〔エッセンシャル版〕 マイケル・ポーターの競争戦略

未読
〔エッセンシャル版〕 マイケル・ポーターの競争戦略
〔エッセンシャル版〕 マイケル・ポーターの競争戦略
未読
〔エッセンシャル版〕 マイケル・ポーターの競争戦略
ジャンル
出版社
早川書房
出版日
2012年09月25日
評点
総合
4.3
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
4.5
要約全文を読むには会員登録ログインが必要です
ログイン
本の購入はこちら
書籍情報を見る
本の購入はこちら
おすすめポイント

ポーターは、ビジネスにおける唯一にして最大の問題を追究した――なぜ同じ企業のなかにも、ほかより収益性の高い企業があるのだろう? この疑問は次々と別の疑問を生んだ。なぜ一貫して収益性の高い業界が存在するのか。また、それは戦略を立てる経営者にとってどんな意味があるのか。なぜ一部の国や地域はほかより繁栄しているのか。時を超えた原理に目を向けてきたポーターの研究は、学術的にも、実業の現場でも厚く支持され続けてきた。

競争と戦略の分野において、マイケル・ポーターが書いた『競争の戦略』や『競争優位の戦略――いかに高業績を持続させるか』(いずれもダイヤモンド社)を、知らない者はいない。しかし、それらで言及されている「五つの競争要因」「バリューチェーン」などの概念を、深く理解せずになんとなく使っている方も多いのではないだろうか。

本書は、そうしたいわゆる「誰もが読んでおけばよかったと思う」古典的な名著に記されたポーターの研究のエッセンスを、体系的にわかりやすくまとめてある。ポーターの研究には、医療や環境等の社会問題への競争原理の適用など、優れたものがたくさんあるが、本書では競争と戦略に焦点をしぼっている。

経営者、管理職はもちろん、彼らに助言を与える共に働く人たちの役に立つ一冊だ。

著者

ジョアン・マグレッタ
ミシガン大学で文学博士号を取得後、ハーバード・ビジネス・スクールで経営学修士号を取得。経営コンサルティングファーム、ベイン・アンド・カンパニーのパートナーを経て、『ハーバード・ビジネス・レビュー』の戦略担当編集者として1990年代初頭からマイケル・ポーターと数多くの仕事を共にする。1998年、担当記事がマッキンゼー賞を受賞。著書『なぜマネジメントなのか』執筆のため同誌を辞し、ポーターの主導するハーバード・ビジネス・スクール競争戦略研究所でシニア・アソシエートを務める。

本書の要点

  • 要点
    1
    競争が目指すべきことは、ライバルを負かすことではなく、収益性を高めることだ。「利益=価格-コスト」が基本の方程式だ。業界の構造や収益性は五つの競争要因によって分析できる。
  • 要点
    2
    競争優位とは、業界平均を上回る業績をいかに確保するかということだが、そのためには他社と異なるバリューチェーンをいかに構築するかが大切だ。
  • 要点
    3
    優れた戦略を成り立たせるには、特徴ある価値提案、特別に調整されたバリューチェーン、トレードオフ、適合性、継続性の五つの条件が肝要になる。

要約

競争とは何か

正しい考え方
studiogstock/iStock/Thinkstock

戦略とは、競争にさらされた組織がいかにして卓越した業績を達成するのか、その方法を説明するものだ。

そもそもの競争の本質としくみに対する思い違いは、戦略の誤りを招く。なかでも最もよくある誤解が、競争に勝つには「最高を目指す」のが一番だというものだ。すべての競合企業が「唯一最善の」方法で競争すれば、企業は互いの慣行や製品を参考にし、衝突するコースをまっしぐらに進むことになる。

戦略的競争とは、他社と異なる道筋を選ぶことをいう。我々は、「最高を目指す競争」ではなく、「独自性を目指す競争」をしなければならない。そのためには「一位になる」のではなく「収益を高める」、「市場シェア重視」ではなく「利益重視」、「最高の製品によって最高の顧客に対応する」のではなく「ターゲット顧客の多様なニーズを満たす」、「模倣による競争」ではなく「イノベーションによる競争」、「ゼロサム競争(誰も勝てない戦争)」ではなく「プラスサム競争(複数の勝者、多くの土俵)」という視点が欠かせない。

五つの競争要因

競争の主眼はライバルを負かすことにあるのではなく、利益を上げることにある。ビジネスにおける競争の本質は利益をめぐる競争だ。基本となる利益の方程式は、「利益=価格-コスト」である。

ポーターが提唱しているフレームワーク「五つの競争要因」を使えば、どんな業界構造でもわかりやすく表すことができる。その構造によって、収益性が決定される。原則として、それぞれの競争要因の影響が強ければ強いほど、価格やコストに対する圧力が強まる。

「五つの競争要因」とは、

・買い手の交渉力

・サプライヤーの交渉力

・新規参入者の脅威

・代替品や代替サービスの脅威

・既存企業同士の競争

である。

「五つの競争要因」を考えながら業界分析を行う上での典型的な手順としては下記のとおりだ。

(1)業界を「製品の範囲」と「地理的範囲」の二つの面から定義する。「製品の範囲」とは、業界に含まれる製品、業界に含まれない製品の線引きのことだ。また、「地理的範囲」とは、市場やサプライヤーなどに大きな違いのない範囲のことだ。

(2)五つの競争要因を構成する当事者を特定し、必要に応じてグループに分類する

(3)五つの競争要因を促進する要素を分析する

(4)一歩下がって全体的な業界構造を見極める

(5)それぞれの競争要因の最近の変化と将来起こりうる変化を分析する

(6)五つの競争要因に対して自社をどのようにポジショニングできるか検討する。

もっと見る
この続きを見るには...
残り2630/3664文字
会員登録(7日間無料)

3,400冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2014.08.22
Copyright © 2024 Flier Inc. All rights reserved.
一緒に読まれている要約
StrategicMind 2014年新装版
StrategicMind 2014年新装版
大前研一
未読
現代アートビジネス
現代アートビジネス
小山登美夫
未読
千年企業の大逆転
千年企業の大逆転
野村進
未読
振り切る勇気
振り切る勇気
田中仁
未読
ブラックスワンの経営学
ブラックスワンの経営学
井上達彦
未読
[実況]マーケティング教室
[実況]マーケティング教室
グロービス
未読
人材を育てるホンダ 競わせるサムスン
人材を育てるホンダ 競わせるサムスン
佐藤登
未読
異文化間のグローバル人材戦略
異文化間のグローバル人材戦略
フォンス・トロンペナールスチャールズ・ハムデン・ターナー古屋紀人・監(訳)木下瑞穂(訳)西山淑子(訳)協力グローバル組織人材開発研究所協力
未読
法人導入をお考えのお客様