リーダーシップ進化論

人類誕生以前からAI時代まで
未読
リーダーシップ進化論
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リーダーシップ進化論
著者
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定価
2,200円(税込)
出版日
2021年10月30日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「なぜ、あなたがリーダーなのですか?」。多くのリーダーが、この問いに答えようと努力している。そして、悩んでいる。

著者によれば、それはあるべきリーダー像、すなわちリーダーの正当性が組織に起因し、その組織がそのときどきの環境によって変化する。本書は、2011年刊行の『リーダーシップでいちばん大切なこと』で「自分らしいリーダーシップ」について論じた著者が、「自分らしいリーダーシップ」は現実には不都合と感じ、より現実に即したリーダーシップ論が必要だという思いから書かれた。リーダーシップは組織によって変わることを軸に、歴史の中でどのような組織が形成され、どのようなリーダーシップが求められてきたのかを整理し、これからあるべきリーダーシップを描き出している。

リーダーシップと聞くと、とかくビジネスシーンで求められるものと思われがちだ。しかし、私たちの普段の生活とリーダーは、密接につながっている。たとえば家族、たとえば趣味サークルの場面において――。

本書の最後は、あるべきリーダーシップがないと、人間の存続が危ぶまれることが指摘されている。大仰に聞こえるかもしれないが、私たちが常にリーダー側か、リーダーを支える側になる存在である以上、「あるべきリーダーシップ」という命題に向き合い続けなければならないであろう。

「私(たち)はこれからどう生きるべきか」。本書はリーダーシップ論を通じ、そのヒントを伝えてくれている。

ライター画像
藤平泰徳

著者

酒井 穣(さかい じょう)
株式会社リクシス創業者・代表取締役副社長。
1972年東京生まれ。慶應義塾大学理工学部卒。
TIAS School for Business and Society 経営学修士号(MBA)首席取得。
商社にて新規事業開発に従事後、オランダの精密機器メーカーに光学系エンジニアとして転職し、オランダに約9年在住する。
帰国後はフリービット株式会社(東証一部)の取締役(人事・長期戦略担当)を経て、2016年、ビジネスパーソンのための仕事と介護の両立支援サービスや人工知能を用いた高齢者支援サービスを提供する、株式会社リクシスを共同創業。
認定NPO法人カタリバ理事、プロ野球選手会顧問なども兼任。

おもな著書
『はじめての課長の教科書』
『ビジネスパーソンが介護離職をしてはいけない これだけの理由』
『ビジネスパーソンの父が子どもたちに伝えたい21世紀の生き方』(以上ディスカヴァー)
『「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト』(光文社新書)

本書の要点

  • 要点
    1
    リーダーシップは、組織の在り方と密接に関係する。組織の何らかの行動変化が勝負の行方も左右する環境において、リーダーが求められる。
  • 要点
    2
    「自然に生まれるリーダーがよいリーダー」とは限らない。自己組織化の弊害を超克し、真の平和を目指すためのリーダーシップが求められている。
  • 要点
    3
    人間は将来、生態系のトップの座を人工知能(人工生命)に明け渡すことになる。現代のリーダーに求められるのは、その世界的な議論に参加し、可能であれば主導権を握ることだ。

要約

リーダーシップとは

リーダーと組織

世の中にあるリーダーシップに関するテキストは膨大だ。一説によると、リーダーシップに関する書籍は1万5000冊もあり、記事ともなれば年間数千もの単位で発表されている。

私たちはリーダーシップが重要と理解している。しかし、リーダーシップの本質を掴むのは難しい。リーダーシップをめぐる成功や失敗が、どのようなインパクトを持っているか、体験を通じて理解している。

リーダーシップは、組織の在り方と密接に関係する。むしろ組織の存在がリーダーを生み出している。一方、何も変化させる必要がないほどにパフォーマンスが高いチームでは、リーダーは必要ない。裏返せば、すでに失敗や敗北が確定している状況下では、リーダーが出現しても意味がない。チームの生産性が中程度、すなわちチームの何らかの行動変化によって勝負の行方も変化する環境だけが、リーダーを求める。つまり、リーダーシップ論とは組織論である。

自己組織化の超越
Cheryl Ramalho/gettyimages

原子は、ランダムな存在ではなく、規則的に振る舞う。それが集まると分子になったり結晶化したりする。このように、個々の要素に与えられている単純な規則が複雑なパターンを作り出すプロセスのことを、「自己組織化」と呼ぶ。

組織がリーダーを求めれば、リーダーは自然に生まれる。その組織に問題がなければ、リーダーに関する研究の意味はない。

チンパンジーの群れは、協力し合うという本能によって、むしろ組織だった争い、戦争を行う。人間の社会における自己組織化もまた、究極的には戦争につながっている。「自然に生まれるリーダーが、よいリーダー」とは限らない。

現代のリーダーシップ研究もまた、争いに勝てるリーダーの観察になってはいないか。競争が進化を生むという性質上、仕方のないことかもしれない。しかし、地球規模の大量絶滅が進行しつつある今、手をこまぬいていられない。自己組織化の問題点を超越し、真の平和を目指すためのリーダーシップが求められている。

リーダーシップの変遷

旧石器時代以降のリーダーシップ

リーダーシップは、2人以上の人間がいる組織においてのみ生じる概念だ。もし世界で唯一残された最後の人間だとしたら、リーダーシップに悩むことはないだろう。

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