ビジネスエリートが知っている教養としての日本酒

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 ビジネスエリートが知っている教養としての日本酒
出版社
出版日
2020年10月31日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

「ビジネスで成果を出したい」「相手とうまく交渉を進めたい」――そんなときには、人間同士のコミュニケーションが欠かせない。接待で使えるようにゴルフの練習をしておこう、経営者と話を合わせるために美術館に通おう、とビジネス相手の興味関心に合わせて努力してきた方も多いだろう。

そのようなビジネスコミュニケーションツールの1つとして今注目されているのが「日本酒」だ。一流と呼ばれる世界のビジネスエリートがこぞって楽しんでいる。国際ワインコンテストでは日本酒部門が設立され、会食でも和食と日本酒が好まれている。

しかし、「日本」という国名が入っているにも関わらず、私たち日本人は日本酒についてあまり知らないのではないだろうか。著者がソムリエとして仕事をしていた頃、フランス人から日本酒や日本文化について尋ねられても思うように答えられないという、苦々しい体験をしたという。「他人の国の文化(ワイン)を語れても、自国の文化(日本酒)を語れない」状態だったのだ。

今後ますますグローバル化するビジネスシーンで活躍するときに、世界のトレンドとなっている日本酒について語れることは、より広く深い教養があることの証となる。そこから会話が膨らみ、ビジネスチャンスをつかめば、さらにネットワークを広げられるだろう。もしあなたが日本酒を好きでなかったり飲めなかったりしても、教養として日本酒を知っておくことは、きっとあなたの武器になるに違いない。

ライター画像
大島季子

著者

友田晶子(ともだ あきこ)
ソムリエ、トータル飲料コンサルタント。日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)理事。SSI INTERNATIONAL国際唎酒師 副会長兼広報委員。一般社団法人日本のSAKEとWINEを愛する女性の会代表理事。1200年続く家系で、友田彌五右衛門八代目当主の長女として米どころ酒どころ福井県に生まれる。ファミリーが経営する食品貿易会社に勤務。ワイン輸入販売に携わり、フランス留学を決意。現在、業界30年以上のキャリアと女性らしい感性を活かし、酒と食に関するセミナー・イベントの企画・開催、ホテル旅館・料飲店・酒販店・輸入業者などプロ向けにコンサルティングと研修を行っている。これまでにお酒にまつわる書籍を20冊以上執筆、テレビ、雑誌等メディアでも活躍するほか、スクールで教えてきた生徒数・資格を取得させた人数は延べ12万人にも上る。また、一番弟子として田崎真也氏がオーナーのワインバー「アルファ」(銀座)代表、田崎真也ワインサロン講師なども務めた。
現在はお酒を通じて女性の教育・活用・社会進出支援に力を入れる一般社団法人日本のSAKEとWINEを愛する女性の会(通称:SAKE女の会)代表理事として活動。会員は2000名にもおよび、業界初のお酒による総合的な“おもてなし力”を問う検定【飲料おもてなし~SAKE女検定】を実施。現役都知事をはじめ、有名人・著名人を引き寄せる“SAKE女の会の求心力”に注目が集まっている。

本書の要点

  • 要点
    1
    和食が世界文化遺産に登録されたことをきっかけに、海外で日本酒の人気が高まっている。外国人とビジネス交流のある日本人の中でも、日本酒を教養として学ぼう、楽しもうという人が増えてきている。
  • 要点
    2
    日本酒は特別な米や水を使用し、ときには醸造アルコールなどの添加物を加えて独特の味わいを出す。その製法も特殊で、醸造酒でありながら比較的高いアルコール度数をもつ。
  • 要点
    3
    歴史やマナーなどを知ると日本酒をより楽しむことができる。季節ごとの味わい方や料理との組み合わせといったものを意識したい。

要約

身近だが実は知らない日本酒

海外からの注目
moodboard/gettyimages

今、海外で日本酒需要が高まっている。清酒輸出総額が10年連続過去最高金額を更新し、海外のレストランでは、人気の日本酒ボトルを見かけることが増えてきた。

このような海外での日本酒人気のきっかけは、2013年「和食-日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことだ。それまでの海外における日本酒といえば、海外駐在員の日本人が恋しくて飲むという消費がメインだったが、世界遺産の和食とともに日本酒を味わいたいと人気が一気に高まった。

また、インバウンドの急増も日本酒の消費拡大を後押ししている。日本で和食や日本酒を堪能した人たちは、お土産として日本酒を購入し自国でも楽しむようになった。

さらに、海外での日本酒人気が日本に逆輸入されている。特に海外の文化人と交流が多い日本人は、かれらの日本酒への興味や姿勢に少なからず影響を受け、「日本文化としての日本酒を知ろう」という意識が高まってきた。実際、日本酒を学びたいという若者のためにセミナーを開催するところも出てきている。YouTubeやリモートでのウェビナーなどを活用し、気軽に日本酒について学べる環境も整っている。

日本酒はいまや、必須の教養となっているのだ。

日本酒の定義

では、具体的に日本酒について学んでいこう。

日本のお酒は、「酒税法」によって発泡酒類、醸造酒類、蒸留酒類、混成酒類に分けられている。その中で日本酒は、醸造酒類の「清酒」にあたる。

「ボルドー」「シャンパーニュ」など特定の地域をお酒の名称にする地理的表示は、種類や農産物などの品質やブランドを守ってきた。一方、日本酒には長らく地理的表示はなかったが、2005年の「白山」(石川県白山市)で初めて認められ、「山形」「灘五郷」などが続いた。これによって、原料のお米は国産のみ、国内製造の清酒のみが地理的表示「日本酒」を独占的に名乗ることができるようになった。外国産のお米を使用した清酒や日本以外で製造された清酒が流通しても「日本酒」としては表示できないため、消費者が区別しやすくなり、高品質な「日本酒ブランド」のPR、価値向上にもつながっている。

あまりに高い米
Toshie Kurosawa/gettyimages

日本酒の原料は酒税法で定められており、日本酒のラベルを見ると確認することができる。基本的な原料はお米、水、米麹。その他「酵母」「乳酸菌」などの微生物、「醸造アルコール」も日本酒選びには欠かせない要素だ。

米は、日常的にごはんとして食べる「米」とは区別され、「酒造用米」と呼ばれる。酒造用米は日本で栽培される米の5%程度。さらにいくつかの条件をクリアした「酒造好適米」は酒造用米のうちわずか1%しかない。

酒造好適米の栽培には、病気や害虫対策として日当たりや風通しを考慮する必要がある。また、苗の間隔を通常の2倍ほど取るため、面積あたりの収穫量が限られる。非常に手間とコストがかかるため、最高級のものでは1キロ当たり500~600円、食用の米の2倍ほどの価格になる。これほど高い原料を使って造るお酒は他にない。それにも関わらず、他の高級酒に比べると日本酒はかなり安価な設定となっている。近年、これでは日本酒は発展しないと感じ、ブランド価値をもつ高級日本酒に力を入れ始めたメーカーも出てきている。

味やアルコールをつくるもの

日本酒の味を決める原料は「水」だ。

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要約公開日 2021.02.27
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