アパレル・サバイバル

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アパレル・サバイバル
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アパレル・サバイバル
出版社
日本経済新聞出版社

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定価
1,650円(税込)
出版日
2019年02月20日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

アパレル産業、特にアパレル小売業と聞くと、「斜陽産業」という印象を持つ方も多いのではないだろうか。現実に、日本のアパレル市場の規模はバブル期の15兆円から10兆円まで、実に3割以上も縮小している。

EC(電子商取引)の規模が伸長し続けている現代では、アパレル・ファッション産業において、店舗は果たすべき役割の変化を迫られている。百貨店や大都市のメインストリートに軒を連ねる専門店でさえも、スマートフォンを片手に、画面と店舗の品ぞろえを見比べる消費者の姿を見かけない日はない。経済産業省のレポート「平成31年1月 繊維産業の課題と経済産業省の取組」によると、日本における衣類・服飾雑貨等のEC市場は、2017年に1.65兆円に達し、EC化率は11%を超えているという。

このような時代を生き抜くために、日本のアパレル産業が取るべき戦略とはどのようなものか? その核心が本書にある。日本のアパレル企業は今後、次なるパラダイム・シフトに備え、欧米の最新動向を学び、アパレル流通の構造を変化に適応させ、消費者を主役にしたショッピング体験を設計しなければならない。著者によると、「消費者のクローゼット」の課題に対し、オンラインとオフラインを駆使して解決策を提示できるかどうかがカギになるという。

アパレル産業だけでなく、さまざまな業種に携わる方にとって、本書が示唆に富む一冊であることはまちがいない。

ライター画像
狩野詔子

著者

齊藤 孝浩(さいとう たかひろ)
1965年東京生まれ。ディマンドワークス代表。ファッション流通コンサルタント(専門分野は店頭在庫最適化)

総合商社、欧州ブランド日本法人、アパレル専門チェーンなどに勤め、在庫過多に泣かされた実体験をバネに、ファッション専門店の在庫最適化の独自ノウハウを体系化。成長段階にある新興企業からの依頼が絶えず、これまでに25社以上の業界注目企業を支援し、うち5ブランドの年商100億円突破に携わるなど、グローバルなアパレル商品調達からローカルな店舗運営まで豊富な実務経験を持つ。現在はSPA(アパレル製造小売業)型企業を中心に在庫最適化と人財育成を支援するコンサルタントとして活躍する傍ら、海外視察を頻繁に行い、グローバルチェーンに詳しい専門家として日経ビジネス、繊研新聞、WWDジャパンなど多数の媒体に寄稿。ファッションビジネス論の講師として複数の大学の講義に登壇し、投資ファンド向けのアドバイザー業務も務める。
著書に『人気店はバーゲンセールに頼らない』(中央公論新社)『ユニクロ対ZARA』(日本経済新聞出版社)。
業界ブログ「ファッション流通ブログde業界関心事」管理人。

本書の要点

  • 要点
    1
    アパレル産業では、10年周期で大きな流通革新が発生している。約20年前のSPAの台頭、約10年前のファストファッションブームに続く、新たなパラダイム・シフトの到来は近い。次なる流通革新の主体は消費者だ。
  • 要点
    2
    ポスト・ファストファッション時代の新たなトレンドは、「さらなる低価格化」「デジタルコマース化」「内面の美を追求するアパレル」「店舗での無料体験の提供」の4つである。
  • 要点
    3
    ファッション流通業界が生き残るカギは、消費者のクローゼット内のワードローブ情報を共有してもらえる信頼関係を築けるかどうかにある。

要約

パラダイム・シフトでチャンスを掴め

ファッション流通業界のパラダイム・シフト

ファッション業界では、これまでおよそ10年周期で劇的な変化を迎えてきた。1960年代には、各地のターミナル駅の周辺など、集客を見込める好立地に百貨店が出店し、「上質で豊富な品揃え」を実現してきた。1970年代には、総合スーパーが「低価格化」の改革を実施。1980年代からは、各分野でカテゴリーキラーと呼ばれる専門量販店が、大量出店・大量仕入れとローコストオペレーションによって「低価格化・大衆化」を実現した。

1998年、「ユニクロフリース」のブームが火付け役となり、SPA型のビジネスモデルへの転換が起きた。SPAとはアパレル製造小売業のことを指す。SPA型のビジネスモデルは「小売業が自ら商品開発を行う」という流通の合理化につながり、消費者に低価格衣料の品質向上をもたらした。

そして2008年には、H&Mの日本上陸に始まる、「ファストファッション」ブームが起きた。ファストファッション企業によるグローバルな流通革新によって、それまで消費者にとって手が届きづらかったトレンドファッションの低価格化が進んだ。その結果、多くの消費者が安価に流行のファッションを楽しめるようになった。

2008年のファストファッションブームから10年が経過した今、次の流通革新が始まっている。

インターネットが変えたショッピングの常識
zhudifeng/gettyimages

これから起きる流通革新の主体は、消費者である。消費者は、スマートフォンと4G以降の高速通信インフラによる利益を享受している。インターネットによる消費者行動の変化のスピードは加速しており、後戻りすることはないだろう。

このような時代において、アパレル企業は、通信技術や消費者の動向を予測しながら、自社のスタンスの変化を迫られている。ブランド企業や商業施設は、商品の「売りっぱなし」だけでは立ち行かなくなるだろう。まずは、顧客が購入を決断するまでの情報整理が必要だ。さらには、顧客がストレスなくほしい商品を入手できる「スマートショッピング」をサポートし、ショッピング体験を演出しなければならない。加えて、商品購入後の顧客の悩みにも寄り添う必要があるだろう。

変わる中古品の価値

近年、メルカリに代表されるフリマアプリの利用が急増している。服を所有しないシェアリングサービスも、ここ数年で普及してきた。これは、過去の流通革新のおかげで、消費者の選択肢が十分に増えた結果として起きている現象だ。

今や消費者は、商品購入後のファッションライフスタイルについても、多様な選択肢を模索し始めている。その一例が、ファッション通販サイト「ゾゾタウン」だ。「ゾゾユーズド」として古着の買い取り・販売サービスを提供しており、顧客の「クローゼットの出口戦略」を担っている。

近い未来、ファッションライフスタイルはより豊かになり、消費者はより賢くショッピングができるようになるだろう。ファッション業界に携わる人々にとって、このパラダイム・シフトは危機でもありチャンスでもあるのだ。

【必読ポイント!】 ファッション流通革新のこれから

ファストファッションブームの終焉

10年ごとに新しいイノベーションが起こり、欧米のおよそ10年後を追いかけてきた日本のファッション業界。このトレンドが今後も続くならば、2018年は、日本のファッション流通のパラダイム・シフトの年となるだろう。

ファストファッションブームのきっかけとなったブランドは、「フォーエバー21」である。同ブランドの日本第1号店は、2017年10月に閉店へ。H&Mの銀座店も、2018年7月に閉店を迎えた。これらは、ファストファッションブームが一段落したことを象徴する出来事といえるだろう。

ポスト・ファストファッションの萌芽
nd3000/gettyimages

ファストファッションの今後の流通革新の芽をまとめると次の4つである。

一点目は、これまでのベーシックカジュアルSPAやファッションSPAの価格を下回る「さらなる低価格化」の流れだ。

二点目は、チェーンストアによる「デジタルコマース化」の流れが挙げられる。オンライン販売の拡大とオンライン注文商品の店頭受取が普及しつつある。

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