禅マインド ビギナーズ・マインド

未読
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禅マインド ビギナーズ・マインド
出版社
出版日
2012年07月01日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

本書は、アメリカにおける禅の基礎を築き、今や世界24カ国以上で翻訳されている禅のバイブルだ。アップルのスティーブ・ジョブズが愛読した一冊でもある。著者である鈴木俊隆氏は、アメリカで12年間に渡って禅の普及に努め、多くのアメリカの若者が著者の元に通いつめたという。

本書は著者がアメリカで行った説法をまとめたもので、禅の修行のポイント、禅の基本的な姿勢、禅に基づく生活術、禅に対する姿勢など、禅のエッセンスが詰まっている。本書を読み、禅マインドを身につければ、物事をありのままに捉え、自分自身の真の姿に目覚めることができるのではないだろうか。

いま、世界中のビジネスパーソンが次々に、マインドフルネスやメディテーション(瞑想)を取り入れつつある。その背景には、先読み不可能な複雑に入り組んだ時代にあって、冷静に物事を判断したいという考えがあるのだろう。このマインドフルネスの基礎となったのが禅である。日本でもすでに、多くの政治家や企業経営者が禅の修行に取り組んでいる。

平易な文章で禅の基礎が説かれた本書は、自分自身の本来の姿で充実した生き方を実践するためだけでなく、複雑さを増すビジネス環境で生き残っていくためにも、必読である。日本人として押さえておきたい一冊だといってもいいだろう。

ライター画像
木下隆志

著者

鈴木 俊隆(すずき しゅんりゅう)
1904年生まれ、1971年逝去。神奈川県平塚市の曹洞宗松岩寺に生まれる。12歳で静岡県周智郡森町の蔵雲院の玉潤祖温老師に弟子入り、駒沢大学在学中に蔵雲院住職、1936年に静岡県焼津市の林叟院の住職となる。1959年渡米し、サンフランシスコ禅センターを設立。1967年カリフォルニア州タサハラにアジア以外では最初の禅院である禅心寺を開く。1971年に68歳で禅センターにて逝去。渡米12年の間にアメリカにおける禅の基礎を築いた。欧米では20世紀を代表する精神的指導者の一人とされる。鈴木俊隆の日本時代から渡米後の活動まで、生涯を描いた評伝『まがったキュウリ――鈴木俊隆の生涯と禅の教え』(デイヴィッド・チャドウィック【著】/浅岡定義【訳】/藤田一照【監訳】)が2019年11月に刊行された。随所に挟まれる俊隆の言葉とともにマインドフルネスの源流となった60年代以降のアメリカの禅を知ることができる。

本書の要点

  • 要点
    1
    初心を保てば、心は満たされ、守るべき教えは自然と守られる。
  • 要点
    2
    坐禅において大切なのは、自身の身体が「今」まさに「ここ」に存在していると認識することだ。身体と心があるべきところにあると、他のすべてのものもあるべきところにあるようになる。
  • 要点
    3
    坐禅で落ち着きを得たいならば、心に浮かび上がるイメージに惑わされないことだ。そのためには、自分の呼吸を数えることと、息を吸って吐くことに集中することが有効だ。
  • 要点
    4
    ただなにも思考せずに座ることが禅の修行となる。

要約

ビギナーズ・マインド

初心

禅の修行は難しいといわれるが、それは坐禅を組むことが大変だからでも、悟りを得るのが難しいからでもない。私たちの心と修行とを純粋な、混じりけのない状態にしておくことが難しいからである。

初心は、それ自体で満ち足りているものだ。その状態を損ねてはならない。なにかを求める心が強くなりすぎると、心は満ち足りない状態に陥る。この状態になると、嘘をついてはいけない、倫理的に反することをしてはいけないなどといった仏の教えに背いてしまう。

もし、あなたが初心を持ち、心が満たされた状態ならば、このような教えは自然と守られる。つねに初心を保つことは難しいものだが、これこそ禅において最も大切なポイントである。

【必読ポイント!】正しい修行

姿勢
blew_i/gettyimages

坐禅を組むときは、左足を右ももの上に、右足を左ももの上に置く。この組み方を結跏趺坐(けっかふざ)という。

この姿勢で大切なのは、背骨をまっすぐ伸ばして、耳と肩が同じ線の上にあるようにすることだ。そして、肩は緩めて、頭を天井に向かって伸ばすようにする。横隔膜は下腹に向かって押し下げるようにしておく。そうすることで、身体や心のバランスを保てる姿勢ができあがる。最初は呼吸が不自然になってしまうかもしれないが、慣れてくれば自然に深く呼吸できるようになるはずだ。

手は、中指の第二関節を合わせるように右手の上に左手を置く。両手の親指は軽く1枚の紙を挟むように合わせる。手のひらは、大切なものを持つときのように、楕円形に開く。親指をおへその上において両手を身体の前に置き、両腕は身体から少しはなす。わきの下にある卵を割らないようにするイメージだ。

身体を前後、左右に傾けないようにして、自分の頭で空(そら)を支えるようにまっすぐ座る。この姿勢は、正しい心の状態を得るための手段ではない。この姿勢をとること自体が修行の目的なのだ。この姿勢を組んだ時点で、心はすでに正しい状態にある。

それ以外の状態を得ようと思う必要はない。なにかを得ようとすると心が迷走してしまう。

大切なのは、自身の身体を己のものとして、「今」まさに「ここ」に存在していると認識することだ。身体と心があるべきところにあると、他のすべてのものもあるべきところにあるようになる。

呼吸
Creative life, looking for special pictures./gettyimages

坐禅の修行中は、意識を呼吸に集中させる。息を吸うと空気は身体の「中の世界」に入ってくる。息を吐くと空気は身体の「外の世界」に出て行く。私たちは「中の世界」「外の世界」と区別しているが、実際は一つの世界なのである。この世界では、のどは、回転扉のようなものだ。

呼吸時には、「私」は呼吸することで動く回転扉にすぎない。呼吸の動きだけについていけるように、落ち着いた状態であれば、そこには私も、世界も、心も、身体もない。そこにあるのは、ただ回転扉だけだ。

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要約公開日 2019.12.14
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