うまくいかない人間関係逆転の法則の表紙

うまくいかない人間関係逆転の法則

しんどい・つらいがひっくりかえる!


本書の要点

  • 人間関係は人間の悩みのなかで大部分を占める。悪い人間関係を「どろどろトライアングル」と呼ぶ。これは《犠牲者》《迫害者》《救済者》の三者によって成り立っている。

  • 「どろどろトライアングル」は発想の転換で「しあわせトライアングル」にすることができる。《犠牲者》だった人は、幸せを自らつかみ取る《クリエイター》になる。すると《迫害者》は《チャレンジャー》に、《救済者》は《コーチ》になり、お互いを成長させる関係へと発展していく。

1 / 3

「どろどろトライアングル」とは

ほとんどの悩みは人間関係

人間関係がうまくいっているときは、充実した日々を送れる。しかし、人間関係が悪くなると毎日が楽しめず、暗い気持ちになってくる。心理学者アドラー博士の言葉を借りれば、「すべての悩みは対人関係の悩みである」のだ。

従来の心理学者は病んだ人たちから「何が問題なのか」を研究していた。一方、幸せな人たちを集めて「何がうまくいくか」を研究したのが、ポジティブ心理学である。2002年に行われた「幸せな人」の研究は驚くべき結果をもたらした。それは、「不幸な人」と「幸せな人」の違いは、よい人間関係があるかどうかだったのである。そして、人間関係はスキルである。つまり、学んで練習することで人間関係は改善し、「幸せな人」になれるのだ。

では、悪い人間関係とはそもそも何なのか。親子関係がギクシャクしている、上司からパワハラにあっている、ママ友と不仲である……など挙げればきりがない。これらは一見、どれも異なるシチュエーションのように思えるが、根本は同じだ。悪い人間関係とは、どの場合も《犠牲者》《迫害者》《救済者》の三者で成立している。一人ひとりが悪いのではなく、関係性が悪いのである。この悪い人間関係は「DDT(The Dreaded Drama Triangle:恐怖のドラマトライアングル)」と呼ばれているが、ここでは、わかりやすく「どろどろトライアングル」と呼ぶことにしよう。

「どろどろトライアングル」を構成するもの

Aleksei Morozov/gettyimages

どろどろトライアングルを構成する三者は次のようになる。

《犠牲者》は悲劇の主人公。変わりたくないと考え、責任転嫁や他力本願に陥りがちだ。

《迫害者》は犠牲者の問題の原因とされている。他を攻撃し、統制しようとする。

《救済者》はヒーローになりたがり、相手のことよりも問題解決を優先する。

これをプリンセスものとして有名なシンデレラの話に当てはめると、シンデレラは《犠牲者》、いじわるな継母と姉は《迫害者》、シンデレラを救ってくれる王子様が《救済者》である。継母にいじめられていたシンデレラは、あるとき王子様に救ってもらう、というストーリーだ。だが、よく考えると、王子様が現れなければシンデレラはいつまでたってもつらい環境に置かれることになる。つまり他力本願なのだ。

もっと見る
この続きを見るには...
残り3274/4229文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2024.10.14
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

とにかく優位に立ちたがる人から自分の心を守るコツ
とにかく優位に立ちたがる人から自分の心を守るコツ
石原加受子
ネガティブな自分のゆるし方
ネガティブな自分のゆるし方
大野萌子
「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法
「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法
大嶋信頼
「考えすぎて言葉が出ない」がなくなる
「考えすぎて言葉が出ない」がなくなる
齋藤孝
東大教養学部が教える考える力の鍛え方
東大教養学部が教える考える力の鍛え方
宮澤正憲
やりたいことができる私になる自信貯金
やりたいことができる私になる自信貯金
有川真由美
私はこうして勉強にハマった
私はこうして勉強にハマった
ビリギャル本人 さやか
歪んだ幸せを求める人たち
歪んだ幸せを求める人たち
宮口幸治

同じカテゴリーの要約

壁打ちは最強の思考術である
壁打ちは最強の思考術である
伊藤羊一
しんどい世の中でどうすれば幸せになれますか?
しんどい世の中でどうすれば幸せになれますか?
橘玲樺山美夏
とりあえずやってみる技術
とりあえずやってみる技術
堀田秀吾
無料
肩書がなくても選ばれる人になる
肩書がなくても選ばれる人になる
有川真由美
子どもが本当に思っていること
子どもが本当に思っていること
精神科医さわ
忘我思考
忘我思考
伊藤東凌
ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科
ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科
堀田秀吾
ハーバードの心理学講義
ハーバードの心理学講義
ブライアン・R・リトル児島修(訳)
なぜあの人は同じミスを何度もするのか
なぜあの人は同じミスを何度もするのか
榎本博明
1つの習慣
1つの習慣
横山直宏