トヨタで学んだ自分を変えるすごい時短術

未読
トヨタで学んだ自分を変えるすごい時短術
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トヨタで学んだ自分を変えるすごい時短術
出版社
かんき出版
出版日
2016年09月01日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

毎日終電近くまで頑張っているのに仕事がなかなか終わらない人がいる一方で、きっちり定時で帰宅しているのに成果をしっかり上げ、周囲からの評価も高いという人もいる。その差は一体どこから生じるのだろうか。効率よく成果にたどり着き、空いた時間を有意義に過ごすためにトヨタで行われている施策の数々を、トヨタのナンバー1メカニックだった著者が余すことなく伝授するのが本書だ。

興味深いのは「頑張りすぎるな」というメッセージが込められていることだ。日々の「頑張り」が果たして成果につながっているのかを常に見直し、もしも成果には直結せず、「上司から言われたから」「そういう習慣があるから」という理由で続けているだけの作業であればいっそ止めてみよ、ということである。他にも、メールや状況確認の無駄を極限まで削るためのコツ、スキマ時間の効果的な使い方、トラブルに直面した際の心の持ちようなど、時間に追われている、あらゆる業種のビジネスパーソンにとって有難い情報が盛りだくさんだ。

時短術は、個々のビジネスパーソンのスキルアップだけでなく、チームのマネジメントにおいても威力を発揮する。いかにチーム全体の底力をアップし、無駄な時間をかけずに成果を上げるか。本書には、こうしたポイントも書かれているため、マネジメントの立場にある人にとっても役立つ知恵に満ちた一冊である。「最短ルートで成果を上げられる社員になりたい」と願う人はもちろん、チーム全体の生産性向上をミッションとする人にも、ぜひお読みいただきたい。

ライター画像
下良果林

著者

原 マサヒコ(はら まさひこ)
株式会社プラスドライブ代表取締役CEO。1996年、神奈川トヨタ自動車株式会社にメカニックとして入社。5000台もの自動車修理に携わりながら、トヨタの現場独自のカイゼン手法やPDCAサイクルを叩き込まれる。これらを常に意識して研鑽を積み、技術力を競う「技能オリンピック」で、最年少優勝に輝く。さらにカイゼンのアイデアを競う「アイデアツールコンテスト」でも2年連続全国大会出場を果たすなどトヨタの現場で活躍。その後、IT企業を経て、WEBマーケティングのサービスを提供する、株式会社プラスドライブを立ち上げる。現在も代表取締役CEOとして、クライアント先のWEBサイト改善やマーケティング施策の推進業務に従事している。そのかたわら、トヨタ式の考え方やカイゼンの手法、PDCAなど、トヨタで学んだビジネススキルを社会に還元するために、日々講演活動を行っている。製造現場のノウハウをどんな企業でも使えるノウハウに落とし込むことを得意とし、さまざまな業種の企業から信頼を得ている。なかでも、本書の元となったトヨタのカイゼンに関する講演は、残業が減らないことに悩むビジネスパーソンから、「ムダな仕事が減り、仕事が速くなった」「早く帰れるようになり、人生が充実した」と絶大な支持を得ている。著書に『人生で大切なことはすべてプラスドライバーが教えてくれた』(経済界)、『新人OLひなたと学ぶ どんな会社でも評価される トヨタのPDCA』『まんがで身につくPDCA』(ともに、あさ出版)、『どんな仕事でも必ず成果が出せる トヨタの自分で考える力』(ダイヤモンド社)など多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    問題に直面した際「できない理由」を考えるのは時間の無駄だ。「どうしたらできるか」を考えるマインドセットが、成果につながる時短術のポイントとなる。
  • 要点
    2
    普段から「誰が」「何時から」「何をする」ということを「見える化」しておけば、状況確認の手間が省ける。
  • 要点
    3
    チーム全体の生産性を高めるには、優秀な社員に仕事が集中するのを避け、その社員がいなくても他の社員が代わりに対応できるよう、業務を標準化することが欠かせない。

