本書の要点

  • 経営のキャリアには3つの道がある。一社で上り詰めることを目指す「サラリーマン経営者」の道、自ら新しい企業を興す「起業家」の道、そして、外部から招聘されて経営幹部となる「プロ経営者・CxO」の道だ。現在、プロ経営者やCxOといった経営人材へのニーズが高まっている。

  • プロ経営者・CxOになる人が共通して経験しているのは「厳しい環境でチャレンジすること」である。経営人材を志す人にとっては、転職市場に身を置き、自分の「市場価値」を知ることも重要となる。

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プロ経営者・CxOが求められている

「社長になる」ための第三の道とは

かつての日本企業では、「サラリーマン経営者」が一般的であった。新卒で入社した会社で出世を続け、課長や部長を経て役員になり、社長へと上り詰めるというものだ。終身雇用が約束され、一社で勤め上げることを前提としていた時代では、出世競争を勝ち抜き「叩き上げ人材」として経営者になるのが王道ルートだった。

また、自ら事業を興し「起業家」として経営に携わる人もいる。近年では、会社員を経ずに起業に挑戦する人も増えてきた。

そして、サラリーマン経営者でも起業家でもない第3のルートが、過去の経験を買われて、外部から招かれて経営者になるというものである。このような、外部から招聘されて経営に携わる人を「プロ経営者」と呼ぶ。近年では、経営のトップだけでなく、マーケティング、財務、情報システム、人事などの各機能の責任者として「CxO」を任命されるケースも一般的になってきた。

世の中では経営人材が切に求められている。本書の目的は、「社長になりたい」「経営人材としてトップから組織や社会を変えていきたい」と考える人に、プロ経営者・CxOという第3のルートを示し、経営のキャリアのスタートラインに立ってもらうことである。

日本企業の苦境を救うプロ経営者・CxO

wildpixel/gettyimages

外部の人材をCxOとして起用するやり方は、アメリカでは昔から行われていた。日本でプロ経営者やCxOの起用が始まったのは、2000年代頃からだ。1990年代以降、バブルが崩壊して日本企業が苦境に立たされる中、企業変革を図る大企業が欧米型のマネジメントシステムを導入し始めた。特に外資系企業においては外部から経営人材を招聘することが一般的になっていったのだ。

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要約公開日 2023.12.10
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