著者は2017年にバスケットボール女子日本代表のヘッドコーチに就任し、2021年には東京オリンピックで銀メダルを獲得。同年、男子日本代表のヘッドコーチとなり、2023年のワールドカップでパリオリンピックの出場権獲得へと導いた。
チームづくりにおいて、そんな著者が最も大切にしているのは目標の設定だ。目標がなければ人は成長できないと考えている。
東京オリンピックで女子日本代表が銀メダルを獲得したことは、すばらしい成果だと思われるだろう。だが、チームの目標はあくまで金メダル獲得だったため、決勝戦が終わった後の著者は失望の念が強かった。
ただ、少し時間が経つと、選手たちが晴れ晴れとした表情をしているのに気がついた。チームとして戦い、周囲から「無理だ」と思われていた金メダルという目標に近づくことができたからだ。
目標は、すぐに達成できてしまうような低い、簡単なものではダメだ。高い目標こそが人を成長させるのである。
高い目標を掲げるといっても、コーチが選手たちに一方的に押しつけているだけではいけない。選手一人ひとりが自分の強みや哲学を心から信じ、目標達成に向けて本気で取り組むことが重要だ。
著者は代表チームの選手一人ひとりにこう問いかける。「私たちにはこういう高い目標があり、そこへ向けてこういう戦い方をしていく。あなたはそれを心から信じてやり抜いてくれますか?」
こう問いかければ選手たちはうなずいてくれるが、それだけではダメだ。全員が「信じています」と声に出してはじめて、同じ船に乗って共通の目標へ向かうことができる。
最高の選手が集まっても、最高のチームができあがるとは限らない。最高の選手たちが自分たちのやっていることを心から信じてこそ、最高のチームになるのだ。
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