年利5%を実現する 投資の教科書

未 読
年利5%を実現する 投資の教科書
ジャンル
著者
伊藤武
出版社
総合法令出版
定価
1,400円 (税抜)
出版日
2015年03月07日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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年利5%を実現する 投資の教科書
年利5%を実現する 投資の教科書
著者
伊藤武
未 読
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出版社
総合法令出版
定価
1,400円 (税抜)
出版日
2015年03月07日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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レビュー

世界でも突出した少子高齢化社会の日本で、将来の社会保障資金を確保することは重要かつ困難なテーマとなっている。また、我が国の年金制度の将来性には不安感もあり、自己の資産をどう管理・運用していくかについての関心は日々高まっていると言える。特にここ数年はアベノミクスと呼ばれる政府主導の金融市場の大きな転換が起こっており、株式投資などを通じて自己資金を運用していくことが求められている。

一方、これまでの日本では金融資産を銀行に預金しておくのが当たり前だったため、いざ運用するとなっても何をどうしていいか分からないという人がほとんどだろう。また、バブル崩壊を経験した世代には投資そのものへの恐怖感も根強い。本書はそんな日本人に向けた投資の入門書であり、世界経済を45年に渡って観察してきた著者が最も安全かつ効果的と考える投資手法について紹介したものである。

日本人特有の投資への心理的な壁や、日本の金融システムの構造的課題、さらにはNISAのような国の制度の最新動向まで幅広く触れた上、長年のデータと緻密な分析によって説明される投資手法には非常に納得感がある。本書に書かれていることを参考にすることで、堅実に投資を行えるのではないかと思わされる。自分には専門知識がないと言って投資を避けるのではなく、まずは本書を手に取って銀行に眠っている資金を動かすことを検討されてみてはいかがだろうか。

山下あすみ

著者

伊藤 武
あおぞら証券顧問 アズビル株式会社取締役
1966年、甲南大学理学部卒業。ケンブリッジ大学で経済学修士号を取得。ドレクセル・バーナム・ランベール米国本社、ファースト・ボストン・コーポレーション(現クレディ・スイス)、日興ソロモン・スミス・バーニーマネージング・ディレクター、UBS投信投資顧問株式会社代表取締役社長、ジャパン・ウェルス・マネジメント証券株式会社(JWM)最高顧問を経て、2012年2月、JWMとあおぞら証券株式会社の合併により、あおぞら証券株式会社副社長兼最高執行責任者に就任。現在は顧問。日本人初のニューヨーク証券取引所スーパーバイザリー・アナリスト資格取得者。

本書の要点

  • 要点
    1
    日本は米国に比べて金融資産における株式投資の割合が少ないが、それにはいくつかの要因がある。中でも投資信託の手数料の差は大きく、日本の投資家は収益を圧迫されている。
  • 要点
    2
    著者は高い投資成果を上げるために、世界の株式市場に時価総額に応じて分散投資をすること、定額を定期的に長期に渡って投資することという2つの条件を挙げており、これらによって個人投資家でも堅実に投資をしていくことができる。
  • 要点
    3
    うまく活用することで高い収益を上げる可能性がある注目トピックとして、ETF、NISA、金を解説している。

要約

日本の投資環境

日本には投資が根づいていない

日本銀行のデータによると、日本人の金融資産の割合は現預金が半分以上を占め、株式や投資信託などの合計は十数%である。一方、米国の数字は証券投資が半分を超え、現預金は十数%とちょうど日本とは対照的な結果となっている。これには日本人の投資マインドと日本経済の構造という2つの原因があった。

日本人は物作りやおもてなしなどから対価を得て成功することはよしとしてきたが、投資によってお金でお金を稼ぐことはギャンブルのように悪いイメージが持たれてきた。また、日本経済は個人が銀行にお金を預け、銀行が企業に融資を行うことにより成長し、株式はあくまでも企業同士の持ち合いが中心という歴史があった。これらによって、日本人の個人資産は現預金中心に形成されるようになったのである。

日本の投資家の多くは損をさせられている
Fuse/Thinkstock

バブル崩壊以降の日本経済は景気が低迷し、「失われた20年」と呼ばれる低金利デフレ環境が続いた。銀行は預金の支払金利と融資の金利収入の差から利ざやを取るストックビジネスでは十分な収益を得られず、投資信託販売から販売手数料を得るというフロービジネスに頼るようになった。これにより、日本の投資信託の販売手数料は非常に高く設定され、投資信託の運用収益を悪化させている。現在販売されている公募投資信託の平均販売手数料は約2.8%で、平均信託報酬は約1.5%と算出されている。これは初年度の平均コストが約4.3%であることを意味し、投資信託の運用成績がそれを上回らなければ運用収益はマイナスとなる。ちなみに米国では販売手数料は概ね撤廃され、平均信託報酬も約0.75%であり、ETFでは0.2%程である。いかに日本の投資信託ビジネスの手数料が高いかが分かる。

また、一般的に投資家は自国への投資に偏りがちであるが、長引く不況により日本市場はパフォーマンスが悪く、そのことも日本の投資家の収益が伸びない理由の一つである。

【必読ポイント!】 世界市場に目を向ける

世界経済の成長を享受する
Rawpixel Ltd/iStock/Thinkstock

世界経済はリーマン・ショック以降減速しているものの、それでも実質ベースで3%の成長は保たれており、インフレを加味すれば少なくとも5%程度の名目成長が中長期的に期待されている。そのため、世界の株式市場に時価総額に応じて投資をすることができれば、そのまま放置していても経済成長と同じだけの投資収益を得ることができる。

そもそも世界の株式市場の中で日本市場の割合は時価総額でわずか7%程度であり、日本市場に集中して投資をすることは世界全体で見ると効率的であるとは言えない。世界経済が成長を続けるという前提の下では、世界に中立に投資をしてその成長を享受することが最も安全かつ最良の投資行動なのである。

株式投資は貯蓄行為である

著者は、銀行預貯金が貯蓄で株式は投資という表現をしてしまうのは、「株式投資はリスク行為で危険を伴う」という考え方があるのではないかと提唱している。しかし、株式投資が本来の貯蓄で、ゼロ金利環境下での銀行預金は資金をただ寝かせているだけにすぎないというのが事実である。貯蓄とは財貨を蓄え増やしていく行為を指す。

もしインフレが発生してしまえば預貯金は目減りしてしまうため、ゼロ金利での預貯金は貯蓄とは言えない。実際に、米国では株式や投資信託が貯蓄だと捉えられており、長期保有資産として扱われている。それは米国の投資信託の売買回転率が日本と比較してとても低水準であることからも分かる。

定期的な定額投資を長期に行う

バブル時の高値から見ると日本の株式市場は現在でもまだ大きく下落しており、世界の主要国の中で長期的に最もパフォーマンスが悪かったと言える。しかし著者は、その日本市場においても、バブル時の高値から定期的に定額投資を25年続けていたとすれば、その投資家は儲かっているという驚愕のデータを導き出した。

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