手く説得したりやる気を引き出したりすることが可能になる。

このように、4つの傾向というフレームワークは自己理解・他者理解の両方に役立つのである。

誰に言われなくてもやる気を出せるアップホルダー

外からの期待にも内なる期待にも難なく応える
Traimak_Ivan/gettyimages

ここからは、4つの傾向の特徴を1つずつ紹介する。まずは、外からの期待にも、自分で自分に課す内なる期待にも、進んで応えようとする、アップホルダーだ。彼らは自発的に行動する。そのため、「締め切りに間に合わない」「約束を守らない」「タスクを管理できない」といったことは、まず起きない。監視の目、リマインド、ペナルティがない場合でも、決めたことを実行に移せるのがアップホルダーの特徴だ。

何ごとも簡単には変えられない

ではアップホルダーの強みが弱みになり得るときはどんなときだろうか。彼らは、ルールを無視したほうが合理的なときでも、ルールに縛られてしまうことがある。ルーティンや習慣、予定が変わることに抵抗を感じるのだ。期待に対するアップホルダーの姿勢は、ほかの傾向の人から見ると、融通が利かないように思えるかもしれない。

また、自分がやりたくないことでも、無理やりそれを自分に課す場合すらあるのが、アップホルダーの特徴といえる。

充実した休暇の様子を数多く投稿する

アップホルダーは内外の期待に応える。そのため、4つの傾向の中で、期待の重圧にいちばん苛まれているのではないかと思われるかもしれない。だが、実際は違う。アップホルダーは内なる期待にも積極的に応じる。よって、普段は、憤りや燃え尽きといった問題にほとんど悩まされないのだ。

アップホルダーは、自分を大事にすることや自分を楽しませることも得意とする。フェイスブックに投稿された近況についての調査によると、誠実度(計画を立ててそのとおりに実行する力)が髙いと評価された人は、「週末」や「リラックス中」といった言葉を頻繁に使うという。また、彼らは、休暇を楽しんでいる様子を数多く投稿することが判明している。それは、充実したプライベートに、アップホルダー気質を活用しているためだ。

アップホルダーの邪魔だけはするな

アップホルダーに接するときの注意点は何か。まずは優先順位をはっきり示すことである。彼らはどの期待も同じくらい重要視してしまう。そのため、依頼する側が優先順位を指示したほうがよい。

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要約公開日 2019.11.27
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