14のフレームワークで考えるデータ分析の教科書

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14のフレームワークで考えるデータ分析の教科書
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14のフレームワークで考えるデータ分析の教科書
出版社
かんき出版
出版日
2014年09月16日
評点
総合
4.5
明瞭性
4.5
革新性
4.5
応用性
4.5
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おすすめポイント

本書は、長年データ分析に携わってきた著者がデータ分析の手法や手順について明快に分かりやすく解説した、注目の一冊である。一見難しく感じられる「データ分析」という分野だが、本書を手に取るとその概念は覆される。本書第1部「理論編」では効率的なデータ分析の手順として、①準備する、②集める、③分析する、④表現する、⑤伝える、の5つのステップを提示し、手順を追って丁寧に解説している。また、QC(Quality Control)7つ道具及び新QC7つ道具の14のフレームワークを活用することで様々なデータ分析への対応が可能となる、というのが、著者が導いた基本的分析スキルだ。この14のフレームワークはステップ③「分析する」の章で詳しく紹介されている。第2部「事例編」では理論編で学んだ内容を基に具体例を交えて解説しており、より実務的なイメージが膨らむ構成になっている。

データ分析の目的とは、データ分析の結果を次の行動につなげ目に見える成果に変えていくことにある、という著者の想いは、本書のいたるところで感じとれる。また、本書の特徴はデータ分析初心者向けに構成された点にあるが、第1部に記された分析手法や第2部「事例編」は専門家が一読しても参考になると思われる内容だ。データ分析を学びたい人やデータ分析の成果が上がらず悩んでいる人にとってはバイブル的存在になりそうな一冊だ。

著者

髙橋 威知郎(たかはし・いちろう)
1974年生まれ。筑波大学大学院博士課程社会工学研究科中途退学、修士(数理工学)、中小企業診断士(経済産業大臣登録)。内閣府(旧総理府)、およびコンサルティングファームなどを経て、現在、ソフトバンク・テクノロジー株式会社データサイエンス部シニアコンサルタント。
官公庁時代から一貫してデータ分析業務に携わってきた。退官後は、官公庁時代に身につけたデータ分析スキルをもとに、おもに大手消費財メーカー・小売り企業に対し、プロダクト戦略をはじめ、近年注目されている経済指標のひとつで、マーケティングの投資効率を見るマーケティングROI、ライフタイムバリューなどに関するコンサルティングを提供。現在は、さらに一歩進めたフィジタル(リアルとWebの融合)マーケティングの体系化、およびそのコンサルティング業務に従事する。
本書は20年近い実務経験をもとに、マーケティングや販売促進、営業、商品・技術開発、物流・販売管理、経営企画などに携わる一般のビジネスパーソン向けに、仕事で成果を上げるために身につけておきたいデータ分析のスキルを平易にわかりやすくまとめたものである。

本書の要点

  • 要点
    1
    データ分析は、その結果からどういったアクションを導きビジネスにつなげていくかということが重要だ。効率的なデータ分析とは、①準備する、②集める、③分析する、④表現する、⑤伝える、の5つのステップで構成される。
  • 要点
    2
    データ分析は上記で挙げた5ステップそれぞれの精度を高めていくことが重要になる。各項目でレビューを行い様々な視点で内容を検証することも大事だ。
  • 要点
    3
    分析結果を相手に伝える、それこそが次の行動につながる大切な作業だ。相手の理解を得られるよう表現方法を工夫し明快なプレゼンテーションを心掛けたい。

要約

準備する

メッセージボードを作る
Bratovanov/iStock/Thinkstock

データ分析の準備の際に必要なツールとして、メッセージボード、データツリー、スケジュールがある。

データ分析には「目的」があり、分析結果をどういったアクションにつなげていくかを明確化する必要がある。そのために用いるのが「メッセージボード」だ。

メッセージボードには、(1)誰に対し、(2)何の目的で、(3)何を行うのか、(4)(3)の具体的内容、(5)最初の一歩、の5項目があり、各項目を埋めていく作業となる。

(1)と(2)に関しては、対象者や目的が少しでも変わると分析方法は変わるため、前提を正しく認識した上で分析作業に取り掛かることが大切だ。対象が判然としない場合は大前提の方向性だけでも示し、多少のズレは作業途中で方向修正していくとよい。

(3)から(5)に関しては、仮説立案でも構わない。まずは一つの方向性を示した上で、分析結果から検証し正誤判断していけばよい。

(1)の「誰」をより具体化するために、プロファイリングシートを活用する方法もある。これは対象者について様々な視点から特徴を明確化するものであるため、的を絞ったデータ分析が可能になる。

データの統計図(データツリー)を作る
Ullver/iStock/Thinkstock

次に、データツリーの作成について説明したい。これは「取り扱うべきデータの全体地図」であり、どんなデータを使ってどのように分析すべきかを図に表したものである。

同じデータ項目でも、データ分析の目的に応じ分解方法を変えることでツリー構造は変化するため、メッセージボードで明確化した内容が大変重要になる。例えば、利益のデータツリーを作成する場合、「利益=売上+コスト」と「利益=売上+利益率」どちらを選択するか、さらに、「売上」をエリアごとの合計値とするか製品ごとの合計値とするかなどでツリー構造は大きく変化する。

また、詳細なツリー作成を行うことで、データ漏れを防ぐことができる。データツリーが完成すれば、どういった性質のデータが必要か、足りないデータはどれか、といった具体的イメージが視覚化されるためだ。準備段階でデータツリーをしっかりと作り込むことが重要だ。

しかしツリー作成はあくまで分析のための土台作りであり、メッセージボードと同様、まずは仮説を立て、データ収集や分析作業の途中で積極的に作り変えていく姿勢で臨んでよい。

データツリーが完成したら、データ整理を行う。既に存在するデータを洗い出してツリーのリーフ(一番右端にある項目セル)に当てはめ、不足データが顕在化すれば最低限必要なデータ、あるいは代替可能なデータを考える。最後に、集めるべき各データの粒度(細かさの度合い)を考える。

集める

データの特性を理解する

データをその性質で分類すると定量データと定性データの2種類に分けられる。前者は数量で表されるデータ、後者は新聞記事のような数量で表されていないデータを指す。

また、「既に存在する」セカンダリーデータと「新たに集めなければならない」プライマリーデータと分類する方法もある。前者は官公庁発表の白書や公的な統計データ、後者は独自企画のアンケート結果や自社の売上が代表例である。各データのメリット・デメリットを理解し、収集時間などを考慮して最適なデータ収集を心掛けたい。

データの集め方

データを集める際に大切な3つのポイントがある。

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要約公開日 2015.02.17
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