うまくいかない人間関係逆転の法則

しんどい・つらいがひっくりかえる!
未読
うまくいかない人間関係逆転の法則
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うまくいかない人間関係逆転の法則
出版社
出版日
2024年06月30日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

人間関係は多くの人にとって悩みの種だ。仕事そのものは楽しいのに、同僚との関係がうまくいっていないために通勤の足が重い。やっかいな人にばかり好かれてしまう。そうした状況を経験した人も多いだろう。

人は生きていると多くの困難にぶつかる。人間関係もそうだし、病気だってそうだ。困難に直面し、つい心が折れてしまいそうになる。このとき、人は「どろどろトライアングル」という心理状況に陥っている。そう指摘するのが認定ポジティブ心理学を修めた著者である。

著者はカウンセリングと心理学の講義を長年行ってきた実績と、がんを乗り越えた自身の経験を踏まえた上で、人間関係の問題に対処するメソッドを独自性あふれるキーワードとともに説明してくれる。タイトルにある「逆転の法則」という言葉の通り、考え方や価値観を変えることで、それまで辛かった現実が自分の理想を実現させる大きな一歩へと転換していく。それが本書でいう、「どろどろトライアングル」が「しあわせトライアングル」に変わる瞬間だ。その手法はまさに鮮やかである。

関係性に対する自らの捉え方を変えていくことで、人間関係の変化の兆しを得られると気づけるだろう。人間関係に悩んでいる人は、本書からさらなる成長へのヒントを得ていただきたい。

著者

松村亜里(まつむら あり)
医学博士・臨床心理士・認定ポジティブ心理学
プラクティショナー
ニューヨークライフバランス研究所 代表
母子家庭で育ち中卒で大検を取り、朝晩働いて貯金をして単身渡米。ニューヨーク市立大学を首席で卒業後、コロンビア大学大学院修士課程(臨床心理学)・秋田大学大学院医学系研究科博士課程(公衆衛生学)修了。
ニューヨーク市立大学、国際教養大学でカウンセリングと心理学講義を10年以上担当。2013年からはNYで始めた心理学講座が州各地に拡大。「ニューヨークライフバランス研究所(NYLB)」を設立。オンラインや世界各国のセミナーで、様々な分野へ応用する方法も指南。
オンラインサロンにも力を入れ、ポジティブ心理学を人生に活かす「Ari's Academia」およびNYLB認定者向けの「チェンジエージェントクラブ(CAC)」を主宰。ポジティブ心理学コーチ養成講座・コンサルタント養成講座は「人生が変わる」と評判。自分の人生の舵を取り、幸せな人生を創造できる人を増やすために、最新のエビデンスを毎日の生活にとり入れやすい形で提供している。
著書『誰もが幸せに成長できる心理的安全性の高め方』『世界に通用する子どもの育て方』『お母さんの自己肯定感を高める本』『子どもの自己効力感を育む本』のほか、日本初上陸となるVIA24の性格の強みの翻訳本『強みの育て方~「24の性格」診断であなたの人生を取り戻す』の監修にも携わる(すべてWAVE出版)。

本書の要点

  • 要点
    1
    人間関係は人間の悩みのなかで大部分を占める。悪い人間関係を「どろどろトライアングル」と呼ぶ。これは《犠牲者》《迫害者》《救済者》の三者によって成り立っている。
  • 要点
    2
    「どろどろトライアングル」は発想の転換で「しあわせトライアングル」にすることができる。《犠牲者》だった人は、幸せを自らつかみ取る《クリエイター》になる。すると《迫害者》は《チャレンジャー》に、《救済者》は《コーチ》になり、お互いを成長させる関係へと発展していく。

要約

「どろどろトライアングル」とは

ほとんどの悩みは人間関係

人間関係がうまくいっているときは、充実した日々を送れる。しかし、人間関係が悪くなると毎日が楽しめず、暗い気持ちになってくる。心理学者アドラー博士の言葉を借りれば、「すべての悩みは対人関係の悩みである」のだ。

従来の心理学者は病んだ人たちから「何が問題なのか」を研究していた。一方、幸せな人たちを集めて「何がうまくいくか」を研究したのが、ポジティブ心理学である。2002年に行われた「幸せな人」の研究は驚くべき結果をもたらした。それは、「不幸な人」と「幸せな人」の違いは、よい人間関係があるかどうかだったのである。そして、人間関係はスキルである。つまり、学んで練習することで人間関係は改善し、「幸せな人」になれるのだ。

では、悪い人間関係とはそもそも何なのか。親子関係がギクシャクしている、上司からパワハラにあっている、ママ友と不仲である……など挙げればきりがない。これらは一見、どれも異なるシチュエーションのように思えるが、根本は同じだ。悪い人間関係とは、どの場合も《犠牲者》《迫害者》《救済者》の三者で成立している。一人ひとりが悪いのではなく、関係性が悪いのである。この悪い人間関係は「DDT(The Dreaded Drama Triangle:恐怖のドラマトライアングル)」と呼ばれているが、ここでは、わかりやすく「どろどろトライアングル」と呼ぶことにしよう。

「どろどろトライアングル」を構成するもの
Aleksei Morozov/gettyimages

どろどろトライアングルを構成する三者は次のようになる。

《犠牲者》は悲劇の主人公。変わりたくないと考え、責任転嫁や他力本願に陥りがちだ。

《迫害者》は犠牲者の問題の原因とされている。他を攻撃し、統制しようとする。

《救済者》はヒーローになりたがり、相手のことよりも問題解決を優先する。

これをプリンセスものとして有名なシンデレラの話に当てはめると、シンデレラは《犠牲者》、いじわるな継母と姉は《迫害者》、シンデレラを救ってくれる王子様が《救済者》である。継母にいじめられていたシンデレラは、あるとき王子様に救ってもらう、というストーリーだ。だが、よく考えると、王子様が現れなければシンデレラはいつまでたってもつらい環境に置かれることになる。つまり他力本願なのだ。

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要約公開日 2024.10.14
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