改訂新版 自分を変える習慣力 

未読
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著者
出版社
クロスメディア・パブリッシング

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出版日
2024年08月23日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

早起きする、運動する、笑顔でいる……良い習慣にはさまざまなものがあるが、どれも途中で挫折してしまい、結局身につけることなく終わってしまったという経験を持つ人も少なくないはずだ。しかし、数々の企業や著名人に指導してきた著者によれば、潜在意識の性質を理解し、うまく働きかけるようにすれば、良い習慣を身につけることは誰でも十分可能なのだという。

良い習慣を身につけられるというだけでも十分魅力的であるが、習慣の力はそれにとどまらない。本書によれば、習慣を変えることで脳の構造が変わり、ポジティブな連鎖を次々に起こしていけるというのだ。良い習慣を身につけることは、人生のさまざまな問題を解決する。そう語る著者が、習慣を無理なく変える方法を紹介したのが本書である。

単に習慣化させるための方法論だけでなく、身につけるべき習慣とは何か、自分にとって習慣化すべきものは何かを見つけるためのガイドラインも詳しく解説されている。何かの習慣化に失敗した経験がある人であっても、本書を読めば、今度こそ挫折することなく実行に移せるのではないだろうか。自分の生活を変えるきっかけが欲しい人にはぜひ手にとっていただきたい本である。

※本要約は、過去に作成した要約を最新版に合わせて一部再編集したものです。

ライター画像
山下あすみ

著者

三浦将(みうら しょうま)
株式会社チームダイナミクス 代表取締役/人材育成・組織開発コンサルタント/エグゼクティブコーチ
大阪府立大学工学部卒業。英国立シェフィールド大学大学院修了(MSc:Master of Science理学修士)。早稲田大学オープンカレッジ講師。大手広告会社、リーバイス、ギャップなどの外資系企業を経て、「休み明けの朝、元気に仕事に向かう人をこの社会に増やす」を目的とし、人材育成・組織開発コンサルティングや企業研修プログラムを提供する株式会社チームダイナミクスを設立。アドラー心理学やコーチングの技術を駆使した手法で、リーダーシップと主体性のある人材の育成をサポートしている。「知識を能力に変える」研修プログラムの実績により、リピート率は、実に95%を超える。『相手を変える習慣力』『チームを変える習慣力』(クロスメディア・パブリッシング)、『リーダーのコミュニケーション習慣力』(三笠書房)他、著書は累計30万部を超える。

[株式会社チームダイナミクス] https://www.teamdynamics.co.jp

本書の要点

  • 要点
    1
    習慣とは、意識してこなしている状態ではなく、意志の力をほとんど必要とせず、やっているのが当たり前になっている無意識に近い状態のことを指す。
  • 要点
    2
    何かに取り組むときは、何のために習慣化をしたいのかという本当の目的を明確にしておき、無理なく続けられることから始めて、ルーティンをつくることが継続のコツである。
  • 要点
    3
    まずは一つ、小さな良い習慣を続けていくことが大事である。そうすることで、人生をより良いものに変えてくれるとともに、新たな習慣を始めるための礎となってくれる。

要約

【必読ポイント!】 潜在意識を味方につける

習慣化には段階がある

早起き、ダイエット、禁煙──。新しい習慣を定着させることは難しいと思われがちだ。ただ、潜在意識の特性を理解しさえすれば、習慣は簡単に身につけることができる。重要なのは、「知らない」→「知っている」→「できる」→「やっている」という、習慣化の流れを理解することだ。

「知らない」「知っている」「できる」の段階は、習慣化のために日々それを繰り返し、意識してこなしている段階だ。これらの段階では、継続する意志の力が必要だ。だから、大変だと感じていると、続けられなくなってしまう。

一方、最後の「やっている」段階は、やっているのが当たり前の状態を指す。これは、習慣化が完了している状態であるといえる。習慣化を目指すうえでの課題は、「できる」と「やっている」の間のギャップを飛び越えることだ。

潜在意識を味方につけて、自分で人生を切り開く
Alones Creative/gettyimages

人間の行動のほとんどは、潜在意識に支配されている。潜在意識にプログラムされたことは知らぬ間にあなたに働きかけ、特定の行動を取らせている。いくら頑張ってもこのオートマチックな力に意志の力だけでは抵抗しきることはできない。

