「おとなしい人」の完全成功マニュアル
「おとなしい人」の完全成功マニュアル
内向型の強みを活かして人生を切り拓く方法
著者
「おとなしい人」の完全成功マニュアル
著者
出版社
ダイヤモンド社

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出版日
2024年06月11日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

「あかるく・たのしく・すこやかに」といった標語を学校などでよく見かける。小学校に入ると、たくさんのクラスメートがいる。そんな場で次第に「自分はおとなしい性格なんだ」と気づかされる。

自分なりにあかるく、たのしく過ごしているつもりでも、周りからはそう見られない。そうして会話に抵抗感をもつようになると、ますます口を閉じてしまう。しまいには元気がなさそうとまで思われ、自分もそういう性格だと感じはじめる。

内向的な性格は、「日陰もの」だ。自分のことを人見知りだと思っている人は多い。控えめな性格をよしとする日本の風土も影響しているのだろう。

そうした社会で、卑下するかたちで内向的だからと考えている人は、ぜひ本書をお読みいただきたい。内向的な人は人見知りとイコールではない。一人での仕事を好む内向型はリーダーシップへの苦手意識を強くもちがちだが、とあるしくみを使えばうまくいく。

「おとなしい性格」は成功への近道である場合もある。それを知れば、嫌いだった自分の性格を見直せるはずだ。おとなしい人たちが自分に自信をもち、その性格を活かしていけば、マイナス思考に陥りがちな部分をシフトさせながら、人生を切り拓いていくことができる。

「おとなしさ」が小学校の標語として採用されることはないだろうが、おとなしさはけっして悪いものではない。

ライター画像
Keisuke Yasuda

著者

西剛志(にし たけゆき)
脳科学者。1975年、宮崎県高千穂生まれ。東京工業大学大学院生命情報専攻修了。博士号を取得後、特許庁を経て、2008年にうまくいく人とそうでない人の違いを研究する会社を設立。世界的に成功している人たちの脳科学的なノウハウや、才能を引き出す方法を紹介し、企業から教育者、高齢者、主婦などを含めてこれまで2万人以上に講演会を行う。「ザ!世界仰天ニュース」「モーニングショー」「カズレーザーと学ぶ。」などテレビ出演も多数。2019年、『脳科学的に正しい 一流の子育てQ&A』(ダイヤモンド社)で著者デビュー。『80歳でも脳が老化しない人がやっていること』(アスコム)が20万部のベストセラーに。

本書の要点

  • 要点
    1
    性格とは、ある状況で何度も繰り返される思考パターンを指す。
  • 要点
    2
    人見知りとは、内向性が高いだけでなく、神経症傾向と協調性も高いことをいう。対人関係の悩みを生み出すのは内向性ではなく、神経症傾向のほうだ。
  • 要点
    3
    内気な人は弱い、静かな人は意見がない、おとなしい人は仕事ができないというのは内向型にまつわる非常識だ。
  • 要点
    4
    新しい体験を通して一度学習した性格をリセットする「消去学習」には、「人を変える」「環境を変える」「行動をシフトする」という3つの方法がある。

要約

おとなしいから優秀な人

性格は成功のための要素

「才能のある人」と「性格がいい人」で、長期的に見て成功する確率が高いのは「性格がいい人」だ。

性格が人生の成功に大きな影響を与えていることは、数々のリサーチからわかっている。これまでは「頭がいい人ほど優秀であり、出世しやすい」と考えられてきた。しかし、IQ(知能指数)と比べて性格は約2.5倍、収入に影響を与えるという研究結果がある。メンタルヘルスの面でもその差は歴然だ。頭のよさも才能も大切だが、「『性格』でも勝負できる」のである。

おとなしい性格も成功の要素に数えられつつある。「おとなしい」「内向的」という言葉には否定的な印象を受けがちだが、内向的な性格にも長所は多い。本書は、最新の脳科学研究を背景として、「おとなしさの真実」と「性格をリセットして成長する方法」をまとめている。

パーソナリティ研究の父であるハーバード大学の心理学者ゴードン・オールポートは、「性格とはある状況で何度も繰り返される思考パターン」と定義している。性格は固定的なものではなく、科学的な方法でシフトできるのだ。

優秀なセールスとトップアスリート
SARINYAPINNGAM/gettyimages

内向性と外向性はよく対比され、内向型はあまり明るくない性格だと思われている。外向型は優れたコミュニケーターであり、リーダーとして頭角を現しやすいことを示す研究もある。

かと言って、内向型が営業の世界で圧倒的に不利だというわけではない。コールセンターの販売員を外向型、内向型、その両方をあわせ持つ両向型の3つのグループに分け、どの性格が高い営業成績を上げているのか分析したペンシルバニア大学の研究では、内向型は外向型よりも約10%高く売り上げていた。最も成績の良かった両向型は、外向型と比べて約32%も高い結果であった。

外向性の高い人は、人が好きでエネルギーにあふれ、話がうまいとされるが、その積極的な姿勢にかえって顧客が引いてしまうこともあるという。自分の視点で物事を捉えがちなのも特徴だ。一方、内向性が高い人は控えめで相手の話をよく聞くため、顧客の信頼度が上がる。両方の性質を持つ両向型は、相手が必要とする情報を積極的に与えつつ、相手の話もしっかり聞ける。

スポーツの世界でも、トップアスリートのおよそ9割は内向型というリサーチ結果がある。スポーツは自己管理や自分自身の心との闘いが必要になる。改善点と忍耐強く向き合える内向的な性格が、一流を形成しているのかもしれない。

内向型と人見知りの違い

「私は内向的で人見知り」という言葉をよく耳にする。人見知りとは一般に、人前で緊張しやすく、対人関係や仕事に支障をきたすことがあり、自分の考えで頭がいっぱいになりがちな傾向を指す。しかし、内向的な人が必ず人見知りになるわけではない。

人見知りとは、「3つの性格が同時に存在したときに初めて生まれる『性格』である」ことは研究で示されている。すなわち、内向性に加えて、マイナス面を気にしてしまう「神経症傾向」が高く、人に合わせがちな「協調性」も高い人たちだ。

人格心理学のジョナサン・チーク教授は内向型を「社交系」「思考系」「不安系」「抑制系」の4つに分類している。明るい「社交系内向型」は、集団行動はするが基本的に一人でいることが好きで、気のおけない少人数での行動を好む。自分の好きなことを話すときは楽しそうなのは「思考系内向型」で、1つのことを突き詰めるタイプなので研究者や職人気質な人に多い。神経質な「不安系内向型」は慣れない状況で不安を感じやすいタイプで、自意識が強く、人見知り傾向があり、いわゆる「繊細さん」も多い。怖がりだがマイペースな「抑制系内向型」は、じっくり計画を立て、時間をかけて考えをまとめてから行動する、協調性の低いタイプだ。

内向型だから暗いのではなく、神経症傾向があるから対人関係での悩みが生まれるのである。この神経症傾向は環境の影響も大きいため、その程度を後天的に抑えることが可能だ。

おとなしい人の秘めたる力

内向型の非常識
Georgii Boronin/gettyimages

内向的な性格を直したいと考える人は多いが、本書には「内向型にまつわる4つの非常識」が書かれている。ここでは3つ紹介しよう。

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要約公開日 2024.09.11
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