睡眠は時間だけでなく質も重要だ。いくら長時間寝ていても、質がよくないと健康に悪影響がある。「朝の目覚めが悪い」「寝ても疲れが取れていない気がする」「日中、ぼんやりして集中できない」「イライラしがち」「昼間や夕方に眠くなる」のうち1つ2つ当てはまっていたら、あなたの睡眠の質は低いといえそうだ。
睡眠中には脳の老廃物が取り除かれる。質の悪い睡眠は、たとえるなら、汚れた皿で食事を続けるようなものだ。次に寝るまで体と脳のメンテナンスができないので、かなりイヤな一日になってしまう。
ただし、科学的に睡眠の質を判定するのはかなり難しい。設備の整ったクリニックに最低1〜2泊して、睡眠ポリグラフの機器を装着し、専門医に観察・分析してもらってようやく評価できるものだ。だからまずは、自分の感覚を頼りにしてほしい。先ほど挙げた5つの自覚症状があるなら、睡眠の質を見直そう。
著者は、入眠直後のおよそ90分間、一番深いノンレム睡眠が出てくる時間を「黄金の90分」と呼ぶ。この90分間には、「脳と体の休息」「記憶の整理・定着」「ホルモンバランスの調整」「免疫力アップ」「脳の老廃物を取る」という、5つの重要な生理現象が行われている。
「黄金の90分」には、成長ホルモンが大量に放出される。これは、子どもだけの話ではない。大人であっても、「黄金の90分」に成長ホルモンが分泌され、肌の調子が整う、骨が強化されるといった効果が期待できる。
なお「黄金の90分」は就寝時間とはさほど関係ない。何時に寝ても、最初の眠りが「黄金の90分」だ。「日付が変わる前に寝ないと黄金の90分にならない」「午後10時から午前2時までがお肌のシンデレラタイム」は誤りである。
仕事や育児、介護などで忙しい人や、シフト制で働く人にとって、日付が変わる前に寝たり、理想の睡眠時間を確保したりするのは難しいだろう。「7時間の理想の眠り」は無理でも、「最初の深い眠りである黄金の90分の確保」を目指してほしい。
いざベッドに入っても寝つけない人は、過緊張・過覚醒の状態が続いているケースが多い。
日中は誰でも緊張・覚醒している。仕事や勉強、複雑な会話や機器の操作ができるのは、脳と体の覚醒スイッチが「オン」になっているからだ。このスイッチは、眠る頃には自然と「オフ」になるものだが、寝つきが悪い人は、布団に入ってもずっとオンのままなのだ。
寝つきを良くするには、覚醒スイッチをオフにする必要がある。
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