要約

仕事のスピードアップにつながるトヨタの教訓

頑張る=汗を多く流すこと、ではない

仕事の現場で「頑張る」という言葉が頻繁に使われるが、実はこの言葉にこそ、長時間労働から抜け出せない理由が潜んでいる。例えばある同僚が、営業として毎日忙しく、夜遅くまで社内を駆け回っていたとする。しかし、彼が何も成果を出していないとしたら、この同僚は本当に「頑張っている」とはいえない。

作業時間の多さをアピールしても意味がない。トヨタの現場には「頑張ることは汗を多くかくことではない」という教えが根づいている。本来、仕事においては「成果につながる動き」こそが評価されるべきである。「成果につながる動き」に時間を割けばいいのであり、「成果につながらない動き」はすぐにやめるべきだ。

時短のためのテクニックとは、やるべきではない「作業」を減らし、本来の「仕事」に専念できる状態や環境を整えることを指す。仕事で注力すべきポイントをしっかり見極め、自分ならではの価値を出す仕事にフォーカスすることがカギとなる。

また、必要性の低い仕事を思い切ってやめてみるのも手だ。著者がトヨタのメカニックだった頃、定期的な技術講習があり、参加者は講習で学んだことをレポートに書いて提出することが義務化されていた。ところが、そのレポートの内容は現場で活用されておらず、上司もほとんど目を通していないことが判明したため、レポート提出は撤廃された。こうした無駄な仕事をなくし、改善していく提案も、短時間で生産性を上げるためには必要となる。

【必読ポイント!】 「カイゼンマインド」で効率化を加速する

「自分の仕事ではない」という考えを捨てる
maselkoo99/iStock/Thinkstock

トヨタの「カイゼン」に関する考え方は有名だ。「カイゼン」とは、極限まで無駄を省き、指示されたことだけをするのではなく現場の従業員同士がアイデアを出し合い、仕事のやり方をよりよくすることである。

もしあなたが自分の担当以外の仕事を頼まれたなら、どう思うだろうか。「なぜ私が」と不満を抱くかもしれない。「それは自分の仕事ではない」と断ってしまう人もいるだろう。しかし、担当の仕事ではないからと自分の仕事を限定することは、時短から遠ざかることと等しい。

トヨタでは従業員が「多能工」、つまり「多くの能力を持った工員」であるべく、担当以外の仕事も覚えるように教育されている。「多能工」化をめざすと、自分の仕事が「全体の中の1つ」と捉えられ、常に周囲とのつながりや一連の流れを意識した仕事ができるので、幅広く、深くスキルを身につけられるようにある。また、いつもと違う仕事をすると、凝り固まっていた脳が刺激され、思わぬアイデアが生まれる。さらには、さまざまな部署の仕事に取り組むことで人間関係も広がり、いざというときに手を差し伸べてくれる人が増える。

こうして常に新しい仕事に取り組むことで、マンネリ化を防ぎ、仕事へのモチベーションを維持しやすくなる。こうした好循環が業務内容の改善や時短につながるのだ。

言い訳よりも「どうしたらできるか」を考える
g-stockstudio/iStock/Thinkstock

仕事上、困難なことや実現不可能と思われることにぶつかった際、最も避けたいのが「できない」と決めつけ、できない理由を並べ立てることだ。

著者がある客の車の整備を担当し、点検した結果、ブレーキパッドが薄くなっており走行が危険な状態だということが判明した。在庫もなく、取り寄せるなら2日はかかる。しかし、客は翌日から長距離出張で、取り寄せを待つ時間はない。そこで著者は、通常の部品調達ルートではなく他の系列店に電話をかけて在庫を確認し、在庫があった店に行って部品を譲り受けた。そしてどうにか翌日までにブレーキパッドを交換できた。こうして客の要望を断る言い訳を考える無駄な時間が省けた、というわけだ。

「どうしたら実現できるのか」というマインドセットを取り入れることで得られる効果は他にもある。

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要約公開日 2017.02.11
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