歴史

未 読
歴史
ジャンル
著者
ヘロドトス 松平千秋(訳)
出版社
岩波書店
定価
1,100円 (税抜)
出版日
2007年04月05日
評点
総合
4.5
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
5.0
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著者
ヘロドトス 松平千秋(訳)
未 読
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ジャンル
出版社
岩波書店
定価
1,100円 (税抜)
出版日
2007年04月05日
評点
総合
4.5
明瞭性
4.0
革新性
4.5
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レビュー

本書は歴史の父と呼ばれるヘロドトスの作であり、世界最古の歴史書の一つと言われている。誰もが耳にしたことはありながら、文庫で全3巻、本文が約1200ページと大部なものでもあり、実際に読破した人はそう多くないであろう。しかし、この大作は今読んでいる本がどんなものであれ、それを中断してでも読む価値がある。

まず、この本は歴史書ではあるが、歴史小説好きにもたまらない魅力がある。随所に挟みこまれる、きらめくようなエピソードは、小説として作られた物語の想像の枠をはるかに超えて私たちの感性を刺激する。ヘロドトスが後世になって、作り話ばかりを盛り込んでいると批判されたのは、あまりにもそれらのエピソードが面白かったからという面もあるに違いない。

そして、これほどまでに生きた教養を身につけられる本は他にそうはない。本書の題材である、紀元前5世紀の「ペルシア戦争」といっても、教科書などでのごくわずかな記述を読んだとしても、無味乾燥な知識になるのが関の山だ。しかし、本書の記述はその出来事の背景、人物たちの考え、各地の風習を生き生きと伝えてくれる。それらは現在の学問的基準からみれば、素朴で物語的に過ぎるのかもしれないが、信じがたいほどの広範囲を旅してさまざまな情報を渉猟し、それらをまとめあげた本書の価値は揺らがない。

古典の代表格でしかも大作であるこの本は、一方で驚くほど読みやすく、読み手をひきつける魅力に満ちている。これを読まないことは人生における一つの損失であるとも言えるほどである。ぜひ挑戦してみてほしい。

金松豊

著者

ヘロドトス
ローマのキケロが「歴史の父」と呼んだことはあまりに有名だが、生年や没年など詳しいことは分かっていない。『歴史』に書かれている内容などから紀元前484年頃に生まれ、430年を過ぎた頃に没したと考えられている。ペルシア戦争後に世界を旅し、『歴史』を書き上げた。

本書の要点

  • 要点
    1
    ハリカルナッソス(小アジア南部カリア地方にあった、古代ギリシアの都市)出身のヘロドトスが著した、世界で最も古い歴史書の一つ。
  • 要点
    2
    ペルシアが属国の地位からいかにして強大な帝国へと変貌をとげたか、そしてなぜギリシアとの間で戦争が起こったのかを中心に、各地の歴史や風土を紐解く魅力的なエピソードをまじえながら語られている。
  • 要点
    3
    キュロス2世、カンビュセス、ダレイオス、クセルクセスといった歴史上の大人物たちの躍動が描かれる。

要約

最初の異邦人、クロイソス

リュディア王国の絶頂
Sharlotta/iStock/Thinkstock

『歴史』が描き出すのは、ペルシアがいかにして強大な大国となりギリシアの各都市国家と戦争を繰り広げるにいたったかである。その長大な記録の最初に置かれるのは、後にペルシアに屈することになる王国、リュディアに関する記述である。

現在のトルコがあるアナトリア半島に位置したリュディア王国は紀元前6世紀の中頃、クロイソス王の時代に最盛期を迎える。ヘロドトスは、このクロイソスを「ギリシア人をあるいは征服して朝貢を強い、あるいはこれと友好関係を結んだ、最初の異邦人であった」と述べている。クロイソスは周辺の都市を大小さまざまな理由をつけては攻撃し、エーゲ海周辺のギリシア都市は次々に征服されていった。そこから贈られる貢物もその量を増していき、その勢力は大きくなる一方であった。ギリシア人だけでなく周辺の民族も続々と支配下に入り、リュディア王国は栄華を極めていた。

王クロイソスと賢人ソロン

まさに絶頂にあるクロイソス王をある人物が訪ねてきた。アテナイの民主政の礎を築いた賢人ソロンである。クロイソスはこの客人に、ありあまる財宝を見せ、こう尋ねた。広く世界を旅してきて世界で一番幸せな人物に会ったか、と。もちろんクロイソスは自分自身がそうだと思っているのである。しかし、ソロンは全く別の人物の名を数名挙げる。どの人物も全くの無名の人であった。

クロイソス王はいら立ち、「そなたが私をそのような庶民の者どもにも及ばぬとしたところを見ると、そなたは私のこの幸福は何の価値もないと、思われるのか」と聞いた。それに対してソロンは、その時々でどんなに幸運に恵まれていたとしても人の人生は結末を見ないと何とも言えないものであると答えた。クロイソスはソロンを愚かだと思い、立ち去らせた。

息子の死とペルシアの隆盛
gameover2012/iStock/Thinkstock

クロイソス王には、自分を世界一の幸せ者と考えたために恐ろしい神罰が下った。

王には二人の息子がおり、そのうちの一人をアテュスといった。何においても優秀な人物で、特別に王の恩寵を受けていた。クロイソスはソロンが去った直後、このアテュスに不幸が起こる夢を見た。鉄の槍が刺さって死ぬというのである。その日以降、クロイソスはアテュスを戦場からはもちろん、あらゆる危険から遠ざけるようにした。

そんなときに、領内には大きなイノシシが現れ、農作物を荒らしていた。アテュスはこれを退治に行くことを強く志願し、クロイソスは結局これを認めた。恐ろしい夢はイノシシの牙などではなく、鉄の槍にさされて死ぬことを予言したものであり、人間相手ではない狩りにそんな心配は無用であるというアテュスの言い分を聞き容れたのである。

しかし狩りの際、クロイソスが用心のためにと付き添わせた人物がイノシシに投げた槍が的をはずれ、アテュスに突き刺さった。

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