「やめる」という選択

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「やめる」という選択
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出版日
2021年07月20日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

仕事もプライベートも頑張っているのに、うまくいかない。いつも目の前のことに追われて窮屈に感じる。たいして好きでもない仕事や楽しみではない約束に人生の大半の時間を費やしてしまっている――そんなふうに感じることはないだろうか。

本書を読めば、頑張っているのにうまくいかない理由と、その対処方法を知ることができる。著者、澤円氏は、その原因を経済学用語である「埋没コスト(サンクコスト)」になぞらえて、あなたの努力を水の泡にしてしまいかねない思考や行動に警鐘を鳴らしている。埋没コストは日常のあらゆる場所に潜み、知らず知らずのうちに人生を停滞させる要因になっているのだという。そうした「人生のコスト」ともいうべき思考や行動を「やめる」ことを提唱するのが本書だ。

ルーティンの会議など、惰性で続けているものを思い浮かべてみてほしい。それらにあなたの貴重な時間を割く価値はあるだろうか。組織に貢献をもたらしているだろうか。「せっかくここまでやってきたのだから」「仕事だから仕方ない」などと「やめる」ことから逃げていると、損害は膨らむばかりだ。

本書は単に、無駄なことをやめましょうと主張するのではない。あなたをがんじがらめにしている思考や行動から解き放ち、もっと自由に生きていいのだと背中を押してくれる。

もし今のあなたが「ありたい自分」の姿と違っているなら、あるいは日々の生活のなかで息苦しさを感じているのなら、本書が救世主となってくれるはずだ。

ライター画像
金井美穂

著者

澤円(さわ まどか)
元日本マイクロソフト業務執行役員。株式会社圓窓代表取締役。
立教大学経済学部卒業後、生命保険会社のIT子会社を経て1997年にマイクロソフト(現・日本マイクロソフト)に入社。情報コンサルタント、プリセールスSE、競合対策専門営業チームマネージャー、クラウドプラットフォーム営業本部長などを歴任し、2011年にマイクロソフトテクノロジーセンターセンター長に就任。業務執行役員を経て、2020年に退社。
2006年には、世界中のマイクロソフト社員のなかで卓越した社員にのみビル・ゲイツ氏が授与する「Chairman’s Award」を受賞した。現在は、自身の法人の代表を務めながら、琉球大学客員教授、武蔵野大学専任教員の他にも、スタートアップ企業の顧問やNPOのメンター、またはセミナー・講演活動を行うなど幅広く活躍中。2020年3月より、日立製作所の「Lumada Innovation Evangelist」としての活動も開始。
著書に『マイクロソフト伝説マネジャーの世界No.1プレゼン術』(ダイヤモンド社)、『個人力 やりたいことにわがままになるニューノーマルの働き方』(プレジデント社)、『「疑う」からはじめる。これからの時代を生き抜く思考・行動の源泉』(アスコム)、伊藤羊一氏との共著に『未来を創るプレゼン 最高の「表現力」と「伝え方」』(プレジデント社)。監修に『Study Hack! 最速で「本当に使えるビジネススキル」を手に入れる』(KADOKAWA)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    人生がなぜかうまくいかないのは、思考が過去の努力や成功に固定化されて「埋没コスト」になっているからかもしれない。
  • 要点
    2
    現代における「仕事ができる人」の条件は、「なにかができる人」ではなく「やめることをすぐ決められる人」になりつつある。
  • 要点
    3
    大切なのは「せっかく○○したんだから」という埋没コスト化した思考や行動を「やめる」こと、そして「いちばん幸せなところに身を置こう」と考えることだ。

要約

人生がうまくいかない理由

人生を停滞させる「埋没コスト」

人生をよくしようと日々頑張っているのに、ふと気がつくとたいして好きでもない仕事に追われている――そんな感覚に陥ったことはないだろうか。頑張っているのになぜかうまくいかない原因は、人生の「埋没コスト(サンクコスト)」にある。

経済学で「埋没コスト」といえば、「ある経済行為に対して、どんな意思決定をしても回収できない費用」のことだ。ここから援用して本書では、「過去にうまくいった考え方や方法を続けているうちに、思考パターンがその過去に固定化され、過去の延長線上でしかものごとが考えられなくなる状態」をさす。要するに、「せっかく○○したのだから」という言葉で表せる思考や行動パターンだ。過去の思考にとらわれて、人生が停滞している状態である。

埋没コストを取り戻せない以上、これまで通り同じことを続けていれば、損失ばかりが膨らんでいく。本書では、こうした行動を「やめる」ことで、本当に好きなことをしながら豊かな人生を生きる方法を提示する。

yangwenshuang/gettyimages

【必読ポイント!】 自分というOSをアップグレードする

埋没コストの判断基準はQOL

人生の「埋没コスト」は、仕事だけでなく日常のあらゆるところに潜んでいる。何年も着ていないコートやほとんど使っていない電化製品、本棚に並べただけで読んでいない本など、「使っていないのに捨てられないモノ」はないだろうか。人は「うまくいかなかった」というネガティブな記憶があるモノに限って捨てられない傾向がある。手元に置いておくことで幸せな気持ちになれるならいいが、「せっかく買ったから」という理由だけで持っているなら、手放したほうがいいだろう。

「人間関係」にも埋没コストは生じる。異動や退職の後、年賀状が来なくなることがある。相手はあなた自身ではなく、あなたの会社名や役職という「記号」と付き合っていたのだろう。そうした出来事を嘆くのは、属性を重視するような人間関係に人生の貴重な時間を割いているのと同じことだ。

大切なのは「クオリティ・オブ・ライフ(QOL)」の視点である。判断基準は「人生が豊かになるかどうか」「好きかどうか」でいい。そうすれば、幸せな人生につながるし、周囲とも良好な人間関係を築いていける。

スキルの掛け合わせで「センス化」する

QOLを高めていくには、過去の自分の考え方やあり方をリセットして、マインドセットをアップグレードする必要がある。過去の延長線上で改善していくのではなく、自分というOSをアップグレードする、つまり根こそぎ入れ替えるのだ。

ここで注目するのは、自分自身のなかにある「マインド面の埋没コスト」だ。具体的には、経験、固執、古いやり方、過去の成功体験、先入観、偏見、常識、思い出などがこれに該当する。

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要約公開日 2021.12.05
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