会社では教えてもらえない 集中力がある人のストレス管理のキホン

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会社では教えてもらえない 集中力がある人のストレス管理のキホン
出版社
出版日
2019年05月24日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

いつもなんとなくダルくて、やる気がでない。朝は起きられないし、夜なかなか眠れない。このような悩みで心療内科に来院する人のなかには、自分では気づかないうちに「心の問題」をかかえていることが多いのだという。

仕事に真摯に打ち込むあまり、心や体の異常を見て見ぬふりしてしまう、そんな経験を持っている方は多いのではないだろうか。しかし、どこまでが適正なレベルのストレスで、どこからが体調を崩すレベルのストレスなのか、それを見極めるのは存外難しい。本書はそんな働きざかりのビジネスパーソンのために、マインドフルネスや禅の考え方をベースに自分自身の状態を的確に観察し、ストレスをコントロールする術を教えてくれる。

著者は精神科医として心療内科クリニックで診療すると同時に、禅僧として心を整える講座も開催しているという。そのため、本書で提案されている方法の数々は、知識だけに偏らず、非常に実践しやすいかたちで示されている。優しく丁寧な語り口、抱えてきたストレスを乗り越えて人生を輝かせようというメッセージには、多くの方が励まされるのではないかと思う。

ストレスが低減すると、仕事に打ち込むあまり見過ごしていた、自分が本当に価値をおきたいもの、歩みたい人生が見えてくるかもしれない。「自分にはストレスなんてないしな」と思っているあなたにこそ、手にとっていただきたい一冊だ。

ライター画像
池田明季哉

著者

川野 泰周(かわの たいしゅう)
臨済宗建長寺派林香寺住職/RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック副院長
精神保健指定医・日本精神神経学会認定精神科専門医・医師会認定産業医。
1980年横浜市生まれ。2005年慶應義塾大学医学部医学科卒業。臨床研修修了後、慶應義塾大学病院精神神経科、国立病院機構久里浜医療センターなどで精神科医として診療に従事。2011年より建長寺専門道場にて3年半にわたる禅修行。2014年末より横浜にある臨済宗建長寺派林香寺住職となる。現在寺務の傍ら都内及び横浜市内のクリニック等で精神科診療にあたっている。
うつ病、不安障害、PTSD、睡眠障害、依存症などに対し、薬物療法や従来の精神療法と並び、禅やマインドフルネスの実践による心理療法を積極的に導入している。またビジネスパーソン、医療従事者、学校教員、子育て世代、シニア世代などを対象に幅広く講演活動を行う。
著書に『「あるある」で学ぶ余裕がないときの心の整え方』(インプレス)、『悩みの9割は歩けば消える』(青春出版社)、『脳がクリアになるマインドフルネス仕事術』(クロスメディア・パブリッシング)、『ぷち瞑想習慣』(清流出版)、『ずぼら瞑想』(幻冬舎)、『人生がうまくいく人の自己肯定感』(三笠書房)、『「精神科医の禅僧」が教える 心と身体の正しい休め方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。共著・監修多数。NHKラジオ深夜便、TBSラジオなど、メディア出演を通してのマインドフルネス普及活動にも取り組む。

本書の要点

  • 要点
    1
    自分や他者の心理状態や状況に気づいているという「気づき」と、自分や人のあるがままの状況を受け入れる「受容性」が高いタイプの人はストレスに強い。「気づき」も「受容性」も、「今ここにあること」に集中するマインドフルネスの考え方によって高めることができる。
  • 要点
    2
    長引く体調不良を抱えている人は、体に意識を集中してみると、不調が心からきていることに気づけるかもしれない。また、仕事のストレスは、自分の時間や心の調子をコントロールすることで減らすことができる。

