ずるい聞き方
ずるい聞き方
距離を一気に縮める109のコツ
ずるい聞き方
出版社
朝日新聞出版

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出版日
2024年06月30日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

会話中、言うつもりはなかったのに「つい話してしまった!」ということはないだろうか。話が盛り上がって「つい」「ポロっと」口から出てしまった、あのネタこのネタ。その会話の相手は、間違いなく「聞き上手」である。

本書の著者・山田千穂さんは、そんな「聞き上手」のお手本のような人である。渋谷109の販売員から週刊誌の記者に転身した異色のキャリアの持ち主で、109時代は1日500万円を売り上げたこともあるという。記者時代はのべ3000人以上に取材し、数々のスクープを取り上げてきた。

販売員と記者。両者は異なる職種だが、成果を上げるためには「相手の心を開く」必要があるという点で共通している。本書では著者が培ってきた「この人なら話してもいい」「この人から商品を買いたい」と思わせるテクニックが、109のコツとして紹介されている。

要約者が真似したいと思ったのは、相手の小さな変化に気づいてそれをすぐに伝えるというものだ。髪型が変わった、ファッションがいつもと違う、体調が悪そう、怪我をしている……など、ポジティブな変化もネガティブな変化も、気づいたら相手にすぐ伝える。どんなことでも、自分に興味を持ってくれるのは嬉しいものだ。そんな小さな行動が、相手の心を開くきっかけとなるのだろう。

本書のテクニックは、ビジネスシーンで使えるものも多い。とくに、顧客の本音を引き出したい営業職や販売職、部下との1оn1に悩むマネジャー層は、役立つものが必ず見つかるはずだ。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

山田千穂(やまだ ちほ)
記者。埼玉県川口市出身。1988年生まれ。『週刊ポスト』『女性セブン』で記者を約10年経験。芸能、事件、健康等の記事を担当。取材で、聞く力、洞察力、コミュ力を磨く。3000人以上に取材。直撃取材、潜入取材を得意とする。大学在学中は渋谷109で販売員としてアルバイトをし、お正月セール時には1日最高500万円を売り上げる。趣味は、森林浴、一人旅、バーで飲むこと。好きな食べ物は、ラーメン、甘味、納豆ごはん、そしてお酒。

本書の要点

  • 要点
    1
    初対面の人から本音を聞き出したいときは、会話の糸口を3つ以上用意しよう。
  • 要点
    2
    話題を振っていないのに相手から質問されたら、それは「自分にも同じことを聞いてほしい」という合図である。
  • 要点
    3
    会話の中で決め事が生じたときは、相手に決定権を渡すとメリットを感じてもらいやすい。
  • 要点
    4
    不快な思いをさせずに踏み込んだことを聞きたいときは、「間接質問」をするといい。
  • 要点
    5
    「なぜ」という言葉には圧迫感がある。「どうしたら〜ですか?」と言いかえて聞くようにしよう。

要約

【必読ポイント!】相手がつい本音を話してしまう聞き方

会話の糸口を3つ用意する

人の本音を聞き出すのは難しい。初対面の人はなおさらで、当たり障りのない会話で終わってしまうことが大半だ。

それでも、「本当のところ」を聞きたい相手に会うときにはコツがある。それは、会話の糸口となる話題を3つ以上用意することだ。

たとえば、事前に相手の情報をチェックして、自分と相手との共通点を探すのだ。方法としては、相手の会社のウェブサイトのスタッフ紹介ページを見る、SNSを検索する、共通の知人がいれば差し障りのない程度にその人のことを聞いてみる……などである。

事前情報が得られないなら、会ったときに「好き」なことを共通項として話題にするといい。たとえば、相手の身につけているものをいいと思ったら「その色、私も好きなんです。素敵ですね」と言ってみる。そのほかにも、コスメ好きなら美容やコスメの話、好きな映画や最近読んだ本の話など、お互いの共通項を見つけてそれを話題にしてみよう。

相手との共通項が3つ以上あると話が盛り上がり、親近感が高まる。それから聞きたいことを聞くと、案外ポロッと本音を漏らしてくれるものである。

相手の小さな変化を伝える
kali9/gettyimages

髪型が変わる、いつもと洋服の雰囲気が違う……など、相手の小さな変化に気づいたら、言葉にして伝えよう。気になった変化を伝えることは「あなたに興味関心がある」という意思表示でもあるからだ。

著者が渋谷109のショップで働いていた頃、お客さまとの会話で「いつもと違う雰囲気のワンピースですね。どこかへ行かれるんですか?」「実はこれからデートなんです」というようなやりとりが、よくあったという。

また、体調が悪そう、怪我をしているなど、「悪い変化」も見て見ぬふりをしてはいけない。上司が松葉杖をついていたら「足、どうされたんですか?大丈夫ですか?」と聞くだろう。しかし大事な商談の場など、ほかに優先させたいことがあるときはそれをスルーして、すぐに本題に入ってしまうことはないだろうか。

そんなときこそ、あえて「気遣いのひとこと」をかけてほしい。誰もが気になっているだろうし、その人も周りを気遣って言わないだけかもしれない。「自分はいいから本題に入って」と言う人には、「わかりました。もし休憩が必要ならおっしゃってください」とだけ伝えて、本題に入ればいいのである。

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要約公開日 2024.09.19
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