プロフェッショナルは「ストーリー」で伝える

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プロフェッショナルは「ストーリー」で伝える
出版社
定価
2,640円(税込)
出版日
2012年12月03日
評点
総合
4.3
明瞭性
5.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

ビジネスシーンでのストーリーテリングの有効性が説かれるようになって久しいが、スキルとして身につけている人はまだ少ないのではないか。本書は、ストーリーテリングを「人を動かすための魔法の剣」だとし、その手法を丁寧に解説した指南書である。

「ストーリー」と聞くと、その中身やインパクトが重要なように思えるが、実際はそうではない。むしろ大切なのは、自分にとってそのストーリーが「本物」であることと、そのストーリーをどのように語るかである。ストーリーを語るうえで最も恐れるべきは、聞き手に拒否反応を示されてしまうことだが、本書を読めば、その危険は極力回避できるだろう。

ストーリーを語れば、結論に至るまでの矛盾や葛藤も伝えることが可能で、事実の羅列にはない奥行きが生まれる。そのため合理的でない人間は、完全なデータよりも不完全なストーリーのほうに説得されることがままあると著者は述べる。これまでデータ集めや論拠ある説明に心を砕いてきたロジカルな人にこそ、ぜひおススメしたい1冊である。

ストーリーテリングの有効性を伝えるにも、ストーリーを語るほうが早いかもしれない。事実のみを突きつけて意見を変えるように迫るのが「北風」なら、温かなストーリーを語り、自発的に意見を変えさせるのはまさに「太陽」のやり方だ。「北風と太陽」の結末を知っている人なら、ストーリーテリングの価値をきっと理解できるに違いない。

著者

アネット・シモンズ
マイクロソフト、IBM、NASAなどを顧客に持つコンサルティング会社、グループ・プロセス・コンサルティングの創業者。さまざまな組織に、いかにコラボレーションを活性化させるかを指導する一方、ビジネスシーンにおけるストーリーテリングの第一人者として、講演でも活躍。著書に『感動を売りなさい』(幸福の科学出版)、『テリトリー・ゲーム』(トッパン)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    人を動かすには、客観的事実やデータを「説明」するよりも、情緒的・感覚的描写を加えた「ストーリー」を語ったほうが、より複雑で立体的な真理を伝えることができる。
  • 要点
    2
    自分が実際に体験したことや、心から信じている「本物」のストーリーを語るべきだ。自分の感情を偽って人を動かそうとしても、それは必ず声色や態度に現れ、逆に相手を遠ざけてしまう。
  • 要点
    3
    反対派が自分なりのストーリーを持っている場合、無理にストーリーを上書きせずに、一度吐き出させてやろう。それには相手にストーリーを話させ、真剣に耳を傾けることが有効である。

要約

ストーリーは、人を動かす最良の手段である

はじめの一歩は、信用を勝ち取ること
Wavebreakmedia Ltd/Wavebreak Media/Thinkstock

偉大なリーダーはみな、人を鼓舞し、自ら行動を起こさせるためにはストーリーの力が不可欠だと知っている。人を動かすのに必要なのは、客観的な事実やデータではなく、信用だ。ストーリーは、聞き手の信用を勝ち取るための手段となる。

人を動かすときに役立つのは、次の6つのストーリーである。

(1)「私は何者か」というストーリー

(2)「私はなぜこの場にいるのか」というストーリー

(3)ビジョンを伝えるストーリー

(4)スキルを教えるストーリー

(5)価値観を具体化するストーリー

(6)「あなたの言いたいことはわかっている」というストーリー

相手の信用を得て、話に耳を傾けてもらうには、(1)と(2)のストーリーを省略してはいけない。人はカモにされまいといつも身構えているため、まずはその警戒を解く必要があるからだ。「私は何者か」を語ることで相手との結びつきを確立し、「警戒すべき人」から「よく知っている人」に昇格しよう。私的なエピソードや自分の弱みなど、人柄が伝わるようなストーリーを語れば、相手は心を開いてくれる。

さらに、「なぜこの場にいるのか」を語ることで、聞き手から不当な搾取をするつもりはないことを伝えるべきだ。実は聞き手は、語り手が利己的な目的を持っていてもあまり気にしないものだ。嘘をついて私利私欲を隠すくらいなら、堂々と公開してしまったほうがよい。大切なのは、その動機が邪なものでなく健全であると示すことと、相手に敬意をもって語り掛けることである。

誰でも人を疑うよりは信用したいものだ。ストーリーを使って、語り手を信じるための材料を伝えよう。

聞き手のメリットを提示する
Sean_Kuma/iStock/Thinkstock

語り手の人柄と目的を知って安心したところで、ようやく聞き手は本題を受け入れる準備が整う。「(3)ビジョンを伝えるストーリー」は、キング牧師の「アイ・ハブ・ア・ドリーム」に代表されるように、大仰なものになりがちだ。しかし、文字にすると白々しくなってしまいそうでも、実際に口で語れば、大きな感動を生むことができる。「自己陶酔的だ」と思われるのを恐れずに語る勇気が肝要となる。

「(4)スキルを教えるストーリー」は、技能を授ける際の時間を短縮するのに役立つ。ストーリーを用いれば、相手に「なにを」するのかだけでなく、「なぜ」「どのように」それをするのかを学ばせられる。表計算ソフトを覚えさせたいなら、どこをクリックするかを教えるよりも、テンプレートを作ったことでどれだけ業務が改善したかのエピソードを語り、スキルを獲得する意義を実感させるほうが効果的である。

「(5)価値観を具体化するストーリー」は、「誠実」「仕事を楽しむ」といった「お題目」になってしまいがちな理念を、聞き手自身のものにすることが可能だ。「(6)『あなたの言いたいことはわかっている』というストーリー」は、聞き手の反論をあらかじめ予想した上で、それを穏やかに切り崩すのに有効である。

ストーリーにできて事実にできないこと

裸の真実に服を着せる

ストーリーを語ることは、そのままでは受け入れられにくい真実に服を着せる役割を果たす。「いつ」「誰が」「どこで」といった文脈が加わることで、事実は究極の真理となる。「部下を批判することは避けるべきだ」という結論を伝えるだけでは、聞き手は反発するかもしれない。だが、「馬を前に進ませようとして激しく鞭打つ男は、じきに自分の足で歩く羽目になる」という格言を語ればどうだろうか。

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