本書の目標は、2024年から始まる新NISAを活用して、老後資金1億円を作ることだ。新NISAでやるべきことを端的に言えば、生涯非課税投資枠1800万円をできるだけ早く埋めること。そして、老後もできるだけ長く運用を続けてお金を増やすことだ。
新NISAで生涯にわたって非課税投資できる金額(非課税保有限度額)の上限は1800万円に引き上げられた。元手1800万円までは、投資でいくら利益が出ても税金がかからない。できるだけ早く上限いっぱいまで投資して、長く複利運用を続ければ、総額1億円以上のお金を生み出すことはけっして難しくない。
たとえば、毎月30万円(年間360万円)を投資すると、最短5年で非課税投資枠を使い切ることができる。年間運用利回りが5%だった場合、5年後の運用資産は約2011万円になる計算だ。追加投資を一切しなくても、60歳の時点で約6810万円に増えている。この6810万円を60歳から100歳まで5%で運用を続けながら、100歳でちょうどゼロ付近になるよう取り崩すと、月々32.8万円、年間393万円、41年間で1億614万円を受け取ることができる。
30歳から59歳までの30年間で、毎月5万円をつみたてて1800万円の枠を埋めた場合は、59歳時点の運用資産は3998万円。60歳から100歳まで5%運用を続けながら取り崩すと、月々19.2万円、年間231万円を受け取ることができる。41年間の受け取り総額は9475万円。1億円近いお金を新NISA口座から非課税で引き出すことができるのだ。
過去30年、何度も暴落や金融危機を経験しながらも、米国株価指数S&P500の平均リターンは約10%、全世界株式に連動する株価指数(全世界株式)の年平均リターンは約7%である。こう見ると、先ほどの例にある毎年5%の運用利回りは非現実的な数字ではないことがわかる。
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