ゴールドプランなら4,000冊以上が全文読み放題! 7日無料体験はこちらから

本書の要点

  • かつて経済も社会も安定していたころ、人々は安心して内面の世界に向き合うことができた。しかし、この20年で心は顧みられなくなった。

  • いまや心はひどく脆弱になっている。それでも心は、人々の具体的で個人的な小さなエピソードの中に存在する。

  • 心は目には見えない。心が存在するのは、他の心の中だけだ。心が一つ存在するためには、必ず二つの心がいる。

1 / 4

【必読ポイント!】 大きすぎる物語に侵食される、小さな物語

心が消えてしまった

本エッセイが連載されていたのは、新型コロナウイルスに翻弄された1年だった。2020年、人々は大きすぎる物語に翻弄された。みんなが同じウィルスに襲われ、同じ不安におびえ、同じ物語に取り巻かれた。そこでは、個人は群れの一員と化して、本当はそれぞれにあったはずの、小さな物語をかき消してしまう。

心とは何か。コロナ禍でそうした根本的な問題を考えるようになった著者は、改めて心理学の事典で「心」について調べてみた。ところが、図書館に置いてあった多くの事典を見ても、「心」という項目は存在していなかった。唯一見つかった定義は、「体・物の反対」だ。心は否定で定義されている。つまり、物質的な問題を解決してもどうにもならないとき、はじめて心の問題に目がいくということなのだろう。

描くべきだったのは、「コロナ禍での心」ではなかった。問題は、心が存在しないことだったのだ。心はコロナの1年に消えたのではない。この20年で、小さな物語が少しずつ浸食されてきたのだ。心はどこへ消えた?

心が輝いていた時代から、埋もれて見えなくなる時代へ

Somsuk Nuthawut/gettyimages

説明をシンプルにするために、1999年以前を「心の時代」としておこう。かつて心はキラキラとしていた。河合隼雄という臨床心理学者は「物は豊かになったが、心はどうか?」と問いかけ、多くの共感を呼んだ。臨床心理学も大人気で、著者が臨床心理学を学ぼうと決めたのはこの時代の終わりだった。

もっと見る
この続きを見るには...
残り3935/4567文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2021.12.04
Copyright © 2026 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

「やめる」という選択
「やめる」という選択
澤円
考えて、考えて、考える
考えて、考えて、考える
丹羽宇一郎藤井聡太
諦めの価値
諦めの価値
森博嗣
繊細な人  鈍感な人
繊細な人  鈍感な人
五百田達成
ゆっくり、いそげ
ゆっくり、いそげ
影山知明
「怒り」が消える心のトレーニング
「怒り」が消える心のトレーニング
安藤俊介
POSITIVE DEVIANCE(ポジティブデビアンス)
POSITIVE DEVIANCE(ポジティブデビアンス)
リチャード・パスカルジェリー・スターニンモニーク・スターニン原田勉 (訳)
「しなくていいこと」を決めると、人生が一気にラクになる
「しなくていいこと」を決めると、人生が一気にラクになる
本田秀夫

同じカテゴリーの要約

頼るのがうまい人がやっていること
頼るのがうまい人がやっていること
有川真由美
お金の不安という幻想
お金の不安という幻想
田内学
すぐやる人の小さな習慣
すぐやる人の小さな習慣
大平信孝大平朝子
記憶脳
記憶脳
樺沢紫苑
感情に振り回されない 精神科医が教える心のコントロール
感情に振り回されない 精神科医が教える心のコントロール
和田秀樹
聴く技術
聴く技術
山根洋士
「いい質問」が人を動かす
「いい質問」が人を動かす
谷原誠
なぜか機嫌がいい人がやっている100の習慣
なぜか機嫌がいい人がやっている100の習慣
藤本梨恵子
一・五代目 孫正義
一・五代目 孫正義
井上篤夫
心の中のネガティブさんと上手につきあう方法
心の中のネガティブさんと上手につきあう方法
精神科医Tomy