あてはめるだけで“すぐ”伝わる

説明組み立て図鑑

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出版社
SBクリエイティブ

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出版日
2021年11月28日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

説明上手な先輩のテクニックをまねしてプレゼンしたのに、「話が長くてわからない」と言われてしまった。「結論から話す」を意識して意見を述べたのに、うまく伝わらなかった――。そんな経験はないだろうか。

ビジネスパーソンに「説明」のノウハウを教えている著者によると、説明の組み立て方は、伝える目的やシチュエーションによって異なる。確かにその通りだとは思うのだが、具体的にどうすればよいのかと問われると、多くの人は答えに窮するだろう。本書は、そんなあなたを救ってくれる、説明本の決定版ともいえる一冊だ。

本書で紹介されるのは、日常会話から、会議やプレゼン、交渉、講義、指導といったシーンに至るまで、さまざまな目的に合わせた80の「説明の型」である。著者は、業界最難関といわれる駿台予備学校の採用試験に当時最年少で合格し、カリスマ講師として絶大な人気を誇った犬塚壮志氏だ。現在は、ビジネスパーソンに説明のノウハウを教えながら、大学院で認知科学を研究している。

そんな著者の経験と認知科学の知識にもとづく解説は、シンプルでありながら、思わず「なるほど!」と膝を打ちたくなるものばかりだ。しかも話し方だけでなく、メールや資料作成で使える「型」の具体例も紹介されており、とにかく実践的である。各型の紹介はイラストや図解を使った4ページ構成でまさに「図鑑」の体裁だが、シーンごとに分類されているので、「辞書」としても使えそうだ。常に手元に置いておきたい、ビジネスパーソン必携の書である。

ライター画像
山下愛記

著者

犬塚壮志(いぬつか まさし)
教育コンテンツプロデューサー/株式会社士教育代表取締役。福岡県久留米市生まれ。元駿台予備学校化学科講師。大学在学中から受験指導に従事。業界最難関といわれている駿台予備学校の採用試験に当時最年少の25歳で合格。駿台時代に開発したオリジナル講座は、開講初年度で申込当日に即日満員御礼、キャンセル待ちの大盛況に。その講座は3000人以上を動員する超人気講座となり、季節講習会の化学受講者数は予備校業界で日本一となる(映像講義除く)。また、年間1500時間以上の講座を行う中で、多種多様なバリエーションの説明パターンを身につける。
2017年、「大人の学び方改革」を目的に駿台予備学校を退職。独立後は、講座開発コンサルティング・教材作成サポート・講師養成・営業代行をワンオペで請け負う「士教育」を経営する。その中で、コンサルティング・プレゼン・営業商談・交渉・セミナー講演など、ありとあらゆるシチュエーションに必要な説明スキルを磨き上げる。その説明スキルをパッケージ化した研修プログラムは、大企業から中小企業まで登壇オファーが殺到。さらに、受講アンケートにおいては、「満足度」・「活用期待度」はいずれも95%超。
その傍ら、教える人がもっと活躍できるような世の中を創るべく、東京大学大学院で認知科学をベースとした研究も行う。モットーは「教育業界における価値協創こそが、これからの日本を元気にする」。
主な著書に、累計5万部越えのベストセラーとなった『頭のいい説明は型で決まる』、発売1か月で1.5万部を突破した『感動する説明「すぐできる」型』『神わかり! 頭のいい説明力』(共にPHP研究所) 、『「また会いたい」と思われる話し方』(朝日新聞出版)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    仕事でも生活でも、言葉による説明力で得られる結果の9割が決まるといっても過言ではない。
  • 要点
    2
    数十分間に及ぶ説明をする際には「アウトライン」の型が有効だ。ポイントフレーズは「全体の流れは●●。今は▲▲。本日は■■までいきましょう」である。
  • 要点
    3
    最後まで前のめりに話を聞いてもらいたいときは「欠如アピール」の型を使おう。これは、足りないものを埋めたくなる心理を利用した型だ。

