POSITIVE DEVIANCE(ポジティブデビアンス)
学習する組織に進化する問題解決アプローチ

未 読
POSITIVE DEVIANCE(ポジティブデビアンス)
ジャンル
著者
リチャード・パスカル ジェリー・スターニン モニーク・スターニン 原田勉 (訳)
出版社
東洋経済新報社 出版社ページへ
定価
2,860円(税込)
出版日
2021年03月25日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
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学習する組織に進化する問題解決アプローチ
著者
リチャード・パスカル ジェリー・スターニン モニーク・スターニン 原田勉 (訳)
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出版社
東洋経済新報社 出版社ページへ
定価
2,860円(税込)
出版日
2021年03月25日
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総合
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明瞭性
3.5
革新性
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レビュー

あなたのまわりに、気が滅入るほど複雑で改善の道筋が見えない課題はあるだろうか。それらはいったいどうすれば解決できるのか――? 変化の糸口はすでに組織の中に存在しているかもしれない。同様に困難な状況にありながらその課題を解決した例外的なケースはないだろうか? この「ポジティブな逸脱者」を見つけることが解決の突破口になりうるというのだ。

著者らは、複雑で解決困難な課題の数々を、ポジティブデビアンス(PD)というアプローチによって改善してきた。たとえば世界中の飢餓をはじめ、製薬会社の業績不振、難民キャンプでの元子ども兵士の心理的回復などだ。

ベストプラクティスは外部の成功例をもとにするのに対し、PDは成功事例を同じ組織内で見つけようとする。PDの方法論は、一見インパクトが小さいように思えるかもしれない。だが、トップダウンによる抜本的な改革とは違って、長期的には、経営方針の転換といった環境の変化に左右されず、継続的な改善の可能性を秘めている。

本書に登場するPDアプローチが解決してきた数々の事例には、目を見開かされることだろう。目次をめくり、興味のある事例から読み始めてみてほしい。しかもビジネス視点の訳者解説が、その応用範囲の広さと奥行きを示してくれる。SDGs時代の「問題解決のバイブル」として本書を携え、より良い未来への一歩を踏み出していただきたい。

菅谷真帆子

著者

リチャード・パスカル(Richard Pascale)
ベストセラー作家、世界有数のビジネスコンサルタント、オックスフォード大学サイードビジネススクール・アソシエイトフェロー。スタンフォードビジネススクールに20年間在籍し、そのMBAプログラムで最も人気のあるコース「Organizational Survival(組織の生存戦略)」を指導した。

ジェリー・スターニン(Jerry Sternin)
PDアプローチの生みの親。セーブ・ザ・チルドレンのディレクター、ハーバードビジネススクール学長補佐などを歴任。PDイニシアチブ創設者であり、同代表を務めた。2008年没。

モニーク・スターニン(Monique Sternin)
セーブ・ザ・チルドレンのディレクター。PDイニシアチブ共同創設者であり、タフツ大学准教授を務める。

本書の要点

  • 要点
    1
    ポジティブデビアンスのアプローチは、解決不可能に思われる課題に対して、成功した例外、すなわち「ポジティブな逸脱者」に焦点を合わせ、問題解決につなげる。これは、コミュニティの中に問題をすでに解決している人が少なくとも1人はいるという前提のもとで成立する。
  • 要点
    2
    ポジティブデビアンスでは、コミュニティが自らの解を「発見」するプロセスが欠かせない。
  • 要点
    3
    WhatからHowへのリフレーミングの中で、PDを特定し、それを普及させていくという現場での自律的学習がPDプロセスの本質といえる。

要約

ポジティブデビアンスとは何か

ポジティブデビアンスの定義

ポジティブデビアンス(以下PD)のプロセスは、失敗した規範ではなく、成功した例外すなわちポジティブな逸脱者に焦点を合わせる問題解決のアプローチである。この方法論は、コミュニティの中にほかのメンバーと同じ資源であるにもかかわらず、問題をすでに解決している人が少なくとも1人はいるという考えのもとに成り立つ。

前提となるのが次の3点だ。1つめは問題の解決策はすでに存在していること。2つめはその解決策がコミュニティ自身によって発見されること。そして3つめがこれらのイノベーターは、ほかのメンバーと同じ制約や障害に直面しているにもかかわらず成功していることである。コミュニティが自らの資源を活用し、すでに内部に存在している解決策を発見し活用すれば、目の前の問題を解決するだけでなく、将来の課題に有効に対処することができる。

WhatからHowへ
Dilok Klaisataporn/gettyimages

ハーバード大学のロナルド・ハイフェッツ氏は、課題を「技術的問題」と「適応課題」に分類する。技術的問題は、社会構造や文化的規範に煩わされることなく技術的に解決できる。一方、適応課題は、社会的複雑性の中に埋め込まれており、行動の変化を必要とし、意図しない結果を招くことが多い。PDプロセスは適応課題を解決するための手法であり、「何をすべきか」という技術的なWhatではなくHowを重要視する。このHowとは各コミュニティが知恵を発見し、実践していくプロセスである。WhatからHowへのリフレーミングの中で、PDを特定し、それを普及させていくという現場での自律的学習がPDプロセスの本質といえる。

スターニン夫妻が経験してきた具体的なケースを見ていこう。まずはボリビアの高原地帯で、重度の成長障害に苦しむ子どもたちの状況を改善するプロジェクトだ。事前調査では各家庭がほぼ同じものを子どもに食べさせていることがわかっていた。ところが、同様に貧しい状況でありながら正常な身長の子どもがいる家庭があるという。なぜこうした違いが生まれるのだろうか。

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