最強の未公開企業 ファーウェイ: 冬は必ずやってくる

未 読
最強の未公開企業 ファーウェイ: 冬は必ずやってくる
ジャンル
著者
田濤 呉春波 内村和雄(監訳)
出版社
東洋経済新報社
定価
1,944円
出版日
2015年02月26日
評点
総合
4.0
明瞭性
3.5
革新性
4.5
応用性
4.0
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最強の未公開企業 ファーウェイ: 冬は必ずやってくる
著者
田濤 呉春波 内村和雄(監訳)
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出版社
東洋経済新報社
定価
1,944円
出版日
2015年02月26日
評点
総合
4.0
明瞭性
3.5
革新性
4.5
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レビュー

ファーウェイ(華為技術)は、任正非が1987年に創業した中国の企業である。創業当時の従業員は5〜6人、資本金は21千元。任は通信機器の製造に関してはずぶの素人であったが、「20年後に世界レベルの通信機器メーカーになる」という壮大なビジョンを描いていた。今や世界170カ国に展開、世界人口の3分の1にサービスを提供し、2010年には米国の経済誌に「世界でもっとも革新的な企業」として、フェイスブック、アマゾン、アップル、グーグルに続く第5位に選ばれる企業に成長した。2013年には、グローバルの売上高で世界の通信機器メーカーの頂点に立った。

若々しいエネルギーを保ち続けることは、個人にとっても組織にとっても容易なことではない。ファーウェイはそれを20年あまりも続け、さらに将来もそうあり続けたいと願っている。「顧客を中心に、奮闘者を根幹とし、苦しい奮闘を長期にわたって続ける」という企業理念を体現するため、教養を高め、社内制度を設計し、実践を繰り返す。それを真剣にやり続けてきたことこそ、ファーウェイの強みであり凄みと言えるだろう。ファーウェイは、必死に働く奮闘者以外が存在し得ない唯一無二の企業ではないかと感じる。

本書はIT業界に関わる方だけではなく、全てのビジネスパーソンに是非手に取っていただきたい一冊だ。IT業界の栄枯盛衰の中、奇跡の成長を遂げたファーウェイの実態を知り、任独自の経営哲学に触れることで、多くの教訓が得られることだろう。

著者

田 濤(ティエン・タオ)
華為集団顧問。
1957年生まれ。82年漢中師範学院(現陝西理工学院)卒。陝西師範大学などで長年教鞭を執る。2009年シンガポール国立大学でMBA(経営管理修士)を取得。現在は北京無限詢奇信息技術および北京山石網科信息技術の取締役のほか、ファーウェイをはじめ多数の企業のアドバイザーを務める。

呉 春波(ウー・チュンボー)
中国人民大学公共管理学院教授。
1962年生まれ。98年中国人民大学で経済学博士号を取得。95年からファーウェイのアドバイザーを務め、「ファーウェイ基本法」の起草や人材マネジメントシステムの設計などに携わった。

本書の要点

  • 要点
    1
    ファーウェイの創業者任正非は、孤高の経営思想家である。
  • 要点
    2
    ファーウェイの最低限かつ最高の戦略目標は、「生き延びる」ことである。
  • 要点
    3
    ファーウェイは、「農村部から着手し、徐々に都市部へと浸透する」という市場戦略で全世界に進出した。また、オープン路線を追求し続けることで、独特の包容力を備えた企業文化を築き上げた。
  • 要点
    4
    「顧客を中心に、奮闘者を根幹とし、苦しい奮闘を長期にわたって続ける」ことが、ファーウェイの核心的価値観である。

要約

孤独に耐え、我が道を進む

孤高の経営思想家、任正非
silverjohn/iStock/Thinkstock

任正非は1944年、深い山に囲まれ雨が多く、下界から隔離された貴州省の山奥で生まれた。任は孤独で多感な少年時代を過ごした。飢えや貧困、両親が文化大革命期に受けた政治的な差別、純朴な風俗、閉ざされた地形、悲しいほど乏しい情報などは、任の心の奥底に深いひだを刻んだ。孤独を感じ、孤独に耐え、孤独を楽しむことこそが、彼の性格の本質的特徴なのだ。

任には娯楽などの趣味らしい趣味がない。読書と思索が唯二つの例外だ。友人もほとんどいない。中国の企業家たちがサークル作りに励み、輪の中に入ろうと躍起になり、人脈を利用しようとしている傍らで、任は政界や財界、メディアとの付き合いを拒み続けてきた。他者とのコミュニケーションは得意であり、中国のことや世界のこと、経済・政治から歴史・文化に至るまであらゆる話題を自信たっぷりに語る。だが、話のテーマがファーウェイから離れることは決してない。

44歳で商人となった一人の男、ゼロから起業した退役軍人、決して他人の後ろを歩まない理想家は、自分自身とファーウェイに対して最初から気の遠くなるような高い目標を課し、それをやり遂げる使命感をもって全身全霊を捧げたのだ。

ファーウェイ成長の軌跡

迂回戦略で先進国市場へ

創業当時、中国市場では世界最高レベルの欧米企業が受注獲得を争っていたが、ファーウェイはまず、欧米企業が見向きもしなかった県レベルの郵便電話局から顧客を開拓し、そこから市レベル、省レベル、全国レベルへと10年かけて足場を拡げていった。「農村部から着手し、徐々に都市部へと浸透する」という市場戦略は、後の海外進出時にも応用され、大きな成果を上げることになる。

1998年に香港、1999年にはロシアで契約を獲得、それから5年をかけて世界各地に顧客を広げていった。その多くはアフリカや東南アジアなど通信インフラの整備が遅れた発展途上国だった。欧米企業がやりたがらないプロジェクトをあえて引き受け、やり遂げることで、顧客の信頼を築いた。そして、2003年頃にはライバル企業から一目置かれる存在になった。

そして2005年頃から、欧州市場に本格進出した。欧州はスウェーデンのエリクソン、フィンランドのノキアなど名門企業の本拠地だ。欧州でも大手通信業者からの受注を相次いで獲得し、欧州市場での契約額は毎年数十億ユーロに上っている。さらに日本市場にも進出し、ソフトバンク、NTTドコモ、KDDIという三大移動体通信業者に基地局や端末を供給している。

最低限かつ最高の戦略目標は「生き延びる」こと
cacaroot/iStock/Thinkstock

創業期のファーウェイは他の数千万社の中小企業と同様、市場の底辺で必死にもがいていた。「世界レベルの企業を目指す」というスローガンを掲げた時、任は身の程知らずの大風呂敷であることをはっきりと認識していた。生き延びなければ将来が開けることもあり得ないからこそ、自社製品も資金もない中、競争相手の外資企業と国有企業の十字砲火を死にもの狂いでかいくぐり、生き延びてきた。こうして「生き延びる」ことはファーウェイの最低限かつ最高の戦略目標となった。

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経営戦略 グローバル テクノロジー・IT
著者
田濤 呉春波 内村和雄(監訳)
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東洋経済新報社
定価
1,944円
出版日
2015年02月26日
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