ニュートン超図解新書

最強に面白い 睡眠

未読
最強に面白い 睡眠
ニュートン超図解新書
最強に面白い 睡眠
未読
最強に面白い 睡眠
出版社
ニュートンプレス

出版社ページへ

出版日
2023年09月05日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
要約全文を読むには会員登録ログインが必要です
ログイン
本の購入はこちら
書籍情報を見る
本の購入はこちら
おすすめポイント

本書は睡眠にまつわるあれこれを科学的に解説したものだ。ニュートンはニュートンプレスから発行されている科学雑誌で、40年以上の歴史を持っている。分野別に情報を絞って解説しているのがニュートン別冊。この超図解新書シリーズは別冊よりもわかりやすく書かれていて、さらに短時間で読むことができるのが魅力だ。本書は睡眠について、エビデンスがあって、なおかつわかりやすい情報がほしい、という人にはもってこいの書籍である。

睡眠は私たちの生活に直結するテーマだ。特別な事情がないかぎり人は毎日睡眠をとるし、それゆえに睡眠が与える健康への影響にも社会の関心は高い。けれども、脳や生理現象の知識がある人はほんの一握りだろう。睡眠は身近で関心の高いテーマであるにもかかわらず、詳しく知る機会が少ないという特殊な領域でもある。

本書は睡眠にかんして人々が抱くであろう疑問のほとんどに答えるような内容になっている。睡眠の基本的な原理や快適な睡眠をとる方法、睡眠にまつわる健康の問題、そして他の動物の睡眠などについても詳しく説明されている。冬眠によってシマリスは若返っている可能性がある、昆虫にも睡眠がある、などのトピックスは普段気にすることもないけれども、少なからず好奇心をくすぐられるものだ。ただ我々の疑問に答えるだけでなく、新しい興味を引き出す本書は、まさに科学雑誌を発行しているニュートンの魅力がぞんぶん発揮されているといえるだろう。

著者

柳沢正史(やなぎさわ まさし)
筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(IIIS)機構長・教授。医学博士。1960年、東京都生まれ。筑波大学大学院医学研究科博士課程修了。主な研究テーマは、睡眠・覚醒機構の解明と医薬への応用。紫綬褒章(2016年)、朝日賞(2018年),慶應医学賞(2018年)、文化功労者(2019年)、ブレークスルー賞(2023年)など受賞多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    睡眠不足が慢性化すると睡眠負債とよばれる状態になる。睡眠負債は日常のパフォーマンスを下げるだけではなく、さまざまな健康問題を引き起こす。
  • 要点
    2
    睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠のサイクルを繰り返す。ノンレム睡眠は3つのステージにわかれているが、そのなかのステージ3がもっとも深い眠りといわれている。
  • 要点
    3
    睡眠のしくみはツープロセスモデルという仮説によって説明されてきた。ひとつめのプロセスは睡眠圧。ふたつめのプロセスは体内時計である。どちらも科学的な知見から少しずつ解明が進んでいる。

要約

睡眠と健康

睡眠負債とは
fizkes/gettyimages

「睡眠負債」とはなんだろうか。これはただの睡眠不足を意味する言葉ではない。睡眠不足が何日も続き、数日から数週間の単位でそれが慢性化した状態が睡眠負債だ。睡眠負債はさまざまな健康リスクにつながる。しかも、2~3日たっぷり眠っただけでは解消されない。また、あらかじめ寝だめしておいても、その後の睡眠負債の予防になることもない。

そもそも、1日に必要な睡眠時間はいったいどれくらいなのだろうか。一般的には7時間程度眠れば睡眠時間を確保できるとされるが、あくまでもそれは目安であり、個人差がある。自分に必要な睡眠時間はいったいどれくらいなのか。それを知るために有効なのが「睡眠日誌」である。

まずは2週間分の睡眠を日誌に記録する。そして休日と平日の睡眠時間を比較する。休日に平日よりも2時間以上多く眠っているのであれば、それは睡眠負債が溜まっている状態といえる。逆に平日と休日の睡眠時間に差が見られなければ、それが自分にとって必要な睡眠時間だと考えられる。

前述のとおり、休日に睡眠時間を増やしても睡眠負債が解消できるわけではない。1日10時間、明るいところで生活をし、残りの14時間を暗い部屋で横になるという実験では、被験者は実験初日には平均12時間と長く眠り、3週間後には8時間15分に落ち着いた。この8時間15分が本来被験者に必要とされる睡眠時間だと考えられる。もとの平均睡眠時間は7時間36分だったことを考えると、40分の睡眠負債を返すのに3週間かかったことになる。週末に寝だめをしたくらいでは、睡眠負債は解消されないのだ。

眠らないとどうなるか

人は眠らないといつかは死ぬ。ラットを使った実験では2~4週間睡眠を奪われるとすべての個体が死んだ。人間の場合は、サンディエゴの高校生ランディ・ガードナーが1964年に行った実験が有名だ。ランディの断眠は11日間と世界記録を達成したが、その間に幻覚や記憶の欠落、さらに指や眼球のふるえなどの著しい不調に陥った。幸いランディに後遺症が残ることはなかったが、長期の断眠が脳に障害を与えた例もあり、こうした行為は非常に危険である。眠らないことで脳には様々な不具合が発生する。睡眠の役割の一つは、脳の疲労回復だといえる。

もっと見る
この続きを見るには...
残り3688/4623文字
会員登録(7日間無料)

3,400冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2024.02.15
Copyright © 2024 Flier Inc. All rights reserved.
一緒に読まれている要約
なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学
なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学
和田秀樹
未読
デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか
デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか
針貝有佳
未読
どこへ行っても「顔見知り」ができる人、できない人
どこへ行っても「顔見知り」ができる人、できない人
有川真由美
未読
きみのお金は誰のため
きみのお金は誰のため
田内学
未読
精神科医が教える 幸せの授業
精神科医が教える 幸せの授業
樺沢紫苑
未読
歩くとなぜいいか?
歩くとなぜいいか?
大島清
未読
まいにちメンタル危機の処方箋
まいにちメンタル危機の処方箋
内田舞
未読
無くせる会社のムダ作業100個まとめてみた
無くせる会社のムダ作業100個まとめてみた
元山文菜
未読
法人導入をお考えのお客様