要約

結果の9割は、説明力で決まる

目的やシチュエーションに合わせて説明を組み立てる
Rob Daly/gettyimages

オンラインコミュニケーションの機会が増えた今、説明力の重要性はいっそう増している。なぜなら、声の大きさやその人の雰囲気などといった非言語情報は、オンラインでは伝わりにくいからだ。これまで身体の動きや雰囲気でごまかせていたことも、しっかり言葉にする必要がある。

だから現代においては、言葉で相手にわかりやすく伝えられる「説明力」の有無で、仕事でも私生活でも大きな差がつく。結果の9割は説明力の有無で決まるといっても過言ではないほどだ。

説明がわかりにくいと、時間やストレスといったコストがかかるだけでなく、意図したことが違った形で相手に伝わってトラブルになるリスクもある。誰しもこうしたコストやリスクは避けたいだろう。裏を返せば、わかりやすく説明するだけで、相手から選ばれやすくなるということだ。

わかりやすく説明する秘訣は、相手を知ることと、説明の目的やシチュエーションに合わせて話を組み立てることである。伝えたい内容を最適な順序で組み立てれば、説明のわかりやすさは格段に上がる。

本書では、誰でも説明上手になれる80の型が紹介されている。要約ではそのうち、「基本の3つの型」を含めた11の型を取り上げる。

【必読ポイント!】理解してもらうための説明

基本の3つの型

「CRF法」「SDS法」「PREP法」は、ビジネスにおける基本の型である。

CRF法は、30秒から1分ほどの短い時間で自分の主張や提案を伝え、相手から了解を引き出したいときに使える型だ。ポイントフレーズは「結論としては●●で、その根拠は■■です」。3ステップから成り、自分の主張や提案の「結論(Conclusion)」を伝える→結論の根拠となる「理由(Reason)」を添える→理由を下支えする「事実(Fact)」を提示する、という形で話せばよい。

SDS法は、概要だけを相手に覚えてもらいたいときに有効な型だ。ポイントフレーズは「本日の概要ですが……」で、これから説明する内容の「概要(Summary)」を伝える→説明内容の「詳細(Details)」部分を伝える→説明内容の「まとめ(Summary)」を伝える、という流れである。会議などで使ってみよう。

PREP法は、プレゼン・会議・報告でシンプルに使える基本の型だ。ポイントフレーズは「まず、結論からお話ししますと……」。自分の主張や提案の「結論(Point)」を伝える→結論の根拠となる「理由(Reason)」を添える→理由のイメージが湧く「具体例(Example)」を出す→再度、「結論(Point)」を提示する、という形で進める。

「アウトライン」の型

伝えたい情報量が多く、数十分間に及ぶ説明の場合には、「アウトライン」の型が有効だ。本の目次や会議のアジェンダ、レジュメ、学校教育や人材育成のカリキュラムなどは、この型を使っている。

ポイントフレーズは「全体の流れは●●。今は▲▲。本日は■■までいきましょう」。「全工程は、この7つの流れで進んでいきます。現在は、3つ目の工程まできています。ですので、今日の夕方までに5つ目の工程まで完了することを目標としましょう」といった具合だ。

まず全体の流れを伝え、次に相手の現在地を示す。相手を混乱させないよう、あくまで現在地の情報に留めることが重要だ。

最後に目標地点を定める。そうすれば、相手は安心してゴールまで走りきれるだろう。目標地点は、相手が頭の中でイメージできるレベルまで落とし込むことが重要だ。

「振り返り」の型
kazuma seki/gettyimages

話や説明が長いときには「振り返り」の型も有効だ。ポイントフレーズは、「ここまでまとめると●●になります。続いては……」である。「内省」を促すことで、相手はそれまでの説明を咀嚼することができるため、理解が深まるのだ。

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要約公開日 2022.02.28
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