気仙沼ニッティング物語

いいものを編む会社
未読
日本語
気仙沼ニッティング物語
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気仙沼ニッティング物語
出版社
定価
1,540円(税込)
出版日
2015年08月19日
評点
総合
4.2
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
5.0
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おすすめポイント

起業、地方でのビジネス、ものづくり企業のあり方、女性の働き方、といったキーワードが気になる方はぜひ読むべき一冊である。気仙沼ニッティングは、できたばかりの編み物の会社だ。著者であり、同社の代表取締役を務める御手洗瑞子氏は、マッキンゼーのコンサルタント、ブータンの公務員を務めたのち、新たな挑戦の舞台を震災後の気仙沼に見出した。

会社が利益をあげ、人々は働いてお給料をもらう、という循環のサイクルが壊れてしまった気仙沼で、著者は地元の家に下宿し、編み手たちを集め、一目一目大切に編まれたセーターやカーディガンをインターネットで販売した。そして、気仙沼ニッティングはなんと初年度から黒字決算となった。ハーバード・ビジネススクールの視察も受け、復興の先進事例としてテキストに紹介されるそうだ。

しかし、著者が目指しているのは目先の成功ではない。気仙沼に産業を育て、経済の生態系を新しくつくる一歩にする。気仙沼ニッティングを世界に発信できる企業に、100年続く企業にする。それが彼女の志なのだ。

本書では、会社の立ち上げの経緯や、気仙沼の人や編み手とどう心を通わせ、製品のどこにこだわり、価格をどう考えるかという試行錯誤の数々が、生まれたての会社の活気が伝わってくるような筆致で描かれている。と同時に、一度壊れてしまった土地で、働くということがどういう意味を持つのかが重みをもって胸に迫ってくる。本書のストーリーを読むことで、ビジネスがもたらす豊かさと感動とは何かを学ぶことができるだろう。

ライター画像
熊倉沙希子

著者

御手洗瑞子(みたらい・たまこ)
1985年、東京生まれ。東京大学経済学部卒業。マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、2010年9月より1年間、ブータン政府に初代首相フェローとして勤め、産業育成に従事。帰国後の2012年に、宮城県気仙沼市にて、高品質の手編みセーターやカーディガンを届ける「気仙沼ニッティング」の事業を起ち上げて、2013年から代表取締役に。著書に『ブータン、これでいいのだ』(新潮社)がある。好きなものは、温泉と日なたとおいしい和食。

本書の要点

  • 要点
    1
    漁師町である気仙沼に古くから「編む」文化があったことは、編み手確保の面からも、編み物を自分たちの産業だと思ってもらう面からも、編み物での起業にとって意義深かった。
  • 要点
    2
    大消費地から遠くとも、敏感に市場感覚を意識することで、働き手が少なくとも、フレキシブルな働き方を提供することで、気仙沼で起業するデメリットは解消できる。
  • 要点
    3
    編み手である地元の女性たちは、高いプロ意識を持って最高のものを作ろうと努力を重ねている。働き手もお客もみんな幸せにして、気仙沼ニッティングを100年続く会社にすることが著者の夢である。

要約

編み物の会社を立ち上げよう

気仙沼へ
©iStock/chichimikan

東日本大震災が起きたとき、著者はブータン政府での産業育成の仕事に従事していた。凄まじい被害の様子を知るにつれ、「いまは、日本人として、日本のために働くべきときではないか」という思いが募り、帰国を決めたという。

東北の自治体で産業復興に関わる仕事をしたりするうち、現場で事業や産業を育てなければ、何も生まれないと著者は痛感した。そこへ、親交のあった糸井重里氏から、思いがけない提案を受ける。「気仙沼で編み物の会社をやりたいんだけどさ。たまちゃん、社長やんない?」。

その言葉がきっかけとなり、気仙沼で下宿をしながら、編み物の会社を起ち上げるという、新しい挑戦が始まった。

なぜ編み物か

震災の翌年の2012年、気仙沼ニッティングは糸井重里氏が主宰するウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」(ほぼ日)のプロジェクトとしてスタートした。なぜ「編み物」だったのか。

まず、編み物なら工場がなくても、仮設住宅に住んでいても、「とにかく始められる」から。

次に、「着たくなる」デザインを生み出せる、編み物作家の三國万里子さんとご縁があったから。

三つ目には、漁師町である気仙沼には「編む」文化が根づいていたから。海に出る漁師のために、家族は無事の祈りをこめてセーターを編んだ。手先が器用な漁師も、暇つぶしに海で編み物をしたのだという。このことは、編み手確保という実践的な点からも、編み物は自分たちの産業だと気仙沼の人に思ってもらえるという点からも、意義深かった。

最後の理由は、編み物ならば「服」を作れるし、「服」ならば採算のとれる価格設定にしやすいからだった。ファッションの世界では、高くつく手間も反映した売値をつけられるということは重要なポイントだった。

4着からのスタート
©iStock/ FedevPhoto

プロジェクトをスタートすると同時に、著者らはアイルランドのアラン諸島に向かった。

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