心理学では、私たちが意識できている部分を「顕在意識」と呼ぶ。それはまるで水面に現れている氷山の一角のような存在だ。一方、「潜在意識」はまさに心の奥底に潜んだ本能的な意識である。自覚されることはないが、人の考え方や行動に大きな影響を与えている部分で、そのパワーは顕在意識の20,000倍以上ともいわれている。「わかっちゃいるけどやめられない」というような場合はたいていこの潜在意識の存在が大きく関わっている。

しかし、人間は潜在意識に振り回されているだけではない。意志をもって設計図を作り、潜在意識を書き換えることで、素晴らしい習慣を身につけることができるのだ。

ブレーキをかけないために

たとえば犬に噛まれたことによる犬恐怖症などは、一瞬にして潜在意識の中につくられたプログラムであるため、逆に一瞬で書き換えることもできる。このような場合、メンタルコーチが90分ほどのセッションを行うことによって、ネガティブな思い込みをポジティブな強い思いに変えることができる。

一方、日々粛々と繰り返され、長い時間をかけて潜在意識の中につくられるプログラムもある。その場合は漢方薬による体質改善のように、ゆっくりと時間をかけてプログラムを最適な方向に書き換える必要がある。その意味で、習慣化とは潜在意識の体質改善ともいえる。

しかし、潜在意識には「安心安全第一で動く」という特徴があるということを忘れてはならない。現状が脅かされていると判断すると、変化を起こさないように潜在意識はブレーキをかけ始める。人がいろいろなことを急に変えようとしてもなかなか実行できないのは、潜在意識のこの強烈な抵抗にあっているせいだ。習慣化を成功させるためには、潜在意識の安心安全欲求をしっかり満たしながら進めることが肝心である。

習慣化を成功させる鉄則

習慣化の初期段階で重要なこと

意志の力は無尽蔵ではない。無理や我慢を続けると、やがて限界が来てしまう。習慣化を行う初期段階では、意志の力をなるべく使わないように「まずは1つのことに集中する」ことが大事だ。

最初に取り組む習慣を決め、それに取り掛かる。1つ目の習慣を3週間から3カ月続けたあたりで、どれだけ定着したかを確認する。日常の中でほぼオートマチックに行われるようになったら、もう習慣化されたと考えてよい。この状態になったら今度は別の習慣を生活に取り入れてみよう。この2つ目の習慣もオートマチックに実行することができるようになったら、少し休憩を挟み、3つ目の習慣に取り掛かる。このようにして、習慣化を1つずつ成功させることで、成功体験を積み重ねていく。そうすることで、人生全体にポジティブな影響を与えることができるのである。

頑張らなくていい理由
Eoneren/gettyimages

習慣化を達成するためには、頑張りすぎない方がいい。毎日が頑張るモードだと、やがてそれをやることが苦痛の感情と結びつき、継続できなくなってしまうだろう。習慣化において、苦痛の感情をつくらないことが、潜在意識をうまくコントロールする秘訣だ。

少し物足りなく感じるぐらいの行動を3週間続ければ、それが自分にとって「当たり前」の行動になり、「もう少ししたい」という感覚が生まれる。これが続くと「快の感情」と結び付く。これは潜在意識が安心している状態だ。潜在意識をコントロールし、プログラムを書き換えるためには、物足りないぐらいの努力こそが最良であるといえる。

スイッチとなる習慣の見つけ方

本当の目的を見つける

何のために習慣化をしたいのか。本当の目的を自分自身で確かめることにより、真の継続力が生まれる。本当の目的を確認するためにはいくつかのステップがある。

まず、今後取り組んでみたいと感じている習慣を1つ書き出す。次に、何のためにそれを習慣化したいのかを考える。最後に、その目的が達成できたとしたら、さらに何をしたいかを繰り返し書き出す。この「さらに」を繰り返すことで、直近で達成したいことから、人生全体で達成したいことまで、目的のレベルを上げていく。

