データサイエンス超入門

ビジネスで役立つ「統計学」の本当の活かし方
未読
データサイエンス超入門
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ビジネスで役立つ「統計学」の本当の活かし方
未読
データサイエンス超入門
出版社
日経BP
出版日
2013年11月11日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

近年、ビッグデータ、統計学、データサイエンティスト等に関わる記事や書籍が多く、それらの言葉を目にする機会が必然的に多くなっている。それ故、「21世紀で最もセクシーな職業」とまで言われるデータサイエンティストに憧れる方も増えているのではなかろうか。しかしながらデータサイエンティストが具体的に何をする職業であり、データサイエンスにどのような応用領域があるのかを、体系的に理解できている方は多くないというのが実情であろう。

一方で、本書でも語られているように、データサイエンスという領域は最近唐突に現れた訳ではなく、その実、過去から積み上げられた統計分析の理論の適用範囲が広がっただけである、という考えを持つことが妥当なようにも思える。適用範囲が広がった主要因は、スマートフォンの普及や記憶媒体の高密度化等のIT技術の進歩および拡散である。本書で語られている、アマゾンのレコメンドエンジンや位置情報を活かしたマーケティングなどはそうした技術革新の恩恵を受けている。

本書はデータサイエンスに対するビジネスパーソンの疑問を一掃する、極めて優れた書籍である。分析のフレームワークやデータサイエンスの活用例が豊富に掲載されており、この一冊でタイトルの通り、データサイエンスの領域に入門できる勇気を持てることは間違いない。本書を一読すれば、データサイエンスを他人事のように遠目で見るのではなく、自ら数字と向き合う武器を持つことができると断言しよう。

ライター画像
大賀康史

著者

工藤 卓哉
アクセンチュア経営コンサルティング本部 アクセンチュアアナリティクス 日本統括
慶應義塾大学 データサイエンス講座講師、会津大学 アナリティクス講座特別講師、カーネギーメロン大学(情報工学)およびコロンビア大学(公共政策学)修士号了。
メディア・通信ハイテク業・製造流通・金融・エネルギー・公共サービス領域の情報戦略、データ分析や運用最適化など、国内外でのアナリティクス経験多数。分析を武器とした企業の組織立ち上げの案件を数多く支援。ブルームバーグ市長政権におけるニューヨーク市政府統計ディレクターを経て、2011年に帰国。2013年6月から現職。ダイヤモンドオンライン「データサイエンティストの冒険―分析力を武器に21世紀のビジネス鉱脈を探る」での連載執筆に加え、新聞や雑誌寄稿、TV出演、外部講演多数。

保科 学世
アクセンチュアテクノロジーコンサルティング本部 シニア・マネジャー
慶應義塾大学大学院理工学研究科博士課程修了 博士(理学)
アクセンチュアにてAFS(Accenture Fulfillment Service)、ARS(Accenture Recommend Service)など、アナリティクスソリューションのシステム開発を指揮。また、それらアナリティクスソリューションのデリバリー責任者として多数のプロジェクトにかかわり、分析結果を活用した業務改革を実現。アナリティクス領域以外でも、大手ハイテク・通信キャリアを中心に、大規模基幹系システムのシステム導入経験多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    膨大なデータを操り、ビジネスに活かすためには、①データを活用したビジネスを企画する力、②データサイエンスを支える統計知識、③アナリティクスを実現するITスキル、という3つの力が必要である。
  • 要点
    2
    データサイエンスの知識を活かして有効な示唆を得るためには、プロジェクト初期の「発射台・標的の設定」の段階で、チーム全体、更には経営幹部や業務部門を巻き込みながら意思決定を下すプロセスを怠るべきではない。
  • 要点
    3
    データサイエンスを習得すれば、ビジネス面だけでなくスポーツも含めた幅広い領域にその応用対象を見出すことができる。

要約

データを操る力

なぜ今、データサイエンスが注目されているのか?
Wavebreak Media/Thinkstock

ハーバード・ビジネス・レビューに掲載された「21世紀で最も魅力的な職業はデータサイエンティストだ」という言葉を契機として、データサイエンティストに注目が集まっている。しかしこの領域の第一人者である著者は、統計が今さらになって脚光を浴びていることに対して驚いているという。

というのも、統計知識の多くはここ最近で登場したものではなく、数百年以上も前から存在する学問に基づくもので、本来ここ1~2年の分野ではないからだ。

もちろん今になってデータサイエンスが脚光を浴びる要因はいくつか存在する。一つはデータ処理基盤となるIT技術の進歩である。すなわちデータ活用方法に関して、「クラウドコンピューティング」を始めとしてGPSやスマートフォン/タブレット端末が普及し、ソーシャルメディアが浸透するなど、膨大なデータ量が短時間かつ大規模に処理できるようになったからだ。

もう一つは、「使えるデータ」の整備も進み、行政や公的機関などが蓄積した情報を活用しやすくなり、ビジネスに活かす分析が可能となっていることである。

データサイエンスの3要素
iStock/Thinkstock

膨大なデータを操り、ビジネスに活かすためには3つの力が欠かせない。

一、データを活用したビジネスを企画する力

ビジネスにインパクトを与える分析をするためには、「データありき」ではなく、「ビジネスありき」で捉えなければならない。ビジネスへの深い理解と分析ニーズの明示化こそ、その後の分析が有効な示唆を得られるかどうかを分けるのだ。

二、データサイエンスを支える統計知識

分析によりビジネスニーズを理論的に検証するためには、統計知識が必要となる。具体的には、多変量解析、探索的データ解析、機械学習などの理論・手法のことだ。それらを踏まえ、試行錯誤を繰り返し、有効な示唆を得ることが求められる。

三、アナリティクスを実現するITスキル

データの多様性、生成速度、データ量の増加という特性を持つビッグデータを扱うためには、ITアーキテクチャの理解に加え、高いアプリケーション設計・開発能力が問われる。適切なシステムにより、テキストデータ、音声、ビデオといった非構造化データを扱うとともに、自然言語処理に関する技術力も必要となる。

【必読ポイント!】ビジネス戦略を支えるデータサイエンス

「発射台と的」の設定

著者が繰り返し主張している点であるが、あくまでビジネス要件を踏まえることこそが、有用なデータ分析に繋がる、ということに留意すべきである。すなわち、プロジェクトを成功に導くためには、適切な「発射台と的」の設定が必要になるということだ。

もしその標的がぶれてしまった場合、

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要約公開日 2013.12.28
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