デミアン

未 読
デミアン
ジャンル
著者
ヘルマン・ヘッセ 実吉捷郎(訳)
出版社
岩波書店
定価
780円 (税抜)
出版日
2009年04月08日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.5
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デミアン
デミアン
著者
ヘルマン・ヘッセ 実吉捷郎(訳)
未 読
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出版社
岩波書店
定価
780円 (税抜)
出版日
2009年04月08日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.5
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レビュー

ノーベル文学賞作家ヘッセの代表作、『デミアン』の主人公はデミアンではない。本作はエミイル・ジンクレエルという人物が、自分の幼年期から青春時代を回想するかたちで物語られている。ジンクレエルは小さな子どものときから、ふたつの世界を意識していた。片方は、両親や姉たちの属す、明るく清らかな世界。もう片方は、酔っぱらいや犯罪者がいて、醜聞や怪談のある残酷な世界。ジンクレエルは成長とともに、ふたつの世界を行き来しながら葛藤し、神でも悪魔でもある神、アブラクサスにひかれつつも、ついに自らの中に歩むべき道を発見する。デミアンは、人とちがった何かを感じさせる謎めいた少年で、ジンクレエルの前にたびたび現れ、啓示を与える。

宗教倫理、社会倫理をも揺るがしかねない内容を含む本作は、当初、ヘッセの名を伏せ、エミイル・ジンクレエルその人の作という体裁をとって出版された。が、第一次世界大戦後、昏迷のさなかにあったドイツの青年たちに「空前の感激をもってむかえられた」という。

ヘッセの作品群のなかでも、とりわけ哲学的な色合いを帯びている『デミアン』。この傑作には、難しいことが書いてあるわけではない。ただ、とても深いことが書いてあるだけだ。『車輪の下』よりもこちらが好きという方もいらっしゃるかもしれない。本作を読み、ジンクレエルとともに思考することは、必ずやあなたに人間としての奥行きを与えてくれるだろう。とくに若い感性と強く響き合うところが多いだろうと思われるため、早めに読んでおかれることをお薦めしたい。

熊倉沙希子

著者

ヘルマン・ヘッセ
(1877~1962)
ドイツの詩人、小説家。ヒトラー政権を逃れてスイスで執筆活動をし、1923年、スイス国籍を得る。第一次大戦中より公然と戦争に反対し、平和を唱えた。人間性の内面を追究しつつ東洋思想の影響も受けた。1946年ノーベル文学賞受賞。『郷愁』『車輪の下』『デミアン』『荒野の狼』『ガラス玉演戯』など。

本書の要点

  • 要点
    1
    ノーベル文学賞作家ヘルマン・ヘッセの、前期と後期の作品群の中間に位置する代表作のひとつ。第一次世界大戦直後に出版された。この時期、戦争や、妻との離別などから精神的な危機に陥っていたヘッセは、ユング派の精神分析的な処置を受けていた。そこで得られた知識も影響し、本作では深い内的世界の追究がなされている。
  • 要点
    2
    エミイル・ジンクレエルの、デミアンとの出会い、そして自己の道の発見に至るまでの青春時代を描く。

要約

【必読ポイント!】少年ジンクレエル

ふたつの世界

10歳のジンクレエルは、町のラテン語学校へ通っていた。物語はそのころジンクレエルが抱いていた、ある感覚を語るところからはじまる。

ジンクレエルには、この世は、ふたつの世界がいりまじっているように感じられていた。片方は「明るい世界」。父母の愛情と厳格さ、平和や暖かさがそこにあった。もうひとつは女中や丁稚、犯罪者や酔っ払いがいる、怪談や醜聞が渦巻く「暗い世界」だった。ジンクレエルは、明るい世界に属していることを快く思いながらも、悪党たちのストーリーに惹かれ、清らかなこと、正しいことを味気ないと感じることもあった。

フランツ・クロオマア
Sevulya/iStock/Thinkstock

ある日ジンクレエルは、少年たちと、彼らの恐れる乱暴者のフランツ・クロオマアと連れ立って遊んでいた。少年たちが武勇伝や、いたずらの自慢話をはじめると、のけ者にされたくなかったジンクレエルは、思わず作り話をしてしまう。仲間といっしょに、角の水車小屋から最上級のりんごを一袋ぶんもぬすんだ、という嘘をこしらえたのだ。そして、本当の話なのかというクロオマアの念押しに、どこからどこまでも本当だと断言してしまう。

帰り道、クロオマアがジンクレエルの後をついてきた。にたりと残忍な笑みを浮かべたクロオマアは、水車小屋のわきの果樹園の主人がりんご泥棒を探していて、見つけたやつには二マルクをくれることになっている、とジンクレエルを脅した。

ジンクレエルは、自分の貯金箱をこわし、女中がしまい忘れた買物かごの中から小銭をぬすみ、クロオマアへ金を渡すが、それでもまだ足りない。クロオマアは何度も金の催促をしてくる。ジンクレエルは苦悩のあまり、病気のようになってしまう。

新入生とカインの話
Peter Ginter/Photodisc/Thinkstock

この出来事の少し前、ラテン語学校に新入生がやってきた。彼は大人びていて、才気煥発できっぱりとした態度をしていた。特別の雰囲気を持ち、個性的なしるしがついていたが、しかし、「変装した王子のよう」に、目立たないように苦心している様子が見えた。彼の名はマックス・デミアンといった。

デミアンは、あるとき帰り道でジンクレエルに話しかけてきた。その会話の中で、デミアンは授業で習ったカイン(旧約聖書『創世記』に登場する人物。弟のアベルを嫉妬から殺す)の話をする。弟をなぐり殺したカインは追放されるが、神に刻印された額のしるしによって、誰にも殺されることはなくなった。デミアンは、はじめにカインが才知と勇気の「しるし」を持っていて、そのためにみんなは気味悪がり、後から伝説をくっつけたのではないかという。

ジンクレエルはその解釈に驚き、思案せずにはいられなかった。デミアン自身がカインなのではないのか。

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リベラルアーツ
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