「怒り」が消える心のトレーニング

図解アンガーマネジメント超入門
未読
「怒り」が消える心のトレーニング
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「怒り」が消える心のトレーニング
出版社
ディスカヴァー・トゥエンティワン

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出版日
2018年09月30日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「怒り」への対処は難しい。アンガーマネジメントに関する記事や書籍を多く見かけるのは、この感情を扱うことの難しさによると想像する。「喜怒哀楽」というように、怒りは生来人間に備わっている感情である。しかし多くの場合、「喜び」「哀しみ」「楽しみ」のマネジメントが説かれることはなく、「怒り」のみ必要とされるのは、怒っている本人と周囲の人たちにとってマイナスの影響が大きいからだろう。感情は伝染するというが、「誰かが怒りを爆発させて、その場の雰囲気が悪くなった」という経験がある人も多いはずだ。

本書は、日本におけるアンガーマネジメントの第一人者である安藤俊介氏による「怒りをコントロールする方法」が詰まった一冊である。著者によれば、「アンガーマネジメント」とは「怒らないこと」ではなく、「怒りをコントロールすること」だ。本書には、とっさの怒りへの対処法や怒らない自分をつくる習慣、ムダに怒らない人になるための心の持ち方など、今すぐ使える考え方やメソッドが多数紹介されている。「自分は怒りっぽい性格だから」となかばあきらめている人もいるかもしれないが、そんな人こそ本書を手に取ってほしい。アンガーマネジメントは「技術」であり、自転車に乗ることと同じように、反復練習で誰もが習得できると著者はいう。

怒られる人も辛いが、怒っている本人も不快な気持ちになるし、後悔することも多いものだ。怒りに支配されることのない人生を送りたいなら、本書は心強い伴走者となってくれるはずだ。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

安藤俊介(あんどう しゅんすけ)
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事。アンガーマネジメントコンサルタント。
怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニング「アンガーマネジメント」の日本の第一人者。アンガーマネジメントの理論、技術をアメリカから導入し、教育現場から企業まで幅広く講演、企業研修、セミナー、コーチングなどを行っている。ナショナルアンガーマネジメント協会では15名しか選ばれていない最高ランクのトレーニングプロフェッショナルにアジア人としてただ一人選ばれている。主な著書に『アンガーマネジメント入門』(朝日新聞出版)、『はじめてのアンガーマネジメント実践ブック』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)等がある。著作はアメリカ、中国、台湾、韓国、タイ、ベトナムでも翻訳され累計70万部を超える。

本書の要点

  • 要点
    1
    アンガーマネジメントとは「怒りと適切に付き合って、コントロール下におくこと」であり、反復練習によって習得できる「技術」だ。
  • 要点
    2
    怒った出来事をその場で記録する「アンガーログ」、自分のコアビリーフを見直す「べきログ」、小さな幸せを書き留める「ハッピーログ」をつけると、自分自身を客観視して、心の許容量を広げることができる。
  • 要点
    3
    自分の気持ちを「権利・欲求・義務」に分けて考えると、人間関係でイライラしにくくなる。

要約

アンガーマネジメントとは

west/gettyimages
「アンガーマネジメント=怒らないこと」ではない

あなたは、怒りをため込んでイライラを引きずり、何かの拍子に爆発させてしまった経験はないだろうか。もしくは、ため込んだ怒りがストレスとなり、心身の不調を感じたことがあるかもしれない。そうした状態は、「怒りをうまくコントロールできている」とはいえない。

怒りは人間が生まれつき持っている感情であるため、怒りを感じること自体に罪悪感を持つ必要はない。「怒らないこと」ではなく、「怒りと適切に付き合って、コントロール下におくこと」こそが重要なのだ。

怒りを抑え込むと、ストレスがたまるだけでなく、相手の主張をそのまま受け入れることにもなりかねない。黙って怒りに耐えていれば、理不尽な状況に追い込まれることもあるかもしれない。

大事なのは「上手に怒りを伝えること」である。感情的に怒りをぶつけるのではなく、うまくリクエストを伝える。そうすれば、状況は改善に向かうはずだ。

アンガーマネジメントは後天的に習得できる
pixelfit/gettyimages

人は「腹が立つ人がいる」「あの出来事はイライラした」と、怒りの原因を自分の外に見出す傾向がある。しかし一方で、同じシチュエーションでも「怒る人」と「怒らない人」がいるのも事実だ。つまり、怒りの原因は自分の捉え方や考え方にあるため、自分でコントロールできるということだ。

自分は生まれつき怒りっぽいからとあきらめている人もいるかもしれないが、アンガーメネジメントは「技術」であり、後天的に身につけられるものだ。今日明日で完全にマスターすることはできなくても、繰り返し練習すればいい。

アンガーマネジメントを身につけるためには、(1)技術を学ぶ、(2)失敗を重ねながら練習を続ける、(3)さらに意識的に練習を続ける、(4)他のことをしながらでもできるようになる、という段階を経る。とにかく繰り返し練習しよう。

とっさの怒りを切り抜ける対症療法

怒りとアレルギーの共通点

怒りとアレルギーは似ている。花粉に反応する人とそうでない人がいるように、ある出来事に遭遇したときの反応も人によって異なるものだ。

アレルギー症状を軽くするには体質改善が必要だとされているが、体質改善は時間がかかるうえ、効果が必ず出るとは限らない。だから薬を飲むなど、即効性のある対症療法を優先することがすすめられる。

アンガーマネジメントにおける対症療法とは「思わずカッときてしまったときに怒りを抑えること」であり、体質改善とは「ムダに怒らなくなる考え方を身につけること」である。ここでは対症療法として、「今」「この場」の怒りを鎮める方法を紹介する。

6秒間だけ待つ

誰しも、イライラする出来事に遭遇することがある。そんなときに一番やってはいけないのは、反射的に怒りを表現することだ。自分も相手もヒートアップさせ、取り返しのつかない事態を招くことになりかねない。

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要約公開日 2021.12.07
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