本当にしたいことに到達できれば、潜在意識は自然と習慣化に向けてロックオンしてくれる。

目標のつくり方

本当の目的が明確になったら、その達成のため、大事になると思われる習慣をいくつかピックアップする。それが出揃ったら、最初にやるべき習慣を1つだけ決める。

そして、続けられそうな範囲のことを、まずは3週間続けてみるのだ。ハードルの高さを続けられる程度に微調整しながら、それを3カ月続けることができれば、軌道に乗ってきたといえる。

続けられそうな目標を設定したら、1日の終わりにどれくらいできたかを毎日書き残すのも、習慣化の促進のためにおすすめだ。

三日坊主にならないための秘訣

自分に合った習慣化を見つけるための秘訣は、とにかく「自分を知る」ことだ。たとえば、チョコレートが好きなら、習慣化したい行動をしているときにだけチョコレートが食べられるというルールをつくるのも有効である。そうすることで、習慣化したい行動が快の感情と直接結びつけられ、習慣化がしやすくなる。

一流のスポーツ選手は、重要な局面に入る前に、独特のポーズをすることがある。これはルーティンを行うことにより、最高の動きを再現するためのプログラムを潜在意識の中につくって、それを引き出すためだという。行動しやすいパターンを見つけて、ルーティンをつくることも、継続のコツだ。

仕事のために身につけるべき習慣

情報の断捨離を!
romeocane1/gettyimages

「仕事の習慣」をつくるうえでも、「断捨離」の精神が重要だ。断捨離は、スペースをつくる、余裕をつくるために、とても大切な習慣だ。世に出回る情報量はすさまじいスピードで増え続けている。情報を取捨選択することで、心に余裕をつくることはとても重要なことだ。

何が目的かという存在意義、何が大切かという価値観、どこを目指すかというビジョン、何をするのかという戦術が明確であれば、仕事において何が必要かを把握することができる。情報の断捨離の習慣を取り入れ、自分の仕事の軸を明確化しよう。

意志決定も断捨離する

意志決定の際にも断捨離は重要だ。精神的リソースが必要とされる意志決定は、繰り返すたびに意志の力が弱まり、「決定疲れ」が起こる。そうなる前に、余分な意志決定を少しでも減らす必要がある。

私生活での些細な決断を極力減らすことは、最高の仕事をするための習慣の1つだ。スティーブ・ジョブスがいつも黒のタートルネックを着ていたことは有名だ。そうすることにより、日々のコーディネートを考えるためのエネルギーが節約でき、意志決定の断捨離ができる。朝ごはんのパターンを決めておくなど、衣食住のパターンを設定し、仕事以外で意志決定の要素を少なくするのがポイントだ。

早起きの習慣を取り入れる

仕事をしていると、年齢を重ねるにつれて、若い頃と同じようには身体が動かなくなっていくことに気づくだろう。身体は私たちの人生全体を支えてくれる土台であり、その土台を盤石にするためには、食事、運動、睡眠、姿勢において良い習慣を取り入れる必要がある。

その中でも、早起きの習慣は最も効果的な生活改善方法だ。世界に影響を与えるようなスーパービジネスパーソンは午前4時台に起床する。早朝の1時間は日中の2時間の価値があるといわれている。ゆっくり自分と向き合ったり、考えを整理したりするうえで、朝の時間は不可欠であるといえる。早起きの習慣は、数ある習慣の中でも最も取り入れたいものの一つである。

人生を根本から変える習慣

b-bee/gettyimages
心の習慣

人間とは元来、放っておくと要らぬ心配をしがちなものだ。エスカレートすると不安症や、虚無感、無価値観にまで発展するケースも出てくる。体や運動の習慣と同様に、普段の生活から心を安定させる習慣を身につけることは、不安やストレスを軽減し、健全で安定した心の状態を保つのに大いに役に立つ。

自分の気分や感情は、自分自身のものごとのとらえ方がつくり上げているといわれている。そのため、潜在意識をコントロールすることができれば、望ましい精神状態を保つことができる。

まずは「その考え方、とらえ方はポジティブなものか?」と自分に投げかけてみることだ。

自分に反論してくる人に対し、敵意のある人だととらえてしまうと敵対関係になってしまうが、反論もたまには参考になるのではないかと考えれば、感じ方は変わってくる。そうするうちに、意識のベクトルが外向きになっていき、相手や自分の周囲の環境が変わってくることを実感できるようになる。

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要約公開日 2024.10.25
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