SHO-TIME2.0

大谷翔平 世界一への挑戦
未読
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大谷翔平 世界一への挑戦
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SHO-TIME2.0
ジャンル
出版社
出版日
2024年03月01日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

本書を執筆したのはジェフ・フレッチャー、アメリカのスポーツ記者だ。日本のテレビ番組にも出ているので、知っている人も多いかもしれない。

日本では言わずと知れた大谷翔平の活躍を記したのが本書である。2.0とあるように、2022年刊行の『SHO-TIME』の続編となる。広く知られているように2022年と2023年の2年間、大谷翔平は目覚ましい活躍を見せた。WBCで優勝をしたのは2023年。オフシーズンには凄まじい金額を提示されてドジャースに移籍したことも記憶に新しい。

少しでも野球に関心のある人なら、当然それらの出来事を知っているだろう。しかし、それでも本書の内容は新鮮だと断言できる。それは、著者がアメリカやエンゼルスの事情についてとても詳しいからだ。

大谷翔平とチームメイトであり、なおかつWBCで対決したマイク・トラウトの物語は非常に読みごたえがある。さらに、エンゼルスの事情や、FAに伴う本場アメリカの空気感を本書は詳細に伝えている。ベーブ・ルースと比べられる大谷翔平は、日本だけでなくメジャーリーグをも揺るがす大スターとなった。当然その影響も計り知れない。多くの人から関心を集めているからこそ、それだけ多くの視点がある。本書はワイドショーやネットニュースとは異なる視点で、大谷の濃密な2年間を綴っている。

大谷翔平の足跡や、その周囲の人が何を思ったのか、それを知りたい人は著者とともに大谷翔平の2年間を、振り返ってみてはいかがだろうか。

著者

ジェフ・フレッチャー(Jeff Fletcher)
1969年生まれ。カリフォルニア州ロサンゼルス在住。エンゼルス番として12年目を迎えたオレンジ・カウンティ・レジスター紙の記者。メジャー取材歴26年で、米野球殿堂入りを決める投票資格も持つ。2013年よりエンゼルスを担当し、大谷の取材に関してはMLBルーキーイヤーから6年間にわたって密着取材。日数に換算すれば、実に2200日となる。アメリカでもっとも大谷選手を取材している記者として、何度も日本のテレビ番組に出演。日本語版のXのフォロワー数は3.7万人。YouTube チャンネル「Sho-Time Talk」の登録者数も1.45万人。2015年からはアメリカ野球作家協会のロサンゼルス支部長を務めている。

本書の要点

  • 要点
    1
    マイク・トラウトは歴代のスター選手に引けをとらない逸材だ。そんなトラウトはエンゼルスでともにプレーしたいと、大谷翔平の入団を熱望する。
  • 要点
    2
    大谷翔平のWBC出場を、エンゼルスも快く承諾した。そして大谷翔平のいる侍ジャパンは順調に勝ち進み、マイク・トラウト率いるアメリカと決勝の舞台で激突する。
  • 要点
    3
    大谷翔平をチームに引き留めるには、年俸だけでなく勝つことも重要だった。大谷翔平は勝てるチームを求めてドジャースへ移籍する。そして、スポーツ界を揺るがす金額がドジャースから提示された。

要約

もう一つの物語

東海岸の天才

「これは大事なことなんだよ。僕自身、初出場の機会を逃しているから、今回は逃すわけにはいかないと思うんだ」。WBC(ワールドベースボールクラシック)の出場についてこう語ったのはマイク・トラウト。エンゼルスを代表する、偉大な野球選手である。

父親のジェフ・トラウトはアメリカ東海岸、デラウェア州立大学で二塁手をしていた。決して恵まれた体格とは言えないが、1983年ドラフト5巡目でミネソタ・ツインズに指名される。しかしメジャー昇格の壁は厚く、夢を諦め教師となる。

彼のチームメイトにはグレッグ・モーハートがいた。モーハートもまた、メジャーに昇格することはなかったが、ジェフとは違い、球界に残ってスカウトとして働き続けた。そして2008年、エンゼルスのスカウトとして活動していたころ、ニュージャージー州にいたある若手外野手の噂を耳にした。

「トラウト」という珍しい名前に、モーハートはかつてのチームメイトの親戚か何かだろうかと考えた。親戚どころか、ジェフの息子、マイク・トラウトだったのである。

モーハートはマイク・トラウトの素質に驚いた。俊敏さと強靭さを兼ね備えた圧倒的な才能。それはかつてマイナー時代に対決した、メジャーを代表するスターたちを彷彿とさせるものだった。

トラウト旋風
Dmytro Aksonov/gettyimages

その才能に惚れ込んだモーハートは、すぐさまエンゼルスにもトラウトのことを話した。エンゼルスはこの輝かしい未来が約束された若者に、他のチームが注目していないことを喜んだ。エンゼルスは見事、マイク・トラウトの指名に成功。一方、この男を見逃した21球団は、すぐに後悔することとなる。

トラウトは20歳になる直前にメジャー昇格を果たし、苦戦した最初のシーズンを除いて、破竹の勢いで旋風を巻き起こした。凄まじい打棒で本塁打を重ねるばかりでなく、持ち前の快足を生かして盗塁も増やしていく。メジャーリーグ史上、新人選手が30の本塁打と40盗塁を同時に達成したのは初めてだった。

その後もトラウトは活躍を続け、その名が球史に残るのは確実と思われた。しかし、彼の人生にはあるものが欠けていた。エンゼルスは地区優勝すら果たせずにシーズンを終えることが常態化していたのだ。トラウトは偉大な実績を残しながら、野球界の外では無名のままだったのである。

それでもトラウトはエンゼルスの未来が明るいと信じていた。このチームで優勝したい。そんな願いをずっと持っていたのだ。そんなトラウトがエンゼルスでともにプレーしたいと考えていた人物がいた。

それが大谷翔平である。

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要約公開日 2024.05.11
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