両利きの経営(増補改訂版)

「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く
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おすすめポイント

アップルのiPhoneはそれまでの携帯電話を駆逐した。ネットフリックスの動画配信サービスがDVDレンタル会社を苦境に立たせ、アマゾンのインターネット書店が実書店に壊滅的な打撃を与える――。新興企業によるイノベーションが、絶好調だった企業を窮地に陥れる例を、私たちはいくつも知っている。ここで疑問が沸く。成功している組織は、優れたリソースを持っているにもかかわらず、なぜイノベーションを起こせないのか。どうすれば組織は持続的に成長できるのか。

これらの疑問に答えを示すのが本書だ。イノベーション研究の最前線を行く二人の研究者が執筆した本書は、2019年に日本でもベストセラーになった『両利きの経営』の増補改訂版である。世界各地の事例がさらに充実しただけでなく、実践的な考察が2章も追加された。初版の読者も新たな発見を楽しめるだろう。

日本企業の経営課題に造詣の深い入山章栄氏と冨山和彦氏による解説も刷新された。日本特有の問題に引きつけて「両利きの経営」を論じる両氏のW解説は、本書への格好のイントロダクションとなっている。

「両利きの経営」は、日本でよく知られる「イノベーションのジレンマ」理論を発展させた、世界のイノベーション研究における最重要理論だ。世界の不確実性が強まる今、「両利きの経営」の重要性はますます高まっている。未来を切り拓くための視点を授けてくれる本書は、リーダー層はもちろん、すべてのビジネスパーソンが読むべき一冊といえる。

ライター画像
奥地維也

著者

チャールズ・A・オライリー(Charles A. O'Reilly III)
スタンフォード大学経営大学院教授カリフォルニア大学バークレー校で情報システム学の修士号、組織行動論の博士号を取得。同校教授、ハーバード・ビジネススクールやコロンビア・ビジネススクールの客員教授などを経て現職。専門はリーダーシップ、組織文化、人事マネジメント、イノベーションなど。スタンフォード大学のティーチングアワードやアカデミー・オブ・マネジメント生涯功労賞などを受賞。また、ボストンのコンサルティング会社、チェンジロジックの共同創業者であり、欧米やアジアの幅広い企業向けにコンサルティング活動やマネジメント研修(破壊に対応するための企業変革や組織刷新、リーダーシップなどのプログラム)に従事してきた。スタンフォード大学のSEP(エグゼクティブ・プログラム)でも教鞭を執る。主な著書にWinning Through Innovation: A Practical Guide to Leading Organizational Change and Renewal(邦訳『競争優位のイノベーション』ダイヤモンド社)、Hidden Value : How Great Companies Achieve Extraordinary Results with Ordinary People(邦訳『隠れた人材価値』翔泳社)などのほか、論文や記事の執筆も多数。

マイケル・L・タッシュマン(Michael L. Tushman)
ハーバード・ビジネススクール教授コーネル大学で科学修士号、マサチューセッツ工科大学(MIT)で組織行動論の博士号を取得。コロンビア大学教授、MIT客員教授、フランスINSEAD教授などを経て現職。専門は技術経営、リーダーシップ、組織変革など。アカデミー・オブ・マネジメント特別功労賞や全米人材開発機構(ASTD)生涯功労賞などを受賞。また、ボストンのコンサルティング会社、チェンジロジックの共同創業者であり、コンサルティング活動やマネジメント研修に従事。ハーバード・ビジネススクールのAMP(アドバンスト・マネジメント・プログラム)、マネジメント育成・変革リーダーシップ・組織刷新プログラムのファカルティ・ディレクターも務める。主な著書にWinning Through Innovation: A Practical Guide to Leading Organizational Change and Renewal(邦訳『競争優位のイノベーション』ダイヤモンド社)、Competing by Design: The Power of Organizational Architecture(邦訳『競争優位の組織設計』春秋社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    組織が成長し続けるためには、既存事業の改善を極める「深化」と、新規事業に挑戦する「探索」を、同時に推し進める「両利きの経営」が必要だ。
  • 要点
    2
    「探索」を成功させるには、アイディアの種を見つけるアイディエーション、芽を育てるインキュベーション、事業を大きくするスケーリングの3つの段階すべてが重要だ。
  • 要点
    3
    「両利きの経営」を成功させるうえでリーダーに必要なのは、戦略的意図を持つこと、積極的に探索を支援すること、適切な組織構造を設計すること、共通のアイデンティティを醸成することである。

要約

両利きの経営が組織に長期的な成長をもたらす

サクセストラップ

高いマーケットシェアを誇り、順調に業績を伸ばし、その地位は盤石だと思われていた企業が、あっという間に衰退してしまうことがある。それはなぜなのか。ベンチャーなどの後発企業が革新的な製品・価値を生み出して従来のマーケット秩序を破壊し(=破壊的イノベーション)、その変化に対応しきれなかったからだ。例えば、アメリカの一大DVDレンタル企業であったブロックバスターは、1999年に創業したネットフリックスの動画配信サービスによって、2010年に倒産に追い込まれた。

サクセストラップと呼ばれるこの転落現象を引き起こす原因は「慣性」だ。成功している組織は、既存事業をさらに成長させるための戦略を立て、具体的に取り組むべきことを設定し、それを達成するための人材の採用・育成方法、組織構造、組織文化を構築し、維持している。こうした統制の取れたシステム、つまり組織アラインメントが確立されているからこそ、成功できたわけだ。

しかし、破壊的イノベーションによる急激な環境変化に直面したときには、逆にこれが仇になる。今の組織アラインメントがそのまま自走しようとするので、変わろうにも変われないのだ。自社の成功の犠牲になるといってもいい。

両利きの経営=深化+探索
Floriana/gettyimages

サクセストラップを退け長期的に成長し続けるためのアプローチが、両利きの経営だ。「両利き」とは、「深化」と「探索」の二刀流を意味する。つまり組織は、すでに成功している既存事業においては漸進的な改善やコスト削減を進める(=深化)。同時に、全く異なる新規事業を興し破壊的イノベーションを生むための努力を続ける必要がある(=探索)。両利きの経営の旗振り役を担うのは、もちろんリーダーである。

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要約公開日 2023.12.23
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