知的複眼思考法

誰でも持っている創造力のスイッチ
未読
日本語
知的複眼思考法
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知的複眼思考法
出版社
定価
968円(税込)
出版日
2002年05月20日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.5
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おすすめポイント

何らかの問題について考えたり説明したりするとき、つい便利な言葉を使ってしまってはいないだろうか。たとえばニュースによく登場する「高齢化」「Z世代」といったワードは事態を理解するのに有用で、その言葉さえ知っていれば個々に報じられる問題についてもなんとなくわかったような気になれる。しかしほとんどの問題をそうした便利な言葉につなげて考えてしまうと、ものごとの本質に気づけない危険性がある。

著者はそうした事態に警鐘を鳴らす。本書のもととなる単行本が刊行されたのは1996年だが、SNSの浸透により世界中の人々がより簡単に意見を表明できるようになった今こそ、著者の提唱する「知的複眼思考法」の重要度は増している。誤った認識が一気に広まる危険性もあるなかで、その問題は本当に問題なのか、多くの人が支持している意見が本当に正解なのか、ステレオタイプに支配されることない自分なりの視点を身につけなくてはいけない。

本書は知的複眼思考法を身につけるためにどうしたらいいのか、具体的かつ実践可能な方法を教えてくれる。実際の新聞記事などを使って解説してくれるため、そのトレーニングを日常にも取り入れやすい。紹介されている方法を通し、社会を構成する一員として自分の意見を自分の言葉で述べる、そうなるための努力を怠らないようにしたい。ビジネスパーソンはもちろん、子どものときから手に取ってほしい一冊である。

著者

苅谷剛彦(かりや たけひこ)
1955年、東京都に生まれる。東京大学大学院教育学研究科修士課程を修了後、ノースウエスタン大学大学院博士課程を修了、社会学博士。ノースウエスタン大学大学院客員講師、放送教育開発センター助教授、東京大学大学院教育学研究科教授を経て、オックスフォード大学教授。著者には『学校って何だろう』(講談社)、『大衆教育社会のゆくえ』(中公新書)、『変わるニッポンの大学』(玉川大学出版部)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    知的複眼思考法とは、ステレオタイプにとらわれずにものごとを考える方法だ。批判的な読書や批判的な作文はこの思考法の基礎トレーニングになる。
  • 要点
    2
    ものごとを複眼的に考えるために、「なぜ」という問いは重要である。この「なぜ」を分解したり概念化を利用したりすることは問いを展開するのに有効だ。
  • 要点
    3
    関係論的に問題を見直すことで、ものごとの多面性をとらえることができる。意図しなかった結果をもたらす「逆説」にも留意すべきだ。「なぜそれが問題なのか」と根底からメタに問い直すことも、自分の視点を持つための手がかりになる。

要約

【必読ポイント!】 知的複眼思考法基礎トレーニング

知的複眼思考法とは

私たちの身の回りは、ありきたりの常識や「情報化」「グローバル化」といった紋切り型の決まり文句であふれている。こうした発想を見聞きした際、深く考えることもせずに「そんなものか」と反射的に受け取ってしまうことも多い。その結果、自分の頭で考えなくなり、ものごとの複数の側面に目を向けるのを怠ってしまうかもしれない。

著者は、ステレオタイプ、「常識」にとらわれ、「他の人と同じ」発想をする「単眼思考」に対し、「知的複眼思考法」を提案する。これは、「複数の視点を自由に行き来することで、ひとつの視点にとらわれない相対化の思考法」のことだ。自分なりの考えをもち、自由に考える市民のための思考法でもある。

考えるプロセスを省いてでも「正解」を見つけようとするのではなく、知識と思考を結びつける方法が重要となる。知識の断片はいつか消えてしまう。本書は、「考える」方法のさまざまなパターンを紹介し、自分の頭で考える力を身につける手助けをする。

自ら考える力を読書で養う
Deagreez/gettyimages

本をはじめとする紙に書かれた活字メディアでは、受け手のペースでメッセージを追っていくことができる。時間のかけかたが自由であり、立ち止まってじっくり考える余裕を与えてくれる。つまり読書は、複眼思考を身につけるうえで格好のトレーニングの場となる。著者は思考力を鍛える読書の方法を次のように紹介している。

まず大切なのは著者と対等の立場に立って読むことだ。どんなに偉い著者でも人間であり、間違えることもあれば論理の飛躍もある。目の前の本を不動の完成品としてではなく、さまざまな可能性のうちのひとつとしてとらえたほうがよい。

書き手の言い分を鵜呑みにせず、批判的に考えながら読書するための重要なチェックポイントとして著者は以下の4点を挙げている。

(1)著者を簡単には信用しないこと

(2)著者のねらいをつかむこと

(3)論理を丹念に追うこと、根拠を疑うこと

(4)著者の前提を探り出し、疑うこと

批判的に作文する

自分自身で考える力をつけるためには、批判的に書くことも重要である。考えるという行為は、考えを表現してはじめて意味を持つからだ。

まず大切なのは、文と文のつながりに気をつけることである。つながりが論理的かどうかは、「だから」「しかし」といった「接続のことば」を正しく使えているかに着目するとよい。

論理を明確にするためには、「結論を先に述べ、それから、その理由を説明する」「判断の根拠を示す」といったコツがある。

以上の点を意識して論理的に文章を書くことは複眼思考法の基礎トレーニングとなるが、「一人ディベート」も考え方を養うのに有用だ。

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