超ノート術

成果を10倍にするメモの書き方
未読
超ノート術
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成果を10倍にするメモの書き方
未読
超ノート術
出版社
出版日
2016年10月18日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「今をときめく人気クリエイター」と聞くと、生まれながらに優れたアイデアが浮かんでくる「天才肌」というイメージを持つ人が多いのではないだろうか。しかし、本書はそんなイメージを見事に覆してくれる。努力によって、自分らしさが発揮され、周囲から高く評価される企画を次々に編み出していく。そんな「コツコツ派」クリエイター佐藤 ねじ氏のノート術の全貌をお見せする一冊だ。

著者は、文化庁メディア芸術祭、Yahoo!クリエイティブアワードなどの栄えある賞を受賞し、面白法人カヤックでアートディレクターとして活躍してきた人気クリエイターである。そんな彼も、仕事を始めて数年間はなかなか企画がヒットせず伸び悩んでいたという。天才肌の人たちが、突然ずば抜けた成果を出してしまうのを尻目に、自称メモ魔の著者は、ノートの使い方の試行錯誤を重ねた。飲み会や散歩中もペンを走らせ、メモをもとにアイデアを磨き、選りすぐりだけの「1軍ノート」に書き写し、企画へと昇華させる。そうするうちに、ヒットを連発できるようになったという。

本書の魅力の一つは何と言っても、著者の過去のノートや作品の写真、イラストが所狭しと並んでいることだ。これらをパラパラとめくるだけでもインスピレーションが湧いてきて、自分オリジナルノートをつくりたくなるだろう。イノベーティブなアイデアで周囲から注目されたい。そんな願いをかなえてくれる、1軍ノートという武器を手に入れていただきたい。

ライター画像
松尾美里

著者

佐藤 ねじ(さとう ねじ)
株式会社ブルーパドル代表。アートディレクター/プランナー。1982年生まれ。愛知県出身。名古屋芸術大学デザイン科卒業。デザイン事務所を経て、2010年に面白法人カヤック入社。2016年7月に独立し、株式会社ブルーパドルを設立。デジタルコンテンツの企画・デザイン・PRを仕事にしつつ、「空いてる土俵」を探すというスタイルで、様々なジャンルの「ブルーパドル」を発見することを使命としている。代表作に『ハイブリッド黒板アプリKocri』『貞子3D2 スマ4D』『しゃべる名刺』『Sound of TapBoard』など。文化庁メディア芸術祭、Yahoo!インターネットクリエイティブアワード、グッドデザイン・ベスト100など受賞多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    著者のノート術は、「毎日コツコツと、気になったことをノートにメモする」、「その中から、選りすぐりのメモだけを特別なノートに書き写す」、「選ばれたメモを頻繁に見返し、アウトプットに活用する」という3つのステップからなる。
  • 要点
    2
    2軍ノートから1軍ノートに書き写す過程で、内容が記憶に定着しやすくなり、自分の考え方の傾向がわかる。それが自分らしく、質の高いアウトプットにつながる。
  • 要点
    3
    アウトプットの回数を増やし、フィードバックの機会を増やせば、成長がはやくなる。

要約

手書きメモからヒットを生み出す

コツコツ派が生み出したノート術

社会人になると、下調べや勉強もほとんどせず成果をいきなり出す「天才肌」の人に出会ったことはないだろうか。天才肌とは正反対の「コツコツ派」である著者は、コツコツとメモを取り、発想法に関する本を読みあさった。そして、自分なりにアイデアを出す方法を試行錯誤し、独自のノート活用術を生み出した。

著者は打合せや会議以外でも、映画を観たり本や漫画を読んだりしたとき、さらには飲み会でも面白いことを耳にしたらメモをするという。一貫しているのは、「企画を考えるときの参考にする」というように、メモを何に活かすのかを決めているという点だ。アウトプットの目的を具体化し、興味があるものを書き留めていく。そうすれば、メモを見返すのがラクになり、メモの中から自分の好みのパターンが把握できる。これがオリジナリティある企画づくりの源になっている。

選りすぐりのネタを1軍ノートに集める
Rawpixel/iStock/Thinkstock

著者のノート活用術は、次の3つのステップから成り立っている。「毎日コツコツと、気になったことをノートにメモする」、「その中から、選りすぐりのメモだけを特別なノートに書き写す」、「選ばれたメモを頻繁に見返し、アウトプットに活用する」の3つだ。

このステップのヒントは、博報堂ケトルのクリエイティブディレクター、嶋浩一郎氏の本にあった。嶋氏は、普段のメモを取るノートを「2軍ノート」と呼び、一方、その中から選りすぐりの面白いトピックスだけを「1軍ノート」にまとめて、企画のネタとして活用しているという。2軍というネーミングによって、心理的ハードルが下がり、気軽に書き込めるようになる。

これを取り入れた著者は、2軍ノートから1軍ノートに書き写すときに、一工夫加えている。そこに書かれている内容を膨らませて、より面白くなるよう、さらに思いついたアイデアを追加するのだ。例えば「別の何かと組み合わせると……」、「違うシチュエーションに転用すると……」というように。

また、著者はイラストをつけることで、アイデアをカタログ化している。文字だけでもよいし、グラフィックデザインの仕事をしている人なら、印刷物を1軍ノートに貼って、ビジュアルメインにするのもよいだろう。折に触れてページをめくるだけで、インスピレーションが湧くにちがいない。

ツイッター公開で大ヒットした「レシートレター」
Stockbyte/Thinkstock

何気ないメモから著者が大ヒットを生み出した例として、「レシートレター」が挙げられる。購入した内容や金額などを示すだけの紙なのに、この一枚から浮気が発覚するなど、強烈なメッセージを放つレシート。このメッセージ性を活かして、妻への感謝の気持ちを伝える手紙をつくれば面白い、と1軍ノートにアイデアをしたためていた。

実際に作品化する際は、レシートの文字を「イツモ料理ツクッテクレテ、アリガトウ」のように変え、金額についても、アリガトウのところには39円と記載するなど、本物さながらのレシートをつくった。これを見つけた著者の妻が写真つきでツイッターにアップしたところ、4万リツイートを超えた。アップ日はちょうど11月22日で「いい夫婦」の日だった。

このエピソードはテレビ番組などさまざまなメディアで紹介されるほどの反響を得た。このようにノート術を活用することで、著者は安定してヒットを出せるようになり、人生が変わったという。

2軍ノートに「種」を集める

手書きメモとデジタルメモ

2軍ノートとして、著者はツバメノートの横罫線を使っている。ポイントは、ページの上から5センチほどのところに横線を引き、上部にページ全体のサマリーとして「このノートで残したいものベスト3」をまとめている点である。これで振り返りがぐっとラクになるという。

そして、ページの真ん中に縦の線を引き、左側に事実や打合せの議事録などを記し、右側にはそれに対する考察や、思いついたアイデア、疑問を書いていく。また、強調したいところに「青」、のちに企画の参考になりそうな面白いところに「ピンク」、やるべきことに「黄緑」の色ペンでチェックをつけている。そのうえで、

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要約公開日 2017.01.16
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