在日中国人33人のそれでも私たちが日本を好きな理由

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在日中国人33人のそれでも私たちが日本を好きな理由
ジャンル
著者
趙海成 小林さゆり(訳)
出版社
CCCメディアハウス 出版社ページへ
定価
1,944円
出版日
2015年03月29日
評点(5点満点)
総合
3.3
明瞭性
3.0
革新性
4.0
応用性
3.0
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レビュー

現在日本には、約70万人もの中国人が滞在し、中国からの訪日観光客も増えている。繁華街や電車の中では前よりも頻繁に中国語も聞こえるようになり、身近な存在となってきているのはまちがいない。

しかしながら、実際に中国人と交流を持っている日本人はどのくらいいるだろうか。両者の交流はさほどないのが現状だ。日中関係も2012年の尖閣諸島の領有権をめぐって、「正常化以来、最悪」と言われている。

日中関係が悪い理由のひとつは、お互いのことをよく知らないからである。長く日本に滞在し現在はフリーライターとして活躍している著者は、在日中国人のプラスイメージにつながることを願い、本書を出版したという。また、日本に対して固定観念を抱きつづけている中国人にとっても、本書は新しい見方を提供してくれるだろう。

日本人は「勤勉である」、「信頼できる」、「礼儀を心得ている」など世界でも賞賛されることが多いが、実はこういった作法は中国の『論語』などがもとになっているところも大きい。

長い歴史を通して、日本と中国は交流をつづけてきた。本書を読むことで、日本のもつ魅力をあらためて発見するとともに、私たちがあまり知らない日本文化のルーツの一端が見えてくることだろう。

山下 あすみ

著者

趙 海成(チャオ・ハイチェン)
1955年、中国・北京出身。82年に北京対外貿易学院(現在の対外経済貿易大学)日本語学科を卒業。85年に来日し、日本大学芸術学部でテレビを専攻。88年には初の在日中国人向け中国新聞『留学生新聞』の創刊に携わり、初代編集長を10年間務める。95年、10カ国の在日外国人向け外国語媒体を束ねる「外国人情報誌連合会」代表に就任。99年、中国情報を発信する日本の衛星放送事業者、大富(CCTV大富)の宣伝部長に。また同じく99年には、外国人にかかわる諸問題について都知事に意見を述べる「外国人都民会議委員」に東京都より選出される。2000年、日中合作ドキュメンタリー『シルクロード』の制作に参加。2002年に中国に帰国し、以後は日中を行き来しながらフリーのライター/カメラマンとして活躍している。
xiongxiong412@hotmail.com

本書の要点

  • 要点
    1
    日本に長く滞在できる在日中国人は不屈の精神、旺盛なチャレンジ精神、向上心、そしてマイペースな楽観主義を備えている。
  • 要点
    2
    日本の文化や生活には、中国にはないすぐれた点や異なる点が多々ある。中国人のなかには、仕事を通してそれらを中国の国民に伝えようとしている人たちもいる。
  • 要点
    3
    日中関係を改善するために、日中の架け橋になろうと日々奮闘している人々は、政治経済や文化交流を通じて、双方のコミュニケーションをうながしている。

要約

異国の地で生き抜く

歌舞伎町で生き抜いてきた27年
BestForLater91/iStock/Thinkstock

世界でも名高い歓楽街である新宿の歌舞伎町で活躍し、「歌舞伎町案内人」として有名になった李 小牧(リー・シャム)は、留学生として来日したのち、歌舞伎町で客に案内を始めた。これが彼の生涯のライフワークになり、そこから多くの付加価値が生まれた。2002年に『歌舞伎町案内人』を刊行しベストセラーとなってからは、日本のみならず香港、中国のテレビや雑誌に登場し、歌舞伎町関連のドラマ、映画や舞台にも出演、大学で講演も行い、世界に名をとどろかせた。

彼は日本の暴力団、中国マフィア、警察とも誠心誠意つきあうことをモットーにしており、中国人絡みの事件があれば彼の協力で解決につながることも多い。来日当初は涙を流したこともあったが、不屈の精神で歌舞伎町の奥深くまで分け入り、現在では富と栄誉を手にしている。

李は語る。「歌舞伎町はとても人間的なところ」「ただの歓楽街とは言いがたく、きわめて多元的なエリアで、ギャンブル、風俗、レストラン、劇場、ラブホテルとなんでもある。まさに不夜城の歓楽街だ。こうした夜のライフスタイルを作るのは日本人の得意とするところだ。中国人はそれをしっかり学ぶべきだ。」

型破りな保育園経営者

電子工場の研修生になれると騙されて来日した応 暁雍(イン・シャオヨン)は、紆余曲折を経て、今では日本で認可保育園を4箇所も経営する実業家となった。

一度はホステスの仕事に就かされた応だったが、何とかその環境から脱出し、日本人男性と結婚して男の子を出産した。しかし、日本語もまんぞくに話せず、手助けをしてくれる肉親も友達も近くにいなかった。夫とも不仲になり、どんどん追い詰められ、やがてうつ病になった。

だが、息子と無理心中を決意し死ぬ直前、日本で発刊されている中国語新聞に、「子育ての悩みがあるなら電話をください」とメッセージを掲載したことが転機となった。自分と同じか、それ以上の悩みを抱えている人が多くいることを知った応は、それまでの自分は「足ると知る」ことがまったくわかっていなかったと反省。そして中国人ママのために自宅で子どもを無料で預かるミニ託児所を始めた。

託児所は当初、子ども5人からのスタートだったが、24時間対応で保育費も安く、中国語・日本語の両方が学べるということで、半年で20人以上が集まる人気保育園となった。応の精神状態も回復していった。

現在は、日本と中国のいいところを取り入れた教育が話題を呼び、国内4カ所で運営、子どもは250人以上、先生は48人在籍している。24時間いつでも出入り可能な保育園は日本ではほとんどないため、日本人ママでも子どもを公立保育園と同時にこの保育園の会員になるケースもあるそうだ。

応は日本の保育園について、幼少期から人に接するときの態度やマナー、自分でできることは自分でやること、相手の気持ちを理解することを学べる場所だと賞賛している。応の保育園にも、日本の保育園のいいところを取り入れているのだという。

不法就労をしながら娘を医者に育てあげた男
FabioBalbi/iStock/Thinkstock

日本の大学に進学するという丁 尚彪(ティン・シャンビャオ)の夢は、来日早々に砕け散った。彼が入学申請した日本人学校は、北海道の中でも人里離れた町で、人口激減と経済悪化により、日本人ですら職に就くのが難しいところだった。

来日するために借金をつくっており、すぐにでも働かなければならなかった丁にとっては、東京に逃げ出すしか手段がなかった。しかし、東京の日本語学校への転出申請が許可されず、不法滞在者となってしまう。

丁は自分が進学する夢を諦め、上海にいる娘を外国の一流大学に入れることだけを夢見て、必死に飲食店でアルバイトをして上海に送金しつづけた。その後8年が過ぎ、

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