要約

ストレスの放置は厳禁

ストレスはコントロールできる

仕事にはストレスがつきものだが、ストレスを放置することは禁物だ。ストレスがたまりきっている状況だと、集中力に関係するドーパミンやアドレナリンなどの「脳内ホルモン」が機能不全を起こすといわれている。そうなると、次第に雑念で頭がいっぱいになり、集中すればすぐに終わるようなことでも何時間もかかってしまうようになる。ここまでくると、もはや本人の気力でどうにかするという問題ではなくなってしまう。

ストレスをなくすことはできないが、予防し、対処することはできる。また、ほどよいストレスは集中力の高まった「フロー状態」を生み出すので、自らの成長につなげることもできる。

以下に、「できるかぎりストレスを発生させない」、発生しても「持続させない」ための考え方や対処法をご紹介しよう。

【必読ポイント!】ストレスを軽減するマインドフルネスの考え方

ストレス耐性を決める「気づき」と「受容性」
ChesiireCat/gettyimages

そもそも「ストレス」とは、まっすぐなものを曲げようとする際などに生じる物理的な力のことである。転じて心に負荷がかかった状態を「ストレス」と呼ぶ。やりたくないのにやるしかないなど、理性と感情に摩擦が起こって生まれる、精神的な軋轢がストレスだといえる。

ストレス管理の第一歩は「未病」を見逃さないことだ。風邪をひきやすい、寝つきが悪い、などの兆候があれば、病気になる一歩手前の「未病」の状態だ。これを放置するとメンタル疾患になってしまうことがある。

ストレスへの耐性は、「気づき」と「受容性」の観点で分析することができる。前者は自分や他者の心理状態や状況に気づいていること、後者は自分や人のあるがままの状況を受け入れる力である。ストレスに強いのは、気づきが多くも受容性が高い、いわばストレスがあっても状況を俯瞰し前向きに対処できるタイプの人だ。気づきは多いが受容性が低いタイプは、辛いことが起きると自分のせいだと責めてストレスをためやすい。自分がストレスを受けていると気づいていないのは、気づきが少なく受容性が高いタイプか、気づきも受容性も少ないタイプであることが多い。どちらも自分の状況に気づかず、知らずにストレスを溜めてしまうのだろう。

マインドフルネスで「気づき」と「受容性」をアップ

この「気づき」と「受容性」は高めていくことができる。そのために、著者はマインドフルネスを推奨している。マインドフルネスとは「今、この瞬間の体験にだけ意識を向けている」という状態そのもののことだ。日頃からマインドフルネスを実践している人は、ひとつのことに集中でき、脳のエネルギーのロスも非常に少ないのだという。

マインドフルネスを実践するには、理念や知識から理解する「理入」と、行動から理解する「行入」の両方をバランスよく取り入れることが重要だ。

疲れているときは思考の中枢で前頭葉の機能が低下しているため、感情的になりやすくなる。イライラしたときは「理入」の取り組みのひとつ、「自分の心の動きをつぶさに観察すること」を実践してみるとよい。怒りの原因がわかると、怒りが少しだけであっても軽減されるだろう。マインドフルネスを活用することで、思考を止めてしまうことを防ぎ、視野を広げ、新しい選択肢に目を向けることができるようになる。

また、ネガティブな気持ちのときにおすすめの行動のひとつは「あえて関係のない行動をとる」ことだ。著者は、ネガティブな気持ちに気づいたら腕時計を反対の手に移動させるという「インターベンション・ブレスレット」を実践しているという。また嫌な気持ちが湧き上がったら、また反対側へ移す。こうすることで、「自分はネガティブな感情をもっているのだ」ということに自覚的になり、そのこと自体がストレスの低減につながるのだ。

体調を整えることで心の状態も整う

長引く体の不調には「ボディスキャン瞑想」
fizkes/gettyimages

なんとなく疲れている、体調を崩しやすいという人は、それが体からのSOSである可能性を考えてみよう。体のちょっとした変化に気づくことは、心の休息につながる。

ハードな運動をしていないのに体が疲れている、週末はぐったりしてつい寝だめしてしまう。そんな人は「体力がないからジムに通ったほうがよいのかな」と考えることが多いが、

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要約公開日 2019.